働き方

優秀な人材が採れないのが、企業認知度のせいではない理由

人材流動化時代に取り残されないための知っておくべき新常識 その2

なぜ我が社には優秀な人材が来ないのか…

欲しい人材を直接採用するダイレクトリクルーティングが主流になれば、人材獲得競争が激化することは避けられない。当然ながら、優秀な人材には、多くの企業がアプローチを試みるからだ。知名度のある企業にとっても、これまでは有利に働いていたブランドの効力が事実上無力化するため、採用にかける負荷が増してくる。だからこそ、直接採用時代には、戦略が重要になってくる。ここでいう戦略とは何か。それは、自社にとって本当に必要な人材の見極めだ。
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そのためには、前提として、会社がこれからどういった方向を向き、事業を拡大していくのかを明確にする必要がある。そこから逆算し、それを実現するために必要なリソース、人材等を洗い出す。全くの異分野に新規参入するなら、その分野についてのどれくらいのスキルが必要で、どんなレベルを求めるのか。もしかすると、事業の戦略上、ある分野の深い知識や経験が必要なら、そういった人材もリストアップする必要が出てくる。

なぜこうしたことが必要なのか…。ひとつには、直接欲しい人材にアプローチする以上、単に事業内容に合った人材、というぼんやりとしたものでは、転職意向がないかもしれない有望な相手を落とせないからだ。これからの会社の方向性に加え、そのプロセスにおける必要なリソース、必要なポテンシャル…。なぜ、その人でなければいけないのか、といった理由を明確に説明できなければ、振り向いてもらうことさえ困難といっていいだろう。

抜本的な方向転換が迫られる採用戦略

その意味では、能動的な採用において、面接で見極めるというプロセスの優先順位は、大きく下げる必要があるといっていいかもしれない。逆に、採用担当者の熱意はもちろん、いかに理詰めで採用対象に対し、人材としての必要性を語れるか、そこまで必要人材のスペックを詰め切れるか、が重要となる。これまでの経営では、会社主導で、社員をコマとして扱ってきたが、今後は、会社も一社員も対等であり、いかに事業を最大化していけるかというパートナーとしての関係性が強まるということでもある。

事業戦略を描き、そこに沿って必要な人材を集め、組織を構築し、数値目標を立て、リーダーを筆頭にゴールを目指す--。こうした旧来からの成功パターンをリセットし、今後は、人材獲得の段階からコミットしていくことが生き残るためのスタンダードになる、とイメージするのが分かりやすいかもしれない。だからこそ、もはや、採用においては、戦略がなければ、物理的に人こそ増えど、何の意味も持たない。さらにいえば、そこでもたつくようでは、ライバル企業に大きく水を開けられかねない状況になりつつある。

事業の三大要素は、ヒト・モノ・カネ、といわれるが、いまの社会状況で最も切実なのはヒト。採りたくても採れない状況にあるだけでなく、採るための戦略を間違えれば、大きな痛手をも被りかねない…。会社の魅力を高め、いい人材を引き寄せる。もちろん、こうした旧来からのスタイルも有効だが、パラダイムシフトに直面した昨今の人材市場において、本当に優秀な人材を陥落させるには十分といえない。狙った獲物を何としても離さない。能動的な採用においては、行動力と忍耐力は不可欠だ。それを単なる消耗戦にしないために、練りに練った戦略が非常に重要な要素となる。

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