働き方

一瞬の判断力が求められる宇宙飛行士のスゴい仕事術【瓦版書評】

投稿日:2016年9月9日 / by

仕事をする上で重要なチカラとは

仕事をする上で重要なことは何か。そう言われた時、何が思い浮かぶだろうか。「スピード」、「髙いスキル」、「忍耐力」…。職種や企業によって求められるは異なるが、何においても重要なのは「判断力」ではないだろうか。<いま何をすべきか>、<この状況でどちらを選択すべきか>、<これはやるべきか>…。何かを迫られた時の「判断力」こそが、仕事の価値を高め、意義あるモノにする。
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実際のところどうだろう。職場で「判断力」は、重視されているといえるだろうか。「あしたでいいか」、「とりあえずこっちをやっておこう」、「上司に怒られるからやっておくか」…。本来、全力ですべき判断を、多くの人は適当に下している。判断材料さえも十分に考慮せず、その場しのぎ、ということがほとんどではないだろうか。「なんでこんなに業務が上手く回らないんだ」、「全力でやっているのに残業が一向に削減できない」…。そうした背景には、こうしたルーズな判断力が潜んでいると考えてまず間違いない。

一体どうすれば、常にシビアに判断を下せるのか。究極かもしれないが、非常に簡単な方法がある。毎日を月末と思って仕事に臨めばいいのだ。そうすれば、優先順位はスパッと決められる。不要な業務もバッサリ切り捨てられる。一か月単位でタスク管理しているとすれば、「まだ一か月ある」ということが、変な余裕になり、結果的にしっかりと下すべき判断がいい加減になってしまう。しかし、毎日が月末ならそうはいかない。

宇宙飛行士に求められる究極の判断力

「そこまでストイックになれない」。そんな声が聞こえてきそうだ。もちろん同感する部分はある。だが、「一瞬で判断する力」(日本実業出版社)を読み、その思いは吹っ飛んだ。著者は若田光一氏。日本人初のISSコマンダーを務めた、アノ宇宙飛行士の若田氏だ。同書はその若田氏が初めて書いたビジネス書。宇宙飛行士としての仕事ぶりを日常の仕事にも参考になる形で紹介している内容だが、なにせ一瞬の判断ミスが死につながりかねない宇宙船内でのミッション。ビジネス書なのに、手に汗を握るほど緊迫感が伝わってくる。

この中で、日常業務にも是非応用したいのが、若田氏が有人宇宙活動の現場で大切にしていたという「仕事の10か条」。(1)積極的に行動せよ(2)自分の仕事に責任をもて(3)全力を尽くせ(4)不確実なものはその場で質問して把握せよ(5)考えれれることはすべて試し、確認せよ(6)連絡も記録も全て書き出せ(7)ミスを隠すな。仲間の教訓にもなる(8)担当するシステムを徹底的に掌握せよ(9)常に先を意識せよ(10)仲間に敬意を払え。これはアポロ計画で活躍した元NASAのジーン・クランツが残した言葉だそうだ。

どれも当たり前のよう思えるかもしれない。だが、徹底していると断言できる人はほんの一握りだろう。有人宇宙活動では、上記10か条を実践するのは最低限。加えて、有事の際の、ギリギリの判断力が求められる。そのために地上で膨大な時間を訓練に割いている。「毎日が月末」。そう思うことは確かにストイックかもしれないが、月末の目標未達の苦しさを30回に分散すると考えれば少しは楽だろう。なにより、職場には重力もたっぷりの空気もある。ちょっとミスをしたくらいで命を失うリスクなどほとんどない…。

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