働き方

お金につながる仕事に執心する人ほど稼げない理由

投稿日:2016年9月19日 / by

変人・安田の境目コラム

社会は池みたいなものだから

社会は池みたいなものである。私はそのように認識しています。人間も、仕事も、商品も、池に浮かぶ木の葉みたいなものなのです。

ripple

池の表面は、大小無数の波紋に覆われています。波紋とは、「揺れ」の集合体。風で揺れ、地震で揺れ、落ち葉でも揺れます。大きな揺れは目に見えますが、小さな揺れは目には見えません。でも全く揺れのない部分など、存在しないのです。

大きな地震は大きな揺れを生み出します。それは、池にいる誰もが感知出来るような揺れ。小さな木の葉が生み出すのは小さな揺れ。それは、近くにいる人でも感知出来ない程度の揺れです。

小さな木の葉が生み出す、小さな波紋。その波紋は、近くの木の葉に少しだけ影響を与えます。その少しの影響が、さらに隣の木の葉に影響を与える。つまり、大きな池で生まれた小さな波紋は、目には見えないけれど、池全体に影響を与えているのです。

毎日すれ違う他人や、通りすがりのお店。自分とは関係のない人たち、自分とは関係のない仕事。気持ち的には、もの凄く遠い存在に感じます。でも実は、すぐ近くに浮かんでいる木の葉なのです。

触れ合っているわけでもないし、葉っぱの種類も違う。その葉っぱがどうなろうが自分には関係ない。そのように思いがちなのですが、実際には繋がっているのです。目には見えない水面によって。そして一人ひとりが巻き起こす波紋によって。

お金につながる仕事に執心する人ほど稼げない理由

お金のやり取りは目に見えます。だからお金に繋がることに、私たちは本気になります。仕事とは、お金を稼ぐための手段。お金に繋がらないものは仕事ではない。そういう人がとても多い。

でもそういう人に限って、お金を稼げていない。あるいは、お金を持っていても幸せそうではない。それは私の偏見なのでしょうか。それとも実際に起きている事実なのでしょうか…。

お金がないと生きていけない。生きていけたとしても、非常に生きにくい。それは事実だと思います。だから私もお金を否定するつもりはありません。いや、だからこそ、お金以外の要素が重要なのです。

仕事とは、良い波紋を起こすことである。周りにいる人たちに、心地よい揺れを提供することである。そう仮定するならば、仕事のやり方は根底から変化します。

お金になるけれども、悪い揺れを起こすことはやらない。お金にはならないけど、良い揺れを起こすことならやる。それは、合法か違法か、という話ではありません。
周りの人が心地いいかどうか、という話なのです。

そんなことで生活出来たら苦労はしない。そういう人達は、お金になる仕事ばかりに時間をかけます。そしてその結果、ちっとも儲からない。
なぜならばお金とは、揺れの一種に過ぎないからです。

目に見えない揺れを、頭ではなく、心で感じ取る。池の存在を意識し、波紋を制するものが、人生を制するのです。


<プロフィール>安田佳生(ヤスダヨシオ)
yasuda21965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。

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