働き方

我が社はダイバーシティな職場、と認識は2割弱

投稿日:2017年4月18日 / by

ダイバーシティー化が叫ばれているが…

働き方改革の文脈では、ダイバーシティの重要性も指摘される。ダイバーシティとは多様性の意で、女性やシニア、外国人、障害者、LGBTなど、区別なく受け入れ、そして融合し、多様なニーズに対応しようという考え方だ。誰もが活躍できる職場とはつまり、どんな状況でも働き続けられることであり、成熟社会へ向かう日本が目指すべき方向性でもある。

ポイントは、従来の日本の働き方とは対極に近い考え方である点だ。右肩上がりの時代の職場は、全員が同じ方向へ向かい、一致団結して従順に業務に取り組むことが最大の美徳とされた。上司の命令は絶対で、そうでない者は、排除する。それ位、没個性が求められ、異分子には居場所がなかった。ダイバーシティを重要視する働き方とは、こうした従来のピラミッド型とは180度異なるといっていいスタイルだ。

エン・ジャパン調べ

従って、多様性を尊重すると方針転換が決まったとして、そこにいきなりシニアや女性、外国人を受け入れてもうまくは機能しない。マネジメントは、個々の事情によって調整する必要があるからだ。育児中の女性なら、時短勤務の場合も多い。当然だが、働く時間の長さで評価はできない。外国人社員が求めるマネジメントは、日本とは異なる。LGBTを過剰に意識するのはかえってマイナスになりかねない…。こうしたことひとつとっても、多様性のある職場づくりには、課題が山積している。

エン・ジャパンの調査で分かった日本の多様性の現状

だからなのかは置いておくにしても、日本ではまだまだダイバーシティへの取り組みは遅れているようだ。エン・ジャパンがさきごろ実施したダイバーシティに関するアンケート調査では、「積極的に取り組んでいる」と回答したのは、19%に留まった。これだけ叫ばれている中での数字だけに、少ない印象は否めない。

エン・ジャパン調べ

一方で、「ダイバーシティは大事な考え方だ」と回答したのは95%に及んだ。この2つの結果からいえるのは、必要だが、どう推進していくのかはよく分からないという戸惑いがあるということだろう。加えて、ダイバーシティの推進が、企業側の働きかけだけでは実現困難ということだ。

エン・ジャパン調べ

それを裏付ける結果も出ている。それが、「ダイバーシティ促進のために必要なことは何か」という質問への回答だ。トップは「一般社員の理解」(59%)、2位は僅差で「管理職の理解」(56%)。つまり、推進は社員に大きく依存するということだ。こればかりは、人事制度を充実させればOKとはいかず、悩ましいところだろう。それでも、9割以上がその重要性を理解している点は救いといえるかもしれない。

社員にとって、働き方改革は、職場環境改善につながり、ありがたいという捉え方もあるだろう。それは確かだ。だが、忘れてはならないのは、産業構造や社会構造が変化したことへ対応するアクションが、働き方改革であるということだ。これまで通りだと、いろいろと矛盾やひずみが発生する。だから、新しい形に変えましょう。それが、働き方改革の根底にある。どんな人もその人なりに働き続けられる社会は、誰もが安心して暮らしていける、これからの日本の働き方の新スタンダード。明日は我が身。各自が自分事として関与すべき全ビジネスパーソンにとって重要テーマであることはしっかりと認識しておく必要がある。

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