働き方

「負けどころ」を、「勝ちどころ」にするために必要な意外な事実

投稿日:2017年5月22日 / by

変人・安田の境目コラム

小4で結婚を諦めた嫌われ者はなぜ「先生」と呼ばれるまでになったのか

小さな疑問を素通り出来ない。素直に「はい」と言えない。どうでもいいことを、ずっと考えてしまう。非常識な発言や行動ばかりする。テストの点数はクラスで最下位。走るのは遅く、リズム感も悪い。性格は暗く、友達はいない。努力する気概もない。

先生からは、要領が悪いと言われ、近所の人からは、変わった子供だと言われ、公平に見ても、あらゆる負けどころを背負った存在。それが、小中学生の頃の私なのです。あまりにも走るのが遅いので、小学校三年生の時に全力疾走をやめました。あまりにも皆に嫌われるので、小学校四年生の時に結婚することを諦めました。

そんな私が二度も結婚し、二百人もの社員を抱える社長になり、出した書籍が何十万部も売れ、講演では「先生」などと呼ばれるのですから、人生は不思議なものです。もし私が、二十年早く生まれていたら、こんなことは、あり得なかっただろうと思います。学歴もなく、常識もなく、言ったこともまともに出来ない。ただの駄目人間だったことでしょう。

自分は変わらず時代が変わり評価が一変

しかしながら、うまい具合に、とても運のいい事に、私はこの時代に生まれました。常識が、常識でなくなる時代に。

正直言って、私の欠点は今も変わっていません。子供の時のままなのです。疑問を素通り出来ず、素直に「はい」とは言えない。非常識な発言や行動ばかりする人間。ところがその「負けどころ」が、いつの間にか「勝ちどころ」になっていたのです。世の中のルールが書き直され、勝ち負けの立場が逆転してしまったのです。

会社員になれなかっただけなのに、勇気ある創業者と見なされる。営業が苦手だっただけなのに、新しい販売戦略だと評価される。私はただ、苦手な事や、やりたくない事から、逃げたかっただけなのです。前向きな努力ではなく、逃げ回るための努力。でもそれは、今の時代においては、正しい努力なのです。

にもかかわらず、今でも学校では、暗記や、競争や、我慢が求められます。ただ暗記する事に意味などないのに。競争の先に勝者などいないのに。我慢すればするほど、幸せから遠ざかるのに。

一体いつになったら、この国の大人たちは認めるのでしょう。自分たちの成功体験が、もはや通用しないということを。そして、今押しつけている評価に、意味などないことを。要領の悪い子供こそが、この国の希望だということを。


<プロフィール>安田佳生(ヤスダヨシオ)
yasuda21965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。

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