文房具が好きで独へ渡った夫婦が、移住のため確立した”働き方”とは?
夫婦の中にあった思いを開いたベルリンの魅力
同じ仕事を”繰り返す日々”に少し虚しさを感じていた只松靖浩さん。それまでの日常を変えるため、奥さんと文房具屋を始める。そして2人は、ドイツへの旅を機に、ベルリンでの開店に夢を馳せ、移住を決意。だが、ドイツでの就労ビザ取得には厳しい関門が待ち構える。そこで、夫婦がとった働き方とは?(powered by THE LANCER編集部)
新しい生き方を考え始めるきっかけになった旅
毎日の仕事をしながら、何か新しいことに挑戦してみたいと考える方は多いのではないでしょうか? でも仕事で忙しいし、休日は家でゆっくり休みたいと思われるのも分かります。私もそうでした。
そんな暮らしの中、同じ毎日を繰り替えすことが勿体ない気がして、妻と2人で週末だけでも自分達の好きなことをやってみようと思いたって始めたのが文房具屋です。
会社と店の両立で、プライベートな休みはなくなったけれど、そのおかげで多くの人と出会うことが出来ました。
私たちを大きく変えたベルリン
もともと文房具が好きで始めた妻と2人3脚での文房具店。2人とも特にドイツのクラシックな文房具が好きで、いつかドイツへ行けることを夢見ながら、仕事と店を両立して過ごしていました。そうして念願叶ったドイツ・ベルリンへの旅。ベルリンの旅は私たちを大きく変えることになりました。
ベルリンはドイツの首都でありながら、街の至る所に公園があって緑に溢れ、そして町並みは奇麗で人々はその中でゆったりと過ごしているように見えました。
そんな静けさを愛する街であっても、若い人を中心にアートシーンはとても盛り上がっていて、”静けさの中にある炎のような存在”として私の心に強い印象を残しました。私たちはそんなベルリンに一目惚れをしたのです。
日本へ帰りながら話し合った私たちの青写真
自分たちを大きく変えたベルリンから日本へ帰国する飛行機の中、「いつかベルリンで暮らしたい」、そして「ベルリンでお店を開きたい」と2人で話し合いました。
今思えばそれくらいベルリンに惹かれていたのだなと改めて思います。日本に帰ってからは飛行機の中で話したイメージを実現するため、3年先に自分たちがベルリンで店を開店させるためのスケジュールや、店を始めるにあたって私たちがやらないといけないことをリストにまとめました。
ドイツ語の勉強はもちろん、日本とは場所も風習も法律も違うので、ドイツで暮らしている人たちやドイツに行ったことのある人たちから話を聞いたり、いろいろとアドバイスをいただきながら、自分たちの計画を進めていきました。
そして2015年12月、長年勤めていた会社を退職し、文房具店はネットショップだけに切り替え、2016年1月にベルリンへと旅立ちました。
海外の地で始めたフリーランスとしての働き方
待ち望んだベルリンでの新生活。当初は私と妻と2人で文房具店を経営する予定でしたが、いろいろと話を重ねて行く上で私はベルリンでフリーランス(ライターやデザイナー)として活動し、妻が文房具店を経営するスタイルを選びました。
私がフリーランスを選んだのは就労ビザの影響もあり、お店以外でも何か仕事を持っていた方が収入の面でも助かるし、またいろいろな方に出会うきっかけも生まれるからです。
そうして始まったフリーランス生活の矢先に知ったのが『Lancers』。海外に拠点を置きながらも、自分のスキルを活かし、日本の方とお仕事できるのは私としてもとてもありがたい存在でした。
フリーランスとして働きながらお店を支えるスタイル
先にも述べたように海外の地ではイメージ通りにはいかないもの。私たちの場合もそうでした。ドイツで店舗を持つには就労ビザが必要。しかしその就労ビザを取るためには、ベルリンで新たにスタートアップしようとする人に対してかなり厳しい審査が必要となります。
そんな状況の中、2人で店舗を持つのではなく、私がフリーランスとして活動しながら、妻が経営する店をサポートするというスタイルが私たちに道を開きました。
ドイツでは現在、配偶者ビザというものがあり、そのビザで店を開店することができるのです。そうして無事にビザを取得し、物件を探しながら、私はフリーランスとして活動を始めました。
とはいってもベルリンに来てからまだ間もない中で、仕事を得ていくのは難しいもの。そうやって悩んでいた時に『Lancers』を知りました。
日本で長年印刷の仕事に携わり、そして文房具を経営する上で培ったスキルや、趣味として長く続けてきた執筆やデザインを仕事に出来る『Lancers』は、私にとって有り難い存在であり、チャンスでもありました。
イメージが少しずつ実現されていく中で思い返すこと
大変だった店舗探しもようやくクリアし、今は近日中のOPENを目指し、準備を進めています。そうして文房具店の起ち上げをサポートしながら、私は『Lancers』で少しずつフリーランスとしての実績を積み重ね始めました。登録してからすぐに仕事ができるのはとても便利で助かります。
毎日が目まぐるしく過ぎるなか、こうして自分たちが直感に従って惹かれてやってきたベルリンで、毎日充実した日々を送っています。私が今、憧れの地でフリーランサーとして働いているのは、何か新しいことに挑戦してみたいと少しだけ足を前に踏み出したからだと思います。
何かに興味を持って参加したり、いつもと違う帰り道を通ってみるだけでも、人生が変わるきかっけに出会う可能性はあるでしょう。
それが私の場合、文房具店の開業であり、ベルリンへの旅でした。自分自身が紡ぎ上げてきた状況の中で、私は今、フリーランサーとしてベルリンの地に立っています。
▽フリーランスの情報発信メディア「THE LANCER」より転載