働き方

対話において、聞くこと以上に質問が重要な理由とは

投稿日:2017年12月4日 / by

変人・安田の境目コラム

対話とは質疑応答の連続

一方的に話し続けることを、対話とは言いません。一方的に聞き続けることも、対話とは言えません。対話とは、質疑応答の連続なのです。つまりスタートは、質問でなくてはならないのです。もちろん、ただ質問すればいい、というものではありません。仕事は何ですか?血液型は?出身地は?などと質問しまくっても、ただ鬱陶しいだけです。

質問の目的は、答えを聞き出すことではありません。目的は、対話をスタートさせることです。良い質問とは、相手が答えたくなる質問。あるいは、相手が聞き返したくなる質問。たとえば、「実は、私はこういうダメな人なのです」という自己開示や、「あのニュース、私は疑問を感じています」という意見。それらは一見、質問には見えません。

でも、その投げかけによって、「え、それはどういうことですか?」と聞きたくなる。あるいは「私もこんな疑問があります」と答えたくなる。相手から答えを引き出すことが出来れば、それは立派な質問なのです。

質問というのは、非常に奥が深い。たとえば行列の出来るパン屋さん。ずっと閑古鳥が鳴いている喫茶店。それは、私の思考をスタートさせる質問でもあります。なぜ、このパン屋には行列が出来るのか?なぜ、この喫茶店は潰れないのか?なぜ、私はこの店に来てしまうのか?景色の中には、無数の質問が隠されているのです。

正しい質問こそが導く正しい道

質問と、思考と、答え。それは、セットなのです。質問することで、思考が生まれる。思考することで、答えが見つかる。順番が変わることもあります。思考することで、質問が生まれる。質問が生まれることで、答えが見つかる。重要なのは、一連の流れをコントロールすること。

どういう質問をし、どういう思考を促し、どういう答えを引き出すのか。それをきちんと考え、対話を設計するのです。設計が正しければ、正しい答えが出ます。対話における正しい答えとは、行動です。恋愛であれば、自分を好きになってもらうこと。ビジネスであれば、買いたいと思ってもらうこと。対話によって、その行動を導くのです。

対話の相手は、他人とは限りません。自分との対話は、最も重要です。他人との対話も、自分との対話も、正しいゴールに至る仕組みは、まったく同じなのです。自分に対し、質問をする。思考を促し、ひとつの答えを引き出していく。たとえば、やる気と、勇気と、行動。その答えを、自分自身から引き出すために、自分との対話を設計し、自分自身を導くのです。


<プロフィール>安田佳生(ヤスダヨシオ)
yasuda21965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。

読み物コンテンツ

働き方白書について
仕事相談室について
極楽仕事術について
三者三様について
戦略的転職について
用語集について