
「怒り」のメカニズムを知り、効果的にコントロールする
怒りにのまれないためのアンガーマネジメント 第二回
アンガーマネジメントとは怒りを抑え込むものではなく、コントロールしていくものであることは前回説明したが、そのためには「怒り」がどのようなメカニズムで沸き起こるものなのか理解する必要がある。具体的ないくつかの実践法が「怒り」のどのような側面に効果的なものなのか、理解しながら実践することでよりよい効果が得られるだろう。
日本人は怒りの溜め込み体質
日本人は他人に迷惑をかけることを異常に恐れる。その証拠に母親は子供に対してなにかと「やめなさい」と注意し、多くの人が口癖のように「すいません」という言葉を使う。あらゆる問題を自分で処理することを求められ、感情を表に出しすぎることはあまり好まれない。そのような暗黙の了解が蔓延している日本では、怒りや悲しみといった『負』の感情を外に出すことを、恥ずかしいものだと感じて隠す傾向があるようだ。
このような日本特有の閉塞感が、怒りを溜め込むことを助長してきた。ひたすら抑圧することを教えられてきた日本人は、怒りを発散する機会を見失いがちだ。また、怒りを抑圧することを強要されて育った人は、怒りを感じること、発散することに罪悪感を感じてしまうようになるのだという。
それが「怒り」であるうちはまだいいが、その怒りが抑圧されすぎて精神に異常をきたし、鬱病などの精神疾患に繋がれば自分にとっても周囲にとっても大きな損害に繋がる。そうなる前に、自分の「怒り」という感情について、一歩引いて考えてみて欲しい。
「怒り」は二次的感情
「怒り」という感情は、ある日突然出現するものではなく、日々の小さな感情の積み重ねがもたらす感情だということをご存じだろうか?「第二次感情(セカンダリー・エモーション)」と呼ばれる感情で、その原因(第一次感情)として不安感やストレス、孤独感、プレッシャーなどの小さな感情の積み重ねがある。
小さなストレスが積み重なって肥大化している状態の時、何らかの起爆剤を投入されることによって負の感情が大爆発する。それが「怒り」なのである。
ほんの小さな出来事でも起爆剤になりうる。例えば、部下のちょっとした資料の誤字脱字であったり、同僚の少し配慮に欠けた一言であったり。それ自体は通常の状態であれば受け流せるほんの小さなことでも、肥大化したストレスの前では危険な起爆剤になってしまう。
このような危険な状態になる前に、こまめにガス抜きしていくことが大切だ。たまには自分の好きなことを思いっきりして、リラックスして羽をのばし、負の感情から解放される時間を持つことが怒りという危険から遠ざかるためには必要である。