働き方

「怒り」をなくすための解決思考を形成していくために

怒りにのまれないためのアンガーマネジメント 第五回

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思い出し怒りを無くすための「解決思考」

人は誰しも、自分の失敗や他人の無礼を思い出してムカムカした経験があるだろう。このような場合、なぜ嫌な記憶を不必要に思い出して大切な時間を割かねばならないのか、こんな気分にならなければならないのかと、さらにイライラすることもしばしば。
それは変えられない過去、起こった事実、原因に思考が囚われているから。そんなイライラからは「解決思考」に方向転換することで脱却しよう。
怒りの病原菌を取り去るには、変えられない原因に思考を縛られるのではなく、解決に目を向け、変化を望むことが大切である。過去、事実は変えられないが、変えられる部分に意識を持っていくことでイライラを軽減することができる。「どうしてあんなことをしてしまったのか、されたのか」から「どうしたらこの状況から脱却できるのか」という考え方に方向転換することが、怒りという負の感情をプラスの感情に変換するきっかけになる。もし怒りをやる気に変換することができるなら、それはとてもエコなことだ。

解決思考の習慣をつける

普段から思い出し怒りを感じたら、解決思考に切り替える習慣を付けておくといいだろう。その怒りを無くすためには何が、どんな行為が必要か、いくつか考えるクセをつけていこう。
怒りの原因に囚われることは怒りという感情に囚われることと同じで、いつまでも怒りの悪玉を抱え込むことである。そうならないために悪玉は溜め込まずにどんどん捨てて、先に進んでいこう。無駄なイライラを無くすためにはそれが必要である。
 

ブレイクパターンで脳の風通しをよく

人間は変化に弱い生き物である。突然習慣を崩されると強い不安感やストレスを感じる。誰でも新しい環境に馴染むには多くの時間が必要だろう。時には急な変化が大きなストレスとなり体調を崩してしまうこともある。
さらに、年齢を重ねるごとに変化に弱くなる傾向はますます高まることが分かっている。脳の機能が低下し、処理能力が落ちることで変化を受け入れることが難しくなってくるのだ。首尾一貫して自分の意思を曲げない「頑固おやじ」はその典型例である。
怒りという感情も、予告無く起こる変化であり、予想、制御出来ないものだ。予測なく起こる変化という意味でも怒りは多大なストレスを与えている。怒りに強くなるという意味でも、変化に強くなることは大変有効である。また、変化に強くなればトラブルへの咄嗟の対応にも強くなれる。
アンガーマネジメントが提案する変化に強くなる訓練として、「ブレイクパターン」という方法がある。
「ブレイクパターン」は、パターン化した日常に毎日少しずつ変化を加えていくテクニックである。この「変化」は、どんなに些細なことであっても構わない。例えば、
・朝時間に余裕があったらいつもの出勤ルートより少し遠回りしてみる
・昼食をいつもの店より数メートル先の店にしてみる
・目覚ましのメロディーを変えてみる
・会社内の移動をエレベーターを使わずに階段を使ってみる
・パソコンのデスクトップ画像を変えてみる
・ハンカチを新調してみる
・前髪の分け目を変えてみる
など、どんなことでも構わない。どんなことをするかということよりも、自分が変化を楽しめるかということが重要である。些細な行為の積み重ねが変化を嫌わない、むしろ変化を好む体質へと変えてくれる。その結果、怒りに対しても動揺しにくくなれるだろう。

怒りを抑える「セロトニン」

「セロトニン」とは、精神の状態を正常に保つためのホルモンだ。生体リズム、神経内分泌、睡眠、体温調節など、健康な体、精神を保つために無くてはならない成分である。
精神面での健康を助けるセロトニンは「怒り」とも密接に結びついた成分で、セロトニンが不足するとイライラしたり怒りっぽくなる。最近些細なことでイライラするようになったと感じているなら、それはセロトニンの不足が原因かもしれない。
セロトニンの不足は鬱病、不眠症などの精神疾患を引き起こすので、異常を感じたら直ちに対処することが望ましい。
セロトニンは規則正しい生活、バランスの取れた食事、運動、日光を浴びる等、基本的な習慣によって増やすことができる。また、セロトニンを作り出すのに必要な「トリプトファン」を多く含む、タンパク質の食品(乳製品、肉類、白米など)をバランスよく摂ることが効果的である。トリプトファンのサプリメントも多く市場に出回っているので、それらを利用して不足分を補うのも効果的である。しかし、摂取のしすぎは副作用をもたらす場合もあるので、サプリメントの服用は説明をよく読み適度に行おう。
現代人は仕事に追われて生活リズム、食生活が狂いがちだ。そのことも怒りやすくなる原因の一つになっている。規則正しい生活は身体の健康面だけでなく、精神面でも健康を保つために大切なことである。

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