働き方

大企業病

【大企業病】

med大企業病という病名が生まれた発端は、大企業にありがちな悪しき風習にある。原因は様々な定説があり、おごりが生んだ体質やツリー状に配置された管理体制によるコミュニケーションの低下などがあげられている。これが従業員の中でひろがることで、そこに所属するサラリーマン自身がウイルスとなり、さらに会社をむしばむ病となった。

従業員は「何があっても会社が守ってくれる」と思ったり、「自分ひとりがダラダラしたところで組織には影響がない」と思ったりすることでネガティブなマインドが社内でひろがっていく。そうなると、周りの人間も楽な方楽な方に引っ張られ負のスパイラルが生まれていく可能性もある。仕事はそこそこしかできないのに、権利ばかりを主張する人間が、特に悪いウイルスとなりうる。

大企業病の症状は虫歯に似ている。最初は痛みとなるが、ある程度放置してしまえばさほど痛みを感じなくなる。そしてそのまま放置を続けることで、いつの間にか取り返しのつかないことになる。もちろん治療するときも、早期発見であれば、たいした痛みは伴わないが、病が進行すればするほど、劇的な痛みを伴う治療が必要になってくる。

大企業と名乗れる会社の強みが逆におごりにつながる

大企業に勤めているというだけで、その地位が確保される時代は終わろうとしている。だが、いまだにその「会社名」にプライドを持っている人間がいるのも確かであるし、「会社名」に対して頭が上がらない人間がいるのも確かである。その会社に勤めているだけで、なんだか自分が偉くなったような気がするのだろう。会社名に頼ろうとする人間は、その会社から外に飛び出したとき、または弾き出された時に力を失ってしまうことを意識していかなければならない。

しかし、そのことを意識できない人間がいるからこそ、この病気は確実に広まっていく。体力のある会社であればあるほど、ウイルスタイプの人材を治療せずに放置する傾向が見られる。無論、そういったタイプの人間は、大きな仕事もないため、社内ニートと化していくことも多い。そのまま歳を重ねれば重ねるほど、後戻りできなくなっていくのだ。

過去の栄光にすがりつくことで悪化する病魔

大企業病を患う会社にありがちなのは、過去の栄光にすがりつく姿勢である。昔取った杵柄とはよくいったものだが、「前は○○だったからうまくいった」という成功事例に固執しすぎて、新しいものを取り入れようとしない文化がそこに生まれ始める。

大企業病に侵された社員は「俺の辞書に載っていないことは認めない」という考え方を持っている場合があり、社員そして会社の成長の目をつむような真似を平気で行う。もちろん、熟考せずになんでもぽんぽんと進める姿勢も問題があるが、何も考えずに否定し続けるのも大きな問題となってくる。こういった社員ほど、上からの命令には逆らわず従う傾向にある。

成果の根源が曖昧なのが問題化

ある程度、成熟した企業の中では従業員一人一人の成果が判別しにくい。そのせいか、自分ひとりが頑張ったところで、あるいは、サボったところで、別に業務や業績に支障は無いし、何もせずとも給料はもらえるといった勘違いが起こる。

実際、大企業病に掛かった会社は倒産までは行かずとも、必ずとある段階で大きな損失を計上し、リストラや事業規模縮小を余儀なくされている。社員数が多ければ多いほど、そういった事態には陥り易い。

評価のシステムを変えよ

基本的な打開策としては、評価のシステムを細分化し、働きに対して見合った賃金が支払われるような流れが出来上がることが第一に挙げられる。

長年年功序列がはびこっていた社会や企業にとって、その対策を強要するのは難しい状況であることに間違いない。また、労働基準法により労働者は守られており、企業に害を及ぼしているという根拠に乏しい場合、解雇することができないことも、この病を長引かせる一つの要因となっている。

少し残念な打開策も打ち出されている

現在、大企業と呼ばれる会社でも、ようやくこの「大企業病」と向き合う傾向が見られており、今後は各企業内での改善に期待されている。だが、とある会社にて打ち出されてた政策が、「役職名を取っ払い。全社員がさんやくんで呼び合う」という斜め上の思想を元に作られたものであるため、個々の従業員が持つ意識の改革より、上層部の意識改革をしたほうがよいのでは?という意見もある。

この程度で大企業病を克服できるのであれば、どこでも既に実践している方法であろう。おそらく、欧米での人間関係に基づいた風通しのよい会社作りを目指しているのであろうが、やはり日本という礼儀作法を重視した風土環境には合わない施策だといわざるを得ない。それに、いままで部長と呼ばれなれていた人間のプライドを逆なでしてしまう可能性もある。偉くなりたいので出世のために精を出した人がいないとも限らないのだ。

そもそも、偉くなりたいがために出世を目指すという思考を持っている人間がいることこそ、その企業が大企業病に侵されている証拠になる。人の能力をまとめて仕事に活かすことができる人間と認められてこそ、出世をして人の上に立つことができる。その前提を忘れてはいけない。

ベンチャー企業にも広がる大企業病

大企業病、これは既に大企業に限った問題ではなくなってきている。ベンチャー企業、いわゆる中小企業内でも、大企業病のウイルスとなりうる従業員は確実に増えてきている。

最近では、ベンチャー企業においても、世に名を連ねるようなサービスを提供している会社は増えており、そのサービスにおける売上げも増加している傾向にある。そんな中で、大企業病に掛かる社員が増えているのだ。理由は明確で「自分が頑張らなくても会社は儲かっているから」である。

そんな甘えをもったウイルス社員がいつか会社を食いつぶすことになるかもしれない。ベンチャー企業において冒険をしない従業員は今後、会社にとっての荷物となっていく。

自分の心にワクチンを

大企業病に一番有効なのは、社員一人一人の意識改革である。自らの心にワクチンを打つイメージだ。会社におんぶ抱っこと甘えずに、自分から仕事を取りにいき、自分からこなす。そういうスピリットが大企業病に打ち勝つワクチンとなるのだ。

大企業病に打ち勝つことができた会社は、活力を取り戻すことができる。一度患った病には滅多なことじゃかからない抗体ができていく。強い企業になるために、大企業病に打ち勝つ抗体を持つことと、大企業病にならないよう予防をすることが重要になっている。

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