待機児童問題
待機児童問題とは、認可保育所への入所を希望しているものの定員超過により入所できず、待機を余儀なくされる児童が多数存在するという社会問題のこと。
「待機児童」と「隠れ待機児童」
「待機児童」の定義は「認可保育所に入所することができなかった児童」とされ、1996年以降は毎年3万人を超えている。しかし、2003年に定義が変更され、これらの児童のうち”他に入所可能な保育所があるものの第1希望の保育所に入所するために待機している児童”や、”認可保育所に入所できずに認可外の保育施設を利用しながら待機している児童”が除外された。こうした児童のことを「隠れ待機児童(潜在的待機児童)」と呼ぶ。新定義の適用以降、毎年3万人以上に上った待機児童数は、2万人台に”減少”した。2016年4月1日時点の待機児童数は全国で2万3553人。隠れ待機児童数は6万7354人となっており、合わせて9万人以上にも上っている。
待機児童増加の背景
共働き家庭の増加
男女雇用機会均等法や育児休業制度の広まりとともに、女性の社会進出が進んだ。また、長期的な不況による影響も共働き家庭の増加に拍車をかけている。
保育所不足
都市部では保育所の需要が非常に高く、供給とのバランスが取れていない現状がある。新たに保育所を増設するにあたって、物件の確保が難しく、また騒音などの問題から周辺住民の反対を受け、施設の新設が見送られることも少なくない。
保育士不足
仕事量に見合わない給与水準や拘束時間の長さ、保護者とのトラブルといった理由から保育士の離職が進み、保育士不足に陥っている。保育士の資格を持っていながら保育士として働いていない「潜在保育士」の数は、全国で80万人近くにも上るとされている。
匿名ブログ「保育園落ちた日本死ね!」が呼んだ反響
2016年2月、インターネット上に「保育園落ちた日本死ね!」と題する匿名のブログ記事が公開された。記事には保育園に落ちた母親の政府に対する怒りがつづられており、多くの親たちの共感を集めた。これをきっかけに、政府は緊急の待機児童対策を発表。その主な内容は、(1)小規模保育所の定員を19人以下から22人にまで増やす、(2)自治体が独自に定めている「1歳児5人につき保育士1人」という基準を「6人に1人」に緩和する、といったもの。規制緩和による受け皿増加は見込まれるが、保育士への負担の増加、保育の質の低下といった問題が指摘されている。
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