報連相
【報連相】
報告・連絡・相談のこと。上司に対し、この3つをしっかり行うことで、コミュニケーションが円滑化し、適正な業務遂行につながるとして重視されている。
以下では、具体的に正しい報連相の方法について紹介する。参考にしたのは、“ホウレンソウ[報告・連絡・相談]の習慣が面白いほど身につく本”(今井繁之著、中経出版)。報告・連絡・相談の各過程における、ビジネスマンとしての適切な振る舞い方が、分かりやすく解説されている。
報連相の【報】正しく的確な報告を行うコツ
報告相手の都合を考える
上司のもとを訪れ、一方的に報告を始めてはいけない。上司が緊急の仕事をしている最中では、それを邪魔する行為になってしまうからだ。まずは、「報告をしてもいいですか?」という確認からはじめよう。
結論は先に、言い訳は後にする
「上司の貴重な時間をもらっている」という意識で、報告を行わなければいけない。要点を絞って必ず伝えなければいけないことから伝えよう。そうすれば、必然的に結論が頭にくるはずである。
事実と憶測は分けて報告する
報告者である当人はすべて事実として報告しているつもりでも、実は自分の意見・憶測が入っている時があります。早飲み込みの上司だとそういう報告内容をすべて事実としてとらえ、それを元にどうするかという判断をしてしまう恐れがあります。
人に憶測の情報を伝える時には、必ず「憶測ですが」という一言を付け加えよう。
問われることを前提に報告する
そもそも、報告内容は理論的に組み立ておこう。
事実を結論から話す
↓
理由や背景を話す
↓
自分の意見(対策など)を話す
この順序を意識しておけば、上司から内容について質問された場合でも、しっかりと答えることができるだろう。
まずいことこそ早めに報告する
怒られると分かっている報告は、誰でもしたくないのは当然だ。しかし、結果的に言えば、早めの報告が自分の身を助けることも多い。「まずい!」と思ったなら、上司を頼るつもりで一刻も早く指示を仰ごう。
勇気を持って正直に報告する
正直に言わないと、上司には真実がわからず、場合によっては間違った判断をしてしまいます。小さな失敗が重大な問題に発展することもあるので、勇気を奮って正直に報告しましょう。
個人判断で仕事のミスを隠そうとすると、大変な事態に発展することがある。
中間報告を怠らない
タイミングよく中間報告をすれば、上司は安心するし、場合によってはアドバイスをもらえたり、間違った方向に進んでいたら、軌道修正をすることもできます。組織内の仕事は連携プレーで進めることが多いので、進行状況はこまめに報告しましょう。
求められてからではなく、自ら率先して行おう。
こまめに報告する
「上司が忙しそうだから業務報告はしない」というのは、気遣いなどではない。タイミングを見極めつつ、「報告した方がいいかな?」と思うことはすべて報告しよう。そうすることが、上司と部下の関係を円滑にすることにもつながる。
報連相の【連】タイムリーな連絡を心がけよう
状況を把握してから連絡する
上司から、社内外の関係者に○○の件を連絡しておいてほしいと指示されることがあります。そんな時、用件にもよりますが、相手から「なぜ?どうして?」と問われることがあります。あらかじめ連絡内容を確認し、なぜそのような連絡が必要になったかという事情を把握してから連絡行為に移った方がよいでしょう。
伝言は、確実に、丁寧に!というのがビジネスマンの鉄則だ。
悪い結果でも連絡する
例えば不採用を通知する場合、「連絡をしないことで結果を知らせる」会社は多い。しかし、自分が相手の立場になって考えてみたほうが良い。いつまでも結果を待ち続けたくはないのではないか?連絡に手間を惜しまないことは、相手のためになる。そして何より、対応の良い会社ということで企業イメージをアップさせることもできるだろう。
言葉の省略には注意する
ビジネスにおいては、できるだけあいまいな表現を避けるべきだ。どのような言葉を使えば相手にしっかりと伝わるか、常によく考えて発言しなければいけない。
重要な事柄は確認を怠らない
連絡事項をFAX、郵便等で送信した場合、送信したことは確かでも、それが本人の元に届いたという絶対の保証はありません。
重要・緊急の場合は、電話での連絡を徹底しよう。
親切な連絡を心がける
取引先、お客様から何かを依頼され、依頼相手がこちらの返事を心待ちしているような場合は、相手の立場に立ってできるだけ早く連絡しましょう。
ビジネスでは、早めの連絡が信用につながる。
早め、早めの連絡を心がける
取引先に対して早めの連絡を心がけることで、グンと仕事がしやすくなる。特に、トラブルがあった場合には細かな連絡を怠ってはいけない。
連絡のタイミングを考慮する
連絡の内容によっては、じっくりとタイミングを見極めてからの方がいいものもある。相手のプライバシーに関わったり、マイナスの影響が考えられる場合は、しばらく様子をみてみよう。
大切な連絡には手間隙を惜しまない
相手の期待に反する結果でも真心を尽くして謝れば、相手も人間ですから、やむを得ないとこちらの言い分を認めてくれることが多いので、そのような事柄の報告・連絡に当たっては、手間隙を惜しまず誠意を持って臨みましょう。
報連相の【相】相談は要点をまとめて伝えよう
相談相手の都合を考える
相談する場合には、「このような用件でご相談があります」と切り出そう。これで上司は、その相談が長くかかりそうであれば、スケジュールを調整し、時間を作ってくれる。
相談内容は整理して臨む
いざ相談しようと相手を呼び出しておいて、内容がまとまっていないなど言語道断だ。しっかりと順序立てて話せるよう、内容をまとめておこう。
自責を隠さず相談する
人間だから時には失敗することもあります。仕事での少々の失敗は誰でもあるものと考え、勇気を奮って真実を話し、どうしたらよいかを相談するべきです。
自分一人で問題を抱え込まない
時には、一社員では抱えきれない問題が起こることもあり得る。そんな時に、一人で抱え込んで何とか解決しようとしても、事態は悪い方に転がることのほうが多い。自分のためにも、会社のためにも早めの相談を心がけよう。
不明点・疑問点は悩まず相談する
人が持っている知識を得ることで、大きく成長できることがある。なんでもかんでも、調べればすぐに分かることを聞くのは良くないが、それ以外の疑問や不安があればどんどん周りに相談しよう。
自分なりの解決策を考えておく
部下の成長を願っている上司は「どうしましょうか」と言って来る部下ではなく、自分なりの解決策を持参して来る部下を求めています。
再検討を促されてもすぐ引き下がらない
再考を促されたからといってすぐ腹を立てたり、あきらめたりせず、「わかりました、もう一度検討してみますが、この案のどの部分が気になりますか?」という具合に上司の真意を確認し、その上で再度、案を練り直し、修正案を持って行きましょう。
言外の相手の思いを察する
上司がストレートに言わずにいささか遠慮がちに話した場合は、何か自分に頼みたいことがあるのではないかと気を利かした対応をしましょう。
まとめ
これらが、すべてこの言葉通りに遂行できていれば、業務のトラブルは一気に減るだろう。しかし、これらが形式だけで行われているのであれば、場を混乱させかねないし、業務にも支障が出てくる。
企業によっては、その日に行ったこと全てを報連相するように。と義務付けているところもあるが、それでは効率が悪い制度になりかねない。
とある企業では、
ホウレンソウは成長の芽を摘む
とまで明言している。この会社は業務の全てを仕組化している会社であり、その仕組みどおりに仕事ができていれば、報告する必要も、連絡する必要も、 相談する必要もないというのだ。一見機械的な業務にならないかと思われがちだが、それ以上に個人が自らその仕組みについて考えて業務をするべきスタンスを 取っているのである。
この考え方が全て正しいとはいえないが、報連相を義務付けてはいるが、部下が報連相すれば、それで事柄が解決すると思っているだけでは、確かに成長が見込めなくなる。
報連相を義務付けられた場合は、何を報告すべきか、何を連絡すべきか、何を相談すべきかを選ぶ力を養わなければいけない。新しい働き方へとシフトする中で、報連相のスタイルは大きく変わっていくだろう。