働き方

クラウドファンディング

クラウドファンディングとは

クラウド(crowd)とは、群衆のこと。ファンディング(funding)とは、資金調達のこと。クラウドファンディングとは、多くの人が集まって、ある団体・個人・企業などのプロジェクトに資金面で協力することを意味する。yukichi

代表的なのは、2009年に立ち上がったアメリカの「Kickstarter」というクラウドファンディングサイトだ。ここから近未来的なガジェット、街を巻き込むようなイベント、便利なプロダクトなどが誕生し、日本のメディアでも度々紹介されている。プロジェクトも資金も世界中から集まり、いまやグローバルに注目を集めるサイトである。

クラウドファンディングには、「購入型」、「寄付型」、「投資型」の3つのタイプがある。

まず「購入型」とは、商品やサービスを購入するという名目で資金援助を行う方法。「箱根に温泉宿を作りたい」というプロジェクトがあるとする。このプロジェクトの立案者は、例えば「資金援助を行ってくれた人には、オリジナルのタオルと無料宿泊券を差し上げます」と何かしらの対価を用意するのだ。金額によってこの対価は変わり、支援者は魅力的なものがあるほど高い金額を援助する。

「寄付型」は、基本的にNPO団体の活動資金を援助するためのもの。これは、支援者に物品や金銭での見返りは一切ない。もともと、クラウドファンディングが誕生したときは、この寄付型が基本であり、支援者の共感を集めることで資金援助を募るという考え方だった。

「投資型」は、事業が軌道に乗り利益が出ると、配当に加えキャピタルゲイン(資産の売買によって得ることができる利益のこと)を受け取ることができる。うまくいけば、金銭的にもっともリターンが多いタイプではあるが、投資型の場合は、もし事業が損を出した場合のリスクを心得ておかなければいけない。

クラウドファンディングの市場は日本と海外で大きく開きがある

クラウドファンディングは、すでにアメリカでは一般に普及したと言われ、市場規模としては、全世界で言えば5000億円にまで広がった。一方で日本では、まだ100億円程度と推定される。このことから、海外と日本の市場規模には圧倒的な開きがあることが分かる。

日本でも、クラウドファンディングの知名度は急速に上がったことで、早くもサイトの乱立状態となりつつある。ただし、人や資金が集まらないサイトもあることから、現在ではすでに淘汰が始まったと思われる。

日本にも多くのクラウドファンディングサイトがある

CAMPFIRE

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連続起業家・家入一真と石田光平が共同で立ち上げた(現代表取締役は石田氏)、株式会社ハイパーインターネッツが運営するクラウドファンディングサイト。

日本のクラウドファンディングを代表するサイトである。ジャンルは何かに特化しているわけではなく、「フェアトレードのカフェを作る」、「アイドルとしての活動資金が欲しい」、「インテリアブランドを立ち上げたい」、「NYで企画展を行いたい」などクリエイティブなアイデアを実現するために資金を募る。

READYFOR?

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日本初のクラウドファンディングサイトで、2011年3月に立ち上がった。CAMPFIREと共に日本のクラウドファンディングをリードするのがREADYFOR?だ。

もともと東日本大震災の支援を目的としていただけあって、クリエイティブ系の多いCAMPFIREと比較すると、READYFOR?は社会貢献のためのプロジェクトが多い印象。例えば「震災被災地の子供たちにIT技術を学ぶ場を提供したい」、「親を亡くした子供たちに童話を贈りたい」、「カンボジアの孤児院の衛生環境を改善したい」など。

READYFOR?の公式HPによると、これまで3万2千人から約3.8億円が支援されており、7割以上のプロジェクトが目標金額を達成しているという。

TOKYO DESIGN COMMIT

TOKYO DESIGN COMMIT(画像をクリックするとTOKYO DESIGN COMMITのサイトへ飛びます)

伊勢丹とファッション誌の装苑が立ち上げたクラウドファンディングサイト。ジャンルはファッションに特化し、若手クリエイターと日本のファッションを応援するという趣旨で運営される。

サイトオープンが2013年10月、プロジェクトスタートが2014年1月と、最近動き始めたばかりだが、大手百貨店である伊勢丹が共同運営しているということで、今後注目していきたいクラウドファンディングサイトである。

Makuake

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サイバーエージェントが運営するクラウドファンディングサイト。Makuakeでは、個人のみでなく企業、団体、芸能人が資金を募っているのがひとつの特徴だ。

例えば、「番組にもっと予算が欲しい」、「映画を目の不自由な人に届けるために音声ガイド機器を用意したい」、「パフォーマンスユニットの単独公演を成功させたい」など。

アーティストのライブレポートやインタビューなども掲載されているので、コンテンツとしても楽しめるクラウドファンディングサイトとなっている。

クラウドファンディングでは多くの成功事例が生まれている

CAMPFIREで成立した事例

「Re:animation」というイベントの主催者が立ち上げた「超都市型屋外音楽イベント『Re:animation-Rave In 新宿歌舞伎町-Vol.3』の開催プロジェクト」。

「Re:animation」とはアニメ・オタク文化とクラブ文化が融合した音楽イベント。このイベントが3年目に入り動員が増えたところで、更なるイベントの充実を実現するために資金を募った。

なぜスポンサーを付けずにクラウドファンディングを利用したかについて主催者は、スポンサーのサポートを得ることで、イベントはスポンサーのものになってしまう。「Re:animation」はあくまでも参加者がつくるイベントであって欲しいと言葉を綴っている。

集まった金額に関しては、当初50万円を目標としていたが、ふたを開けてみると2倍以上となる103万7千5百円が集まりプロジェクトは大成功となった。

READY FOR?で成立した事例

自分の土地を提供して、公園づくりに取り組む農家の男性が立ち上げた「釜石の遊び場を失った子ども達に手造り公園で思いっきり遊んでもらいたい!」というプロジェクト。

この男性は、もともと東日本大震災で被災した人々の心を癒すために公園を作っていたが、この活動を継続するための維持費やイベント運営費が不足してしまったという。そこで、震災によって失われた、子供が安心して遊べる公園を作り続けるために資金を募った。

当初設定されていたのは200万円という目標金額だったが、194人が支援し、結果的に239万6千円が集まった。この資金によって無事公園は完成し、READY FOR?のサイト上で男性によってお礼と報告がされた。

シューティングスターで成立した事例

2014年1月、連続起業家の家入一真氏が、東京都知事選に出馬するために選挙運動資金500万円を募るプロジェクトを立ち上げた。この動きは、主にネットを経由して多くの人に伝わり、開始1日で120人から150万円を集めた。

ひとつの懸念点として、クラウドファンディングで選挙運動資金を集めることは、寄付を受けることに当たり、政治資金規正法違反になるのではないかと言われた。しかし、家入氏のプロジェクトはいわゆる「購入型」であり、資金援助の対価としてイベントへの参加権やオリジナルTシャツなどが用意されていたため、家入氏と支援者の間で売買契約が交わされたことになる。つまり、違法には当たらないということだ。

結果的に、プロジェクトは目標の500万円を上回り、692人から744万7千5百円を集めた。家入氏は当選を果たすことはできなかったものの、クラウドファンディングを利用したことで新たな選挙の在り方を作ったと言っても良い。

志はあるが資金を用意できないという人にとって、クラウドファンディングを利用して立候補することはひとつの選択肢になったはずだ。今後もしかすると、家入氏のあとを追う候補者が出てくるかもしれない。

クラウドファンディングは一時のブームで終わるのか

クラウドファンディングが普及したことで、高額なプロジェクトが立ち上がりやすくなったと言える。その結果、小規模な組織、あるいは個人で温めていた構想が世の中に次々と出てきた。クラウドファンディング自体が、世の中の暮らしを良くするモノを発信するプラットフォームになっているというわけだ。

ただ、日本では一般に普及してはいない。発信力のある有名人がプロジェクトを立ち上げることで、ファンが1コンテンツとして楽しむことはあっても、文化や習慣として寄付に似た形のクラウドファンディングが定着するには時間が掛かりそうだ。

そもそも日本には寄付文化はほとんど無いと言っていい。そのような環境でクラウドファンディングが今後さらに広まるかは、実際難しい部分ではあると思う。

しかし今後、クラウドファンディングに後押しされることで世の中に広がっていく製品や、上場する企業が出てくると、また違ってくる。一時のブームで終わるか終らないか、それはクラウドファンディングで資金調達に成功したプロジェクトの行方に懸かっていると言っても過言ではない。

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