働き方

フリーランスで生きて行く前の事前チェック

フリーランスを目指す前に確認しておきたいこと

フリーランスって?

「フリーランス」とは、特定の企業や組織に身を置かず、個人で仕事を請け負う働き方のことを言う。また、そのような形態で働く人のことを「フリーランサー」という。自らの能力を売り物にするため、高い専門性や特化した才覚が求められる。そのため、専門性の高い職業のフリーランサーが多い。

フリーランスに多い職業

グラフィックデザイナー/ウェブデザイナー/キャラクターデザイナー/システムエンジニア/プログラマ/コピーライター/コラムニスト/ウェブライター/翻訳家/カメラマン/メイクアップアーティスト/スタイリスト/アナウンサー/ナレーター/など

ここに挙げた職業は一例に過ぎない。突出した能力があり、そこにある程度の需要が見込めれば、どのような職業でもフリーランスとして働くことが出来る。
近年フリーランスとして働く人の割合は増加傾向にあるが、クラウドソーシングサービスの普及から、パソコンでデータのやり取りができ、クラウドソーシングサービスの機能を活かしやすいデザイナー、エンジニア、ライターなどのフリーランサーが特に増加傾向にある。

フリーランスは夢の職業?

「フリーランス」という言葉から浮かぶイメージとはどのようなものだろうか?組織に属さず、会社に通う必要が無く、自分の好きなように時間を使うことが出来る、いわば勝ち組のようなイメージだろうか。
フリーランスの「自由」という部分に憧れを抱いてフリーランスを目指す人は多いだろう。果たして、フリーランスの「フリー」とは何が「フリー」なのか? ただ漠然としたイメージでフリーランスを目指している人は、どのような理由がありフリーランスになりたいのか整理する必要がある。

自分の時間を自由に使うことが出来る

確かに会社に属していれば出社時刻があり、休日もあらかじめ日数が決められていて、その束縛感からは逃れられない。それに比べればフリーランスは自分の好きなように予定が組め、働きやすいように時間を設定できるため、圧倒的に自由度は高いだろう。
しかし、その一方でやらなければならないことも多い。組織に属していればやる必要の無かった事務作業も全て自分が引き受けねばならないからだ。作業に没頭したい人にとってはそのような雑務が退屈に感じ、自分の自由を阻害することを苦痛に感じるかもしれない。

会社に出社しなくて済む

誰にとっても毎日の通勤、退勤は憂鬱なものだ。長い通勤時間、満員電車、道路渋滞・・・。フリーランスはそれらの悪夢からも解放してくれる。 
しかしながら、自宅が職場であることは、また違った苦痛を生み出すかもしれない。
会社員は会社に通うことによってプライベートと仕事は自ずと分離するが、自宅が仕事場であることは、プライベートと仕事がずっと地続きになるということだ。いつ案件や問い合わせが飛び込んでくるか分からないので、電話が鳴ればすぐに出なければならないし、メールはすぐに返信しなければならない。いつでも臨戦態勢でいることが要求される。
オンとオフを切り離したいタイプの人には向かないだろう。あなたは24時間ずっと会社にいる苦痛に耐えられるだろうか。

高い収入が得られる

大手クラウドソーシングサービス「ランサーズ」の仕事案件の相場を見てみると、小さな案件で数千円~数万円、大きなプロジェクトになると一案件70万前後~数百万円もの報酬が得られる。会社員の月収から見れば羨ましい数字に思えるかもしれないが、この金額がそのまま手に入る訳では無いことに注意したい。この提示金額は「税金」「福利厚生」「設備費」「人件費」等をすべて入れた金額であって、手取り金額ではない。経験が少ないフリーランサーはまずこの落とし穴にはまる。
ここから税金、保険料、年金で金額の少なくとも20%が引かれ、大きなプロジェクトになれば仕事量も多く下請けに依頼する可能性もあり、人件費がかかることもある。
また常に仕事があるとは限らないのでその分の貯蓄、会社員に支払われる厚生年金との金額の差があるのでその分をカバーする貯金が必要になってくる。
さらに、稼げば稼ぐほど税金は高くなり、不安定な収入のフリーランサーにとって大きな問題として重くのしかかってくるだろう。これらの問題をカバーするためには少なくとも、手取りとして欲しい金額の二倍以上の金額を稼ぐことが望ましい。想像した金額に眩暈を感じないだろうか。

不安定な収入と資金のやり繰りの管理はあなたを精神的に疲れさせるかもしれない。
さらに、経験が少ないと相場より低い金額を提示されたり、クライアントとの資金をめぐるトラブルに巻き込まれる危険性もある。
近年ではクラウドソーシングの普及により簡単にフリーランスを名乗れることから、その副作用としてフリーランサーの能力の低下、それによる案件の低価格化という問題も起きている。
資金のやりくりは大変煩わしい問題であるが、ここを蔑ろにすればそのまま自分の生活を圧迫することになる。フリーランスはたとえ一人きりでも、経営者としてやっていく覚悟が必要である。

組織の煩わしい人間関係から解放される

組織に属しているとどうしても悩みの種になるのが「人間関係」。自分の苦手な人でも、同じ職場で働いていれば一緒に過ごさなければならない。そのために四苦八苦することもあるだろう。
フリーランスは良くも悪くも「一人」。自宅という誰にも邪魔されることのない静かで快適な職場で、思う存分仕事に没頭できる。
しかしながら、それに魅力を感じるのは最初の数か月だけかもしれない。あなたが比較的孤独が好きな部類の人間でも、想像以上の孤独感を味わうだろう。
フリーランスは問題が起きた場合でも、一人で対処しなければならない。何らかの仕事に対する悩みを抱えていても、会社勤めの友人に相談しても実感を持って相談に乗ってもらえず、さらに孤独感を感じることになるだろう。
一方で、仕事を取ってくるには自分で営業をしなければならない。成果が自分の収入に直結するとなれば、今まで以上にクライアントへの対応には神経質になるだろう。
フリーランスとして安定的にやっていくには人脈がものを言う。それを考えるとどのような関係であっても、仕事を持ってきてくれる可能性があることを考えれば蔑ろにはできない。
人付き合いが苦手だと感じている人は、そのような生活にストレスを感じるかもしれない。

理想と現実のギャップを知る

「フリーランス」という働き方は、自分の行うすべてのことがよりダイレクトに自分に跳ね返ってくる。組織に属すということは面倒なことも多いが、一方である部分では自分を守ってくれていたことに気が付くだろう。
フリーランスがまだまだ浸透していない日本では、世間の認識と実際にフリーランスとして働く人の間にギャップがあるようだ。このギャップが大きいと、実際にフリーランスとして働き始めてから「こんなはずではなかった」と頭を抱える羽目になる。
以上のことを踏まえた上でフリーランスを目指す人は、決して楽な道では無いことを肝に銘じよう。「自由」は恩恵も与える一方で、それに見合った責任があることも忘れないでおきたい。どんな道でも「人生楽もあれば苦もある」である。覚悟を持って選んだ道を進もう。

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