働き方

五月病

五月病(ごがつびょう)とは

五月病とは新入社員や大学の新入生などによくみられる新しい環境に適応できないことが原因で起こる精神的な病の総称を指す。

もともと大学入学後の学生が5月の連休あと頃からうつ病に似た気分に見舞われ、無気力状態に陥ることが多いことからついた名称であり、医学用語ではない。医学的な診断名としては「適応障害」や「うつ病」と診断される。

五月病は5月に限らず発症する。さらに学生、新卒者、社会人を問わず、いつでも・誰にでも起こる可能性がある厄介な症状である。完璧主義者や、内向的で孤立しやすい人、過保護に育てられた人などが五月病になりやすい傾向がある。たいていの場合は一過性の心身の不調で、1~2ヶ月で徐々に環境に慣れ、症状が良くなるといわれている。

日本では新年度の4月に就職、異動、転居など様々な場面で環境が変化する。しかし、特殊な環境でない限り新しい生活に慣れていない状態でゴールデンウィークを迎えてしまう。すると、疲れが一気に吹き出したり、長期休暇の影響で社会に出たくなくなったりし、体や心は不調に陥る。

五月病の原因は環境の変化にあった

新入社員や配属が変わった社員など、今までとは異なった環境におかれた際、初めは期待感や緊張感で胸が一杯になっていることだろう。しかし1ヶ月ほど経つと環境に慣れてしまい、モチベーションが落ちてくるのが人間というもの。そのような状態で大型連休を迎え、心にも余裕ができると、緊張感から一気に開放されたり、この先やっていけるのだろうかという不安や焦りを感じたりしてしまう。このことが原因で五月病になる人が圧倒的に多いのだ。

特にIT業界へ就職した新入社員に場合、上司や顧客とのコミュニケーションをとることにストレスを抱えることが多い。今まで経験したことがない作業へのプレッシャー、厳しい仕事への対応などが、ストレスとなってのしかかっていると考えられる。

他にも現実への失望、目標の喪失など原因は様々であるが、これらの原因から湧き起こった気持ちが積み重なり、無気力感を増大させて、五月病になる。ストレスへの耐性は人それぞれ違うので、同じ環境であってもみんなが同じように発症するとは限らない。そのため、五月病を発症しない側の人間から「気合が足りない」などの精神論がもちあがる。

過度のストレスは心身ともに負担となり、最悪の場合うつ病などの引き金になりかねない。人は一度強い失望を経験すると、無意識に同じ失望感を感じないよう防衛本能が働く。少しでも駄目そうだと感じると無気力になり、痛い目に合わないよう自己防衛をしようとするのだ。無気力感は連鎖し精神的に大きなストレスとなっていく。精神が病むと疲れやすくなり、仕事や勉強、家事などに集中できずスランプ状態に陥ってしまう。さらには思考が抑制できなくなり、不安感や焦り、無気力感などの精神的な症状だけでなく、食欲不振や胃痛、腹痛、めまい、動悸などの身体的症状にまで発展してしまう。これはうつ病の症状とよく似ており、放置しておくと、本当のうつ病に発展しかねないので注意すべだ。たかが五月病と高をくくらず、精神が崩壊してしまう前に対策をたてるべきである。

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五月病を克服するための6つの予防策

その1 気分転換でストレス解消

気が滅入っているときは、仕事をしようと考えたとしても、なかなか行動にうつせない。しかし、それを放置してしまうと、さらに気分は落ち込み症状は悪化の一途をたどってしまう。

そんなときこそ、自分が今やれることを考えて、少しでもいいから動いてみよう。たとえば、簡単なスポーツをして体を動かしてみたり、自分の好きな趣味に打ち込んでみたりすることで、気分転換をしてみるのだ。

気分転換をすることでストレスを発散することができれば、気持ちも徐々に上向きになるはずである。

→リンク 仕事のストレスを解消する様々な方法

その2 完璧主義になりすぎない

なんでも完璧でないと気が済まないという人は、知らず知らずのうちに自分を追い込んでしまい、五月病だけでなく、うつ病にもなりやすい体質だといえる。

新しい人間関係や仕事を初めから完璧にこなせる人間などなかなかいる訳がないのだから、自分のイメージしていることの7割程度が出来れば上出来というくらいの考えでいるのが良いだろう。

特に新学期は新しい環境、新しい仕事を体験し、自分に出来ないことを多く感じ、知る機会がたくさんある。このときあまりにも高いプライドがあると、思いがけず挫折し、傷付いてしまうことがあるかもしれない。しかし、自分を振り返るいいチャンスだと考え、柔軟な思考を持つように努めてみてはいかがだろうか。

その3 人と話をする

不安やストレスを抱えたまま、悶々とした気持ちで生活しているのは精神衛生上良くない。どんなに小さなことでも友達や家族、恋人などに話すことで不安が和ぎ、気分が軽くなる。

自分の感情を吐き出すことでネガティブの毒抜きをできると同時に、同じことで悩んでいる仲間がみつかり、共に解決策を考えることもできるかもしれない。

その4 食生活に気をつける

食べすぎ飲みすぎや、不規則な時間過剰に食事を摂取することは、体調を崩したり太ったりし、自己嫌悪に陥る原因となる。新しい環境に焦りを感じて自分自身や周囲にイライラを感じるときは、カルシウムやビタミンC、疲労回復には欠かせないビタミンB2などを多く含む食事を規則正しく摂取し、ストレスに負けない身体作りをすることをお勧めする。

その5 睡眠時間を確保する

五月病やうつ病は心の病気ではなく、思考力の低下やネガティブの発想からなる。つまり、しっかり睡眠をとり、脳に十分な休息を与えることが、五月病にならない秘訣だ。

睡眠不足による悪影響は脳だけにではなく、免疫力を低下させるので、病気にかかりやすくなり、頭痛やめまい、下痢といった身体の症状にもつながる。体調がいまいちだと前向きな思考になれず、ネガティブな考えになりがちになるので、睡眠をおろそかにせず、規則正しい生活を送って、脳と体に休息を与えることが良いだろう。スポーツなどで適度な疲労感を得ると良質な睡眠に繋がるといわれている。

その6 目標をもつ

社会に出ると思い描いていた世界とは異なっていて、理想と現実とのギャップに上手く対応できず、目標を失って絶望してしまうことも少なくない。すぐに切り替えるのは難しいかもしれないが、ある程度気持ちが落ち着いてきたなら新たな目標を立てると良い。

いつまでの悩んでいては先に進むことはできないし、状況は変わらないどころか、悩みすぎはストレスとなり、自身に悪影響を及ぼしかねない。目標をもつことで生活に充実感をもたらし、目標に到達することで達成感が生まれる。今の自分に出来る最大限の目標でいいので、ひとつひとつクリアして、自分なりに楽しめる未来計画を立ててみては?

五月病かなと思ったら、まずはとにかく気分転換をし、自分の身体を労わってあげることが大切である。少し落ち込んだときにポジティブに考え、やる気を出そうとするのはいいが、無理にやる気を出そうとすると、それがストレスとなり、逆効果となってしまう。このようなときは自分の本音と向き合い、何が不安か、ストレスなのかを考えたり、上述したものに挑戦してみたりするとよいだろう。

これらのことを行ってみて、それでも気分が優れず1~2ヶ月が経過しても治らない場合はうつ病の可能があるので病院やカウンセラーなどの専門科に行くことをお勧めする。

環境が変わった社員を持つ上司ができること

新入社員や配属の異動した社員は表向き元気に仕事に励んでいても、実は環境の変化から心身共に緊張状態にあることを理解しておく必要がある。もし、五月病かと思うような社員がいる際は、まず「調子はどうか」など声をかけて、相手のことを気にかけてあげると良い。こうすることで社員の心に安心感が生まれ、気持ちに余裕を持って仕事に取り組める。

また、上司が積極的に社員の話を聞いてあげることも大切だ。相手は悩み事をいえるというだけで気持ちを落ち着けることができ、上司は悩みを抱えた社員が今何を考えているのかを知ることができる。このとき気をつけなければいけないことは、「自分はこんなとき○○したからこうしろ」といった押し付けがましいアドバイスをしたり、「私が若い頃は…」といった武勇伝を語ったりしてはいけない。相手の目をみて、うなずきながら、話を最初から最後まで聞いてあげることが重要なのだ。社員が内側に抱えているものを、言葉によって外に出すことにより、すっきりとした感覚を得ることができるだろう。気分が晴れた社員は五月病にかかりにくく成り、更なるやる気をもって仕事に励むことができるようになる。

未来予想図は楽しいものに

社会に出ると忙しくてなかなか休むことができず、少しぐらい具合が悪くても、出勤しなくてはならないのが現代の社会の姿だ。少し古い考えを持つ上司は「病は気から」「これくらいで休むなんて軟弱だ」と若い社員を批判的に見てしまう者も多いだろう。しかし、人間誰にだって生きていれば悩み事や辛い時期、上手くいかないことがでてくる。

もし人生において乗り越えられそうにない壁が立ちはだかったとき、あまり固執した考えになりすぎないで、違う方法を探したり、回り道をしたりしてもいいではないだろうか。

無理はせず、自分自身と向き合ってゆけば、社会生活を楽しみつつ、人生を充実させることが出来るだろう。

五月病診断

今の自分にいくつ当てはまるかチェックしてみよう

・他人とあうことや話すことが面倒くさい

・人見知りが強く、新しい環境に慣れるのが苦手

・周囲に気を使いすぎたり、空気を読みすぎたりしてしまう

・仕事や勉強などの物事についてよく悩み、落ち込む

・生活リズムが夜型

・睡眠をとったはずなのにベッドからでるのがつらい

・「自分はだめだ」というは考えから抜け出せない

・洗顔や髭剃り、化粧など身だしなみに気を使えない

・通勤中や通学中など、目的地に近づくにつれて、腹痛・吐き気・動悸等の症状がでる

・食事に関心がない

 

当てはまる個数が…

3個未満 五月病の心配なし

4~6個 五月病の傾向あり

ストレスが溜まり、緊張状態強い可能性が高いのでリフレッシュをすべき

7個以上 五月病の可能性が高い

この状態が2ヶ月以上続くようなら受診が必要

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