働き方

イノベーション

イノベーション(innovation)とは

イノベーションとは革新、または新機軸を創造すること。一般的なイノベーションの捉え方は「新しい技術の発明」と勘違いされがちだが、そうではなく人や組織、社会などに対しての幅広い変革を意味する。

今まで存在はしていたが結びえなかったいくつかのもの同士を結合させ、社会的価値のある新たなものを生み出す。その新たなものが社会に大きな影響を与え、いままであった固定概念を覆す。この一連の流れもイノベーションの一つである。今までの仕組みに対して新しい考えや技術、方法をとりいれることで、新たな価値が生まれる。それが社会的に大きな変化をもたらすのだ。

イノベーションの由来

オーストリアの経済学者であるヨーゼフ・シュンペーターによって1911年に定義された言葉で、「革新する」「刷新する」という意味の英動詞innovateの名詞形であるinnovationに由来している。経済活動の中で生産手段や資源、労働力などそれまでとは異なる仕方で新結合することと定義した。シュンペーターはイノベーションを企業の活力源として捉えたのだが、現代社会では技術革新の意味に捉えられることが多く、画期的な技術開発が経済社会や、生活に与える影響について関心が寄せられるようになっている。

イノベーションの意味は時代と共に変化している

これまで、イノベーションはよく「技術革新」や「経営革新」或いは単に「革新」・「刷新」などと言い換えられてきた。これは1958年の『経済白書』において、イノベーションが技術革新と訳されたことに由来していると考えられる。当時の経済発展の要因は技術そのものであった例が多く、イノベーションは「技術革新」と訳されたのかもしれない。しかし、イノベーションとは技術的な革新に留まらず、世の中に普及する新しい概念を全般に指す言葉である。時代の流れと共にシュンペーターが定義した本来の意味の捉え方に近づいてきたのだ。

社会を変化させるイノベーションの5大要素

イノベーションの意味はひとつに留まらず、様々な分野で多様な見解をされている。画期的な

新技術やまったく新しい物事の仕組みを生み出し、世の中に改革を促すこと、新しいものを生産することであり、また既存のものを新しい方法で生産することである。生産とはモノや力の結合である。イノベーションが起こるためには様々な結合の要素が存在し、次の5つは代表的な要素として挙げられる。

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①新製品の導入

②新しい作り方・新しい生産法の導入

③新しいマーケット(販売市場)の発見・開拓

④新しい原材料の導入

⑤新しい組織の導入

シュンペーターのイノベーションは「創造的破壊」、つまり現状を打破する類のものであり、質的には非連続性をともなったものである。

①新製品の導入

昔から化粧品というものは、女性専用のものだと思われていた。一方、今では男性用化粧品というものも普通にコーナーとして並ぶ時代になっているのがうかがえる。男性用化粧品の歴史は意外と古く、香水や整髪剤の分野では、海外からの輸入物も多く、昔から親しまれていたものである。しかし、昨今で増えてきているのは、洗顔フォームや、化粧水、乳液などの女性が使用していた分野の化粧品である。化粧は女性がするものというのは、全世界で共通の認識だろう。男性で化粧を施すのは、舞台などに立つ役者や芸者、ミュージシャンなど特殊な職業の人たちだけと思われていた。しかし現代では男性でも紫外線や乾燥から肌を守りたいと考える人も増えてきている。この潜在的なニーズに応えるために、化粧品会社は女性向けとして浸透していた化粧品を男性向けに提供し、イノベーションを起こした。

②新しい作り方・新しい生産法の導入

同じ製品でも、新しい作り方・新しい生産方法を導入する。つまりこれはプロセスイノベーションである。これは日本が得意な分野といえる。例えば、アメリカで発明されたものをより安く、より良く作るのだ。
日本は、戦後の高度経済成長の中で、製造業が次々と開発を行い、技術革新を起こしてきた。日本のように狭い国土で世界と戦っていくためには、作業の効率化が求められる。今までのやり方をそのまま行っていたのでは、大国とまともに張り合えない。そこで、日本人の繊細な技術を活かし、効率を上げるための生産方法を生み出してきた。

③新しいマーケット(販売市場)の発見・開拓

分かりやすいのはドンキホーテのコンセプトで「真夜中を売っている」というものである。他のショップが参入しなかった真夜中というマーケットを発見したのだ。なんでも売っているだけならば、昼間に百円ショップに行けばいい。しかし深夜12時を過ぎて開いて、何でも置いてある店は今までになかった。人間は夜中に突然暇になることがある。そんな時思い立って行ける場所をマーケットとして発見し、展開した結果、大成功を収めたのだ。ウォークマンも同様で、製品としてすでに販売していたテープレコーダーとヘッドフォンを組み合わせただけだが、歩きながらステレオを聴く、という今までにはないマーケットをつくり出した。

④新しい原材料の導入

これはアルミ缶からからペットボトル、石炭からガソリンなど、環境視点とコストを大事にした新しい原材料の導入である。現在、ドイツがリサイクルを重視し、ペットボトルの生成をやめ、ガラスビンを使用する方向に回帰している。日本でもいつかこれに習い、ペットボトルをやめてビンにしようという時代が来るかもしれない。これもある意味イノベーションだ。ビンに戻るというのは、材料としてだけでなく、過去に存在していたしていたものを、新しい手段として使うこととしてイノベーションが起きているということになる。

他にも木くずや廃材、トウモロコシなどを発酵させて作るエタノールや、家畜の糞尿などを発酵させて作るメタンなどを使用した環境によい新しい燃料の開発が進んでいる。地球温暖化の原因とされている二酸化炭素を増加させない燃料で動く車の開発も同時に行われている。これらの燃料が急激にもてはやされている背景には、原油の高騰や枯渇危機といった問題がある。今の人類には石油に変わる新しい原料が必要なのである。

⑤新しい組織の導入

今までのイメージを変えて、新しい制度を導入していくこと。従来の仕組みやビジネスモデルを変化させることで、他が真似できないような体系を生み出していくことを指す。

今、あまり本屋に本を置きたいと思っている出版社は少ないという。なぜなら「一週間に3回以上コンビニに行く人」は8割いたとしても「週3回以上本屋に行く人」は 1割ほどで、明らかに訪れる人の数が違うからだ。この背景から出版社としては、本屋よりもコンビニに本を置きたくなるのはあたりまえのことだといえよう。これも新しい組織革新の一つといえる。

イノベーションを起こすためには情報が必要

多方面にわたる情報をなくして、イノベーションを語ることはできない。イノベーションには、そこに需要があり、起こるべくして起こったものと、本来あったものも根本から見直すことによって、新しく組み立てられたものと二つに分かれる。

物事においてイノベーションを起こすのであれば、まずは自分の生活における「不安」「不満」「不便」を寄り集め、それらについて根本から突き詰めて考えていくべきだ。自分が不安や不満、不便に思っていることを、安心し、満足に利用するためにどうすればいいかを考えることでイノベーションが起こる可能性がうまれる。

誰かが誰かの為を想い、実現しようと努力し続けることが、新たなイノベーションを引き起こし、より良い社会を作り出していくのだろう。

それではイノベーションとはどういった人たちによって作られたものなのだろうかこちらのページで確認していただきたい。

イノベーションを起す人に見られる特徴5つ

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