働き方

M2M

【M2M(Machine to Machine、マシン・ツー・マシン)】

M2Mとは、機械間同士の通信のこと。個々に稼働する機械同士が、コンピュータネットワークを通じて、人間による操作を介さずに相互に情報をやり取りし、自動的に最適な制御や動作を行うシステムを指す。

M2Mの活用例「防犯カメラ」

IoT(Internet of Things)との違い

M2Mと混同されやすい概念として「IoT(Internet of Things)」がある。IoTとは、機械がインターネットに繋がり、機械や人と通信を行うこと。
M2Mが機械同士の通信のみを指すのに対して、IoTは機械と人との通信も含まれる。また、IoTはインターネットというオープンなネットワークとの接続であるのに対して、M2Mは機械と機械の間だけの閉鎖的な接続も含まれる。
かつては機械間のみの閉鎖的なM2Mが多く見られたが、近年ではIoT、すなわち機械とインターネットの接続を実現することで、同時にM2Mを可能にすることがほとんどであるため、同じ意味で使用されることも多い。

M2M拡大の背景

M2Mが拡大している背景には、3つの要因がある。通信機器の小型化、ネットワークインフラの発達、通信料金の低価格化だ。
大手通信会社であるBIGLOBEもM2M・IoTソリューションを打ち出し、M2Mの拡大に努めている。
M2Mの市場は2000年代半ば頃から形成されていたが、当時は通信コストが高く、また通信機器を組み込めるデバイスが限られていたため、急速な拡大には至らなかった。
しかし近年の技術革新により、低額のネットワークが急速に拡大。通信機器の小型化も進み、M2Mがより現実的なものとなったのである。
現在、日本国内ではほぼすべてのエリアで3G回線・またはブロードバンド回線の利用が可能となっている。すなわち、国内のほぼすべての場所がM2Mの対象エリアということだ。
2020年にはインターネットに接続されるモノが500億にも上ると言われている。M2Mビジネスも今後ますます拡大していくと見て間違いないだろう。

M2Mの応用範囲

M2Mの応用範囲は非常に広く、主に以下のようなものがある。

  • ガス・電気メーター …消費量の自動計測・送信、異常時のガス供給停止
  • 防犯カメラ …不審者を検知して通報
  • エレベーター …稼働の監視、故障情報の検知・通知
  • 交通 …渋滞情報をリアルタイムで検知・通知
  • 空調 …エアコンや換気扇等の自動制御
  • 独身高齢者の見守り …異常を検知して通報
  • 工場 …機械の管理・保守、生産工程の最適化
  • 自動販売機 …売り切れ商品の検知・発注
  • 農業 …温度や湿度、土壌情報等の可視化・自動制御(農業クラウド)

M2Mで使用される通信方式

M2Mの通信方式には様々なものがあるが、その特性に合わせて、組み合わせて用いられることが多い。
主な通信手順としては、機械に組み込まれたセンサーデバイスや計測装置からの情報をゲートウェイに集約し、インターネットを介して制御システムに送るというものである。センサーデバイスとゲートウェイ間に用いられる通信方式としては、低コストで通信距離が狭く、消費電力が少ないものが中心。Zigbee(IEEE802.15.4)、BLE(Bluetooth Low Energy)など。
ゲートウェイに集約したデータをインターネット上に送信する際には、通信距離が長く、大量のデータ通信が可能であるが、その分消費電力やコストが大きい通信方式が中心となる。3GやLTE、WiMAXなど。

M2Mで使用される通信方式一覧

  • 携帯電話通信網(3Gなど)
    セキュリティが高い
    混信リスクが低い
    通信コストが高い
  • Wi-Fi
    無線免許が不要
    通信コストが低い
    消費電力が大きい
  • Bluetooth
    消費電力が大きい
    通信距離が狭い
  • BLE(Bluetooth Low Energy)
    消費電力が少ない
  • Zigbee
    消費電力が少ない
    拠点内通信に最適
  • Wi-SUN(Wireless Smart Utility Network)
    通信距離が長い
    消費電力が少ない

M2Mがもたらす未来予想図

M2Mのメリットとしては、これまで人の手で行っていた仕事の機械化が可能になることや、それにかかる人件費の削減等が挙げられる。しかしこれは同時に恐ろしい未来の到来を示唆している。
2015年、英国オックスフォード大学でAI(人工知能)の研究を行うマイケル・A・オズボーン准教授が、衝撃的な論文を発表し、世界中で話題となった。現在ある職業のうち約半分が、10年後には消えてしまうというのだ。
M2Mの拡大は、明らかにこの未来へと向かわせるものである。単純作業や反復作業のみならず、状況を把握した上で判断を下す、という思考領域にまで機械化が及ぶのだ。
来るべき未来に向けて、我々人間にしかできない新たな雇用の創造が求められるだろう。

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