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働き方改革担当相

【働き方改革担当相】

第3次安倍改造内閣(2016年8月3日発足)で新設されたポスト。一億総活躍相との兼務で加藤勝信氏が就任した。「未来チャレンジ内閣」と命名された内閣で、重点課題とする働き方改革推進を担う。

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「最大のチャレンジ」。安倍総理は働き方改革をそう位置づける。長時間労働の是正、同一労働同一賃金、時間より成果へのシフトなど、働き方の変革は、過去半世紀の企業の成長法則をリセットすることになるだけに、切り崩すべき岩盤は分厚いからだ。

それでも安倍総理は「長時間労働を是正する。同一労働同一賃金を実現し、非正規という言葉をこの国から一掃する」と並々ならぬ決意を語った。首相がここまで力を込めるのは、働き方改革が、アベノミクスが掲げる経済再生に強く連動するからにほかならない。

日本経済の昨今の停滞は、もはやモノづくり大国としての失墜といった言葉では説明がつかない。少子高齢化により、労働人口が減少。産業構造も製造業中心からITやサービス業へシフトしている。日本の高度経済成長を支えた成長モデルはすでに、変化した社会・産業構造に合致しない歪なものになっているのだ。

社会・産業構造と働き方がミスマッチなままでは、適正な経済成長など望むべくもない。長時間労働もまさに徒労となり、緊急要員のハズの非正規が、コスト削減の弾力剤にしかなり得ない。これでは企業は現状維持が精一杯。労働者は疲弊するだけ。誰も得することがなく、日本の国力が衰退することにしかならない…。

本来は企業主導でこうした改革が自主的に推進されるべきだが、全ての企業が足並みを揃えなければその十分な効果は期待できない。そこで、国が旗振り役となり、働き方の抜本改革に乗り出す。その中核を担うのが、働き方改革担当相ということになる。

政府があえて介入するのは、税や社会保障の改革も絡んでくるからだ。働き方の多様化は急速に進んでおり、これまでのカテゴリーに納まらない雇用形態の労働者も増加している。そうした法の穴を埋めることも重要課題となっている。

女性の活躍推進やシニア層の活躍促進という観点では、一億総活躍相との兼務は自然の流れだ。労働人口の減少というマイナスをプラスに換えることが一億総活躍社会の実現の狙いだが、それはそのまま働き方の従来からの変革とそのまま連動する。

労働者の環境を改善するという側面もあるが、それ以上に新たな産業構造に見合ったグローバルにも通用する働き方へのシフトの実現。もはや遅すぎるくらいだが、働き方改革担当相の創設で、久しく重篤症状が続く日本経済がV字回復することが期待される。

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