働き方

プア充

【プア充】

高収入を望むことなくそこそこ働き、プライベートの充実に重きを置く生き方のこと。デフレが進みモノの価格が下落する中で、年収300万でも充分に豊かな暮らしができると提唱されている。牛丼は280円、DVDレンタルは100円、贅沢をしなければ楽しく生きていけると考える人が増えている。

国税庁の「平成24年度民間給与実態統計調査」によると、1年を通じて勤務した給与所得者の1人当たりの平均給与は408 万円(男性502万円、女性268万円)となっている。
さらに、総務省が公表した「平成24年度就業構造基本調査」では非正規社員数は2043万人になっており、中でもパートや契約社員は増加の一途をたどっている。このようなことから、潜在的プア充は多く存在すると考えられる。

結婚するなら「プア充」!?

未婚の割合が年々上がっていく現代。しかし、その一方でプア充同士の結婚率は高いといわれている。ではプア充は一体、どのような魅力を持っているのだろうか。
まず始めに、時間があることがプア充のひとつの魅力としてあげられる。休日出勤や長時間の残業を行ってお金を稼ぐ高収入の人とは異なり、プライベートの時間がとりやすいと考えられる。そのため、子どもができた時、家族団らんの時間が確保できる、育児を手伝ってもらえる可能性が高い。
さらに、プア充は安定性を持っている。高収入の人は、高い給与をキープし続けようと身を粉にして働き続けなければならない。その結果、ストレスによって体調を崩す等のリスクも大きくなる。また、お金がある人ほど支出も大きいという傾向があるため、高額な買い物で散財することもあるかもしれない。だが、プア充は限られたお金の中でやりくりしようとする。自分の身の丈にあった買い物ができるため、購買させようとする社会の誘惑に打ち勝つ力を持っているのだ。

プア充の増加は貧困を生む

しかし、その一方でプア充には否定的な意見もある。プア充の増加は社会の活力低下の原因になるといわれている。その理由には、高収入の人に比べて、税金・健康保険料の負担が少ないことがあげられる。現代社会の構造では、富裕層から搾取するため、プア充の増加は国の貯蓄が減少することに繋がる。プア充が増加していくと、国自体が貧困に陥る。国際競争が激化する中、国の貧困は大きな痛手となり得るだろう。
活力低下の原因はそれだけではない。プア充の多くはほどほどを好み、上昇志向の低い人が多い。そのため、プア充が会社に多く存在するようになると企業の成長を止めてしまうといわれている。また、企業の人事担当者の中には「上昇志向の低い人とは、一緒に働きたくない」という意見もあり、プア充は企業からはよい存在としてあまり思われていないようだ。
さらに、プア充よりも年収の低い貧困層からは、プア充を推進することへ強い反発の声が上がっている。「パートや契約社員はクビになる不安が常にある」「税が上がり、さらに年金がもらえるかわからない社会で、高い収入があることこそが将来の安心だ」「子どもを育てるお金の余裕がない」など収入が少ないことへの苦労が感じられた。

プア充が住みやすくなった社会

プア充の増加は、経済不況がもたらしたと考えられている。不況によって、正社員として雇用せず、パートや契約社員を多く求めるようになった結果、多くのプアが誕生した。また、ブラック企業のような会社が社会で取り沙汰されるようになり、一生懸命に働くことが昇給や給与のアップに繋がるわけではないというメッセージを若者に伝えた。これまで当たり前とされてきた、出世は幸せだという定義は、これらにより変容した。そして、一生懸命働くことによって起こるリスクを負うよりも、ほどほどに働いてリスクを負わない安定志向が求められるようになったのだ。
さらに、100円均一の出現や、ファストフード・コンビニエンスストアの充実化など低価格で十分な満足を得られるようなサービスが作られたこともひとつ理由だ。このような環境により、プアは充実した生活を送れるようになった。

幸せの感じ方は人それぞれだ。だが、今ある幸せだけではなく、未来の幸せを考えていける・幸せを持続していける社会をつくっていく必要がある。

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