働き方

ストレスチェック

【ストレスチェック】

一向に減らない働き盛りの自殺者や精神障害に関連する労災補償状況などを背景に、必要とする機運が高まり、2014年6月の通常国会で成立した改正労働安全衛生法で2015年中の義務化が決まった。

企業のメンタルヘルス対策の一環として、過剰なストレスを抱える社員を早期に発見し、予防につなげるのが実施の目的。社員50人以上の企業が対象。チェックは、社員自身がメンタル不調に陥っていないかを自己点検する。

過剰な負担があった場合、会社は労働時間短縮などの措置を取らなければならない。ストレスチェックの項目は、「疲れている」、「憂鬱だ」、「何もする気が起きない」など、心理状態に関する質問になる見込み。チェックは年一回以上行われる。ストレスチェックでストレスが高いとされた場合、会社に申し出て、医師による面接指導を受けることができる。

なぜ実施するのか

ストレスを感じている人

いつまでも減少しない自殺者数については、ある程度ご存じだろう。ここ数年3万人を割る数字で推移しているが、3万人前後と高い水準は変わらない。とはいえ、どう減らすのか、となると明解な策があるワケではない。ただ、原因が過剰なストレスによる精神的問題に起因するケースが多く、ならばせめてそれを抑制しようというのが、実施の狙いだ。

実施義務があるのは従業員数50人以上の事業所。それに満たない場合は努力義務となる。では具体的に何をするのか。流れとしては医師、保健師等による問診票などによるストレスチェック→結果通知→セルフケアもしくは相談窓口の利用→希望者へ面接指導が、おおまかなところだ。

これらを受け、事業者は、医師などの意見を踏まえ、時間外労働の制限や就業場所の変更、作業の転換、深夜業の頻度減少などの措置を行う。実施にあたっては、事前に事業者からの方針表明が行われ、結果についても取り扱いには細心の注意が払われれる。ナーバスな問題だけに、この辺りのケアは、しっかり行う体制が敷かれている。

では、どんなことが質問されるのか。気になる質問票には、例えば、仕事についてあてはまるものを選ぶものでは「非常にたくさんの仕事をしなければならない」、「時間内に仕事が処理しきれない」などの項目があり、それを何段階かで選択する。上司や同僚とどれくらい気軽に話せるか、といった質問もある。

目的がストレスの軽減にある以上、通常はなかなか口にしにくい内容の質問も多くあり、回答に躊躇する人がいても不思議はない。いくら取り扱いに注意を払うといってもだ。しかし、それではチェックの意味がなくなってしまう。そこで、実施にあたっては、人事上の不利益がでないよう、直接の権限を持つ者のストレスチェック実施の事務に従事することは禁じられている。

課題はないのか…

事前チェックにやってみると参考になるかも…

事前チェックにやってみると参考になるかも…

こうしてみると、ストレス社会を打破する可能性を感じなくもない制度にみえる。だが、究極のストレス充満企業であるブラック企業でこの制度を実施した場合、果たして、公正な結果が期待できるのかは疑問が残る。そうした企業が、従業員のネガティブな結果に対し、人事上不利益を出さないことは考えられず、故に回答に虚偽が記入されることになることが容易に予想できるからだ。

ブラック企業でなくとも、素直に回答するのは、日本人の特性を考えても簡単ではないだろう。そうなると、質問に答えながら自己嫌悪に陥り、かえってマイナスに作用することも考えられる。特に自分にはストレスは無関係、と思っていた頑張り屋さんが、質問を前にして、「あれれ…」となることがあっても不思議はない。企業にとっては、出来ればやりたくない地雷除去、従業員にとっては、後味の悪い人生相談。両者にとって、なんともばつの悪い、“儀式”となりそうだが…。

人それぞれのストレス解消を考えよう

ストレスチェックを行ってみても、結局ストレスの原因が取り払わなければストレスの解消には結びつかないと考える人は多いだろう。しかし、いろいろな事情により環境を変えることは難しく、他人の心を変えることも難儀である場合は多い。そういった時に、変えて行けるのは自分しかないので、ストレス解消法は複数身に着けておいた方が無難だ。
こちらの記事では、いろいろなストレス解消の方法を集めているので、是非見て参考にして欲しい。
仕事のストレスを解消する様々な方法

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