
Work Breakdown Structure
Work Breakdown Structureの略。プロジェクトマネジメントで計画を立てる際に用いられる手法のひとつ。プロジェクトを行う際に、やるべきこと(work)を細かく分業(breakdown)して、構造化(structure)すること。「作業分割構成」「作業分割図」ともいわれている。
WBSは、始めに必要な要素をすべて洗い出し、可能な限り細分化し、それぞれの作業について必要なコストや人員配置を考える。これらは、作業全体の把握や、進歩管理・計画の調整をすることができプロジェクトの精度を向上させることができる。
細分化された作業は、親要素・子要素・最低の段(個々の作業)をワークパッケージと呼ばれているいくつかの要素に分かれている。
【WBS作成の難しさ】
プロジェクトの成功・失敗のカギを握るのは、WBS作成の完成度であるといっても過言ではない。WBSを綿密に作成すれば、プロジェクトの成功の確率も高まる。だが、実際にはWBSがうまく作成できずに、納期が遅れたり、予算コスト内に収まらなかったりすることがある。そのため、WBS作成者に大きな負担がかかる。また、スケジュールがずれてしまったときの修正も困難になり、作成したWBSを使わなくなってしまったということもあるそうだ。WBSのデメリットはなんといっても、作ることの難しさがあげられる。
【どこまで細分化すればいいのか?】
80時間ルール WBSの最下層は、その作業時間が1日8時間、2週間で80時間以内になるよう作業の分割を行うというルール。80時間という時間は、人間の頭の中でコントロールができるとされている。
7×7ルール
ひとつの親要素にぶら下がる子要素の数は7程度まで、階層を7層にするというルール。要素を増やしすぎると、WBSを把握することが困難になるため、管理する側にとってWBSを扱いきれなくなってしまう。
100%ルール
親要素に対して、子要素をすべて足し合わせると親要素と等しくなるというルール。つまり、子要素からなる親要素が90%であるとWBSに漏れがあると判断される。
これらのルールは、作業の抜け・漏れ・重複を防ぐことができ、またひとつひとつ確認して行うため、先を見越した作業を考えながらできる。管理者側にとっても、WBSを作成しやすいひとつの基準となるだろう。
これらのことから、WBS作成において、設定した期日通りに進めることのできるスケジュール管理能力、先を見越した作業のできるロジカルシンキング能力が必要だ。WBSを詳細に作成できれば、作業効率化に大いに役立つものとなる。
【コミュニケーションツールとしてのWBS】
WBSには行動を可視化するため、作業工程を確認でき、自分の行っている作業を把握しやすい点を持っている。つまり、WBSはコミュニケーションツールとして活用できるのだ。また作成する際には、複数の人と共に作ることで、自分の気が付かなかった作業工程の漏れ、人員配置のミスなど、リスク回避するための意見をもらうことができるだろう。さらに、作成時に関わった人はプロジェクトの内容を共有することができる。デメリットとして挙げたWBS作成者の負担を軽減させることも可能だ。安定したWBSを作成するには共同作業が適していると考えられる。