働き方

ワークライフバランス

ワークライフバランス

「仕事と生活の調和」と呼ばれるものである。仕事と生活は密接な関係があり、仕事がなければ賃金が貰えず生活が立ち行かなくなる。生活には仕事が必要不可欠な要素だといえよう。自分の人生の長い時間を費やす仕事だからこそ、そこにやりがいや生きがいを見つける手段や方法を、社会全体が薦めている時期もあった。

しかし、ここ数年の間で事態は大きく変化している。仕事に生きがいを見つけろと指導したはいいが、人によっては仕事ばかりに没頭してしまうと、心の余裕がなくなり精神的な異常をきたしてしまう人も出てきた。その状態をワーカホリック(仕事中毒)という。ワーカホリックにかかると、精神を病むだけでなく、周囲の環境も悪化し、心だけでなく体も、そして、家庭や友人との関係なども壊していってしまうのだ。

仕事人間が増えることで、社会的にもいろいろな弊害が生まれてきている。一つは少子化で、仕事に追わてしまうことで、育児に時間を掛けるができなくなるため、子供を作らない夫婦が増えているといった問題が生まれている。もう一つは、過労死である。過剰に仕事をすることで、精神を病み自ら命を絶ってしまう人が出てきていることも否めない。

そこで打ち出されたのが、この「ワークライフバランス」という考え方である。仕事と生活を調和させて、人間らしい生活をしようというものである。生活というのもいろいろなフェーズに分かれて存在している。学生時代から就職し、仕事人として始まり、結婚がある人もいれば、育児がある人もいる、さらには介護をしなければいけない人だっているだろう。そういう生活の変化にも応じた仕事との調和ができる社会的な仕組みが「ワークライフバランス」なのだ。

ワークライフバランスを実現するためには企業側の理解が必要

それでは、今日からワークライフバランスを始めようと思ったところで、すぐに実現できるものではない。仕事は一人で行っているものではないし、さらには組織に所属している以上、制限というものも必ず存在するのである。労働を管理している政府や自治体がワークライフバランスを訴え始め、それに賛同する企業なども多数出てきているようだが、多くの人は、その恩恵を授かることができず、いまだに仕事に打ち込み続けているという実態も見えている。

ワークライフバランスは誤解を生む

「ワークライフバランス」が大きく叫ばれるようになってから、「ワークライフバランス」についての誤解というものも生まれるようになってきた。仕事と生活の調和という言葉だけが先走り、プライベートだけを充実させることを、「ワークライフバランス」として捉え始める人が、増え始めてきたという実情もある。そうなってくると、「仕事あっての生活」というもともとの神話が崩壊し始めることとなる。

「ワークライフバランス」はコンプライアンスとして管理されるものではないのに、それを権利として主張し始める人も出てきた。そうなると「ワークライフバランス」というものは、プライベートを充実させたい人たちにとって都合の良い言葉としてしか機能しなくなる。そうなると本末転倒だ。本当の意味での「ワークライフバランス」が損なわれていきかねない。

それを防ぐためにも、もっと「ワークライフバランス」について、正しく伝える必要がある。そうなってくると、仕事と生活の調和という言葉だけでは伝わらない。仕事が充実しているからこそ、生活も充実させるべきという考え方。逆も然り、生活が充実しているからこそ、仕事も充実させるべきという考え方。これが正しい「ワークライフバランス」なのだ。

仕事の充実=生活の充実と考えられるか

「ワークライフバランス」を実現するためには、もちろん仕事だけにとらわれてはいけない。さらに、生活だけにとらわれてはいけない。それこそ、バランスをとることが重要なのだ。「働くことが楽しい」という人がいる。心からこのように考えられる人は、自ら働いている人であり、誰かに働かされている人ではない。この考え方こそワークライフバランスの第一歩である。生活と仕事の融合・調和とはそういった観点から見直していかなければならない。

自分の仕事は何の役になっているだろうか。何のためにしていることだろうか。その答えがお金のためというのも当然あると思うが、それ以外の答えを見つけることができれば、仕事を仕事して楽しめるだろうし、生活を生活として楽しんでいけるだろう。それこそが、正しい「ワークライフバランス」のあり方なのではないだろうか。

ワークライフバランスを推奨している団体

・仕事と生活の調和の実現に向けて―内閣府
http://wwwa.cao.go.jp/wlb/

・仕事と生活の調和推進プロジェクト―厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/sigoto-seikatu/

・<東京都>ワークライフバランス―東京都
http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/index8files/t_wlb/

・京都ワークライフバランス―京都府
http://www.pref.kyoto.jp/wlbsuisin/

・ワークライフバランスの取り組み―札幌市
http://www.city.sapporo.jp/kodomo/jisedai/wlb.html

・いしかわワークライフバランス―石川県
http://www.i-oyacomi.net/wlb/

・しがのワークライフバランス―滋賀県
http://www.pref.shiga.lg.jp/f/rosei/wlb/

・あいちワークライフバランス―愛知県
http://www.aichi-wlbaction.com/

・よこはまワークライフバランス―横浜市
http://www.city.yokohama.lg.jp/kodomo/kikaku/wlb/

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