働き方

ワーキングマザー

ワーキングマザーとは

働く女性「ワーキングマザー」(Working Mother) 仕事と家事を両立させている母親のこと。
この概念が日本で主流となったのは80年代から。かつて女性の仕事は主婦業につくまでの「腰掛け」と評されてきたが、男女共同参画が本格化し「働く主婦」像が確立されたことによって、現在に至るまでこの文言をめぐる社会的関心が高まった経緯がある。
総務省の就業構造基本調査では、2012年時点で25~39歳の女性のうち、働く人は全体の約7割であり、以後増加の一途をたどっている。
背景に考えられるのは、景気悪化による賃金の削減と、それに伴う世帯収入の減少。子どものいる家庭では養育費など子育てに関する支出をカバーするため、やむなく母親も共働きに出ているケースがある。

「できすぎる」ワーキングマザー

「働く主婦」像はジェンダーにおける「強い女性」像と混同されやすい。
しばしばメディアで紹介されるのは、仕事も家事も完璧にこなす、いわゆる「スーパーお母さん」であることが多い。
当たり前だが、会社で働く子持ちの女性の全員が「スーパーお母さん」というわけではない。内閣府男女共同参画局では、ジェンダーフリーの文脈を男女の社会的平等に組み入れることを避けるよう推奨しており、「働く主婦」=「強い女性」というイメージは、必ずしも正しいわけではない。
だが依然として偏向的な情報発信は見受けられ、「働く主婦」がさも「強い女性」であるかのような誤った解釈へつながっているのは事実だ。

「女性の活躍」をめぐる枠組み

2013年、政府は経済成長戦略の一環で「女性の活躍」に関する政策案を出した。
ワーキングマザーはとにかく時間がない。仕事をこなす傍ら、料理洗濯家事全般、子どもが体調不良になったとき、病院に連れて行くのもお母さんの仕事だ。多忙な毎日を送る彼女たちに世間の認知が高まるかな、社会は、会社はどういった施策を講じているのか?ワーキングマザーをめぐる枠組みを紹介する。

産休

妊婦が心身ともに健康であるには、十分な静養が必要になる。労働基準法では、産前休暇は出産予定日の6週間前から取得でき、産後休暇は出産日の翌日から起算して8週間取得できると定められている。

時短勤務

職場を早上がりして、育児に時間を割くための制度。時短勤務の利用者は女性のみならず、男性にも適応される。子育てに積極的な父親が増える現在、この制度はありがたいはずだ。

残業なし

ワーキングマザーである経営者が「残業ゼロ」を謳い実践している企業も存在する。彼女が残業ゼロに踏み切った理由は、自身の子育てに困るのだが、自分だけ早く帰るということに、後ろめたさを感じていた。そこで、会社全体を残業ゼロにし、働き方を見直したというわけだ。当初、このことによる反感は多少なりともあったらしいが、次第に浸透していき、今では残業ゼロでもしっかりと業務の回る会社ができあがっているという。
定時帰りが習慣化すると企業にとってのメリットもある。残業を責務としている社員はプレッシャーから開放され、周囲は定時帰りに後ろめたさを感じる必要はない。また時間制限を設けることで組織に一体感が生まれ、生産性の向上が期待できる。

問題点

産休は雇用形態によっては制度を利用できないのが難点だ。日雇いや休暇中に労働契約が切れてしまう人、あるいは雇用期間が一年以内の人は育児休暇を取得できない場合がある。
また会社自体が産後復帰希望者を拒否するケースがある。勤務時間の短縮や非効率を避けるため、就業規則にこじつけて解雇されるということがあるのだ。
そしてこれらの制度を利用するにあたって、最大の問題となるは「風土」だろう。たとえば時短勤務に理解の少ない職場だった場合。家事に専念して、なおかつ仕事での人間関係をスムーズにするためには、それを受け入れるための土壌作りが必要になるはずだ。

「ワークライフバランス」で仕事と家事、適当なバランスを保とう

ワークライフバランスという言葉がある。
「仕事と生活の調和」と呼ばれるこの用語は、内閣府が提唱するひとつの指針である。
ポイントは、仕事と生活、この両方を楽しむということだ。仕事で得たプラスのベクトルを、生活のほうへコミットすることで、人生における正のスパイラルを作るという理論である。

とりわけワーキングマザーについてはこの条件があてはまりやすい。仕事と家事の両方に追われる彼女たち、その全てが「スーパーお母さん」になれるわけではないが、すべての女性は「スーパーお母さん」になる素質を持っているということだ。

とはいえ、この二つを完璧にこなすのは並大抵のことではないし、ほとんどのお母さんがこの板ばさみに悩むことだろう。それを解決するためには、育児休暇や時短勤務を利用し、自分の問題はひとりで抱え込まず、上司、同僚、あるいはパートナーの助けを借り、「働く主婦」としての人生を謳歌していけばいいだろう。

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