インタビュー

いいことばかりじゃない。海外フリーランス生活の住んでみないと分からない落とし穴

投稿日:2017年7月27日 / by

南国の楽園・タヒチだからこそおきたフリーランサー失敗談

日本から約9,500km離れた美しい島・タヒチ。照り付ける太陽、豊かな自然、空が落ちたような真っ青な海。こんな環境で働くことは、多くの日本人の夢かもしれません。しかし、実際に現地で働いてみると、時差やインフラの未整備によって日本では考えられないトラブルが起こります。今回は、数年前からタヒチでフリーランスとして活動する林未知さんの、現地で実際に体験した失敗エピソードを紹介します。(powered by THE LANCER編集部)

ややこしい時差計算

青い空、透きとおる海、ヤシの木そよぐ……。そんなハネムーナーに人気のタヒチに移住してもうすぐ5年。クライアントや取材先の方々には「ヒタチじゃなくて、え? タヒチ!?」「タヒチってどこでしたっけ?」と格好の話しのネタになり、『タヒチの人』として覚えられやすい近頃。

しかし海外生活は良いことばかりじゃありません。住んでみないと分からない不自由なこともたくさんあります。今回は特にフリーランスでの失敗談をご紹介します。この記事が海外生活に憧れている方の一助になれば幸いです。

海外で生活しているとどうしても避けられないのが、時差。タヒチの時差は日本のマイナス19時間なので「締め切りは5日」と言われると、頭の中では「ということは、タヒチは4日だな」。

「10日までに何本作業できますか?」と尋ねられると「えーと、今日、日本は4日でタヒチは3日だから……。10日までは1週間だから……。あ、ちがう日本の10日はタヒチでは9日だから……。」など頭のなかでは右往左往。

ここに学校行事やイベントなどの予定、病院の予約などがタヒチ時間で入って来るので更に大混乱。Skypeの打ち合わせ時間をすり合わせるのも大変です。

日本時間の夜中2時~朝9時がベストですが、いくらなんでも先方に迷惑。必ず自宅にいて、家の用事を済ませて……と常に時間の調整には苦労します。

停電やネット普通は日常茶飯事

指定時間に荷物を自宅まで届けてくれるだけでなく、集荷もしてくれる日本の郵便事情はまさに夢のよう。タヒチでは集荷はもちろん、自宅にハガキさえも届けてくれることはありません(田舎などごく一部は配達してくれる地域もあるそうです)。

各家庭は私書箱を契約し、荷物や手紙が届いているか自分で確認しに行かなければなりません。日本から荷物を送ってもらうのも一苦労。最短で2週間ほどで届くのですが、行方不明や遅延は当たり前。

間違えてフランスに行ってしまったり、なぜかチリで停まったり、なんとか届いたものの段ボールごと文字通りペシャンコになっていることもあります。

停電も頻繁におきます。工事や雷などの特別な事情がなくても、突然停電になります。数時間で復旧することがほとんどですが、ワードプレスなどネットを使わないと進められない仕事はお手上げ状態。

インターネットもしばしば不通になります。先日は丸1日繋がらないことがあり、「いつか繋がる」とは経験上分かるものの、それがいつなのか分からないのでストレスでした。

たくさんある「できない」こと

海外に住んでいると「できない」ことはたくさんあります。ある仕事で、必要な参考図書を送ってくれることになったのですが……ここはタヒチ。郵送料は高く、届くのは早くて2週間後。届かない可能性もあります。

急ぎの仕事だったこともあり、結局『電子図書』になったのですが、電子図書化されていない本がほとんどで仕事になりません。アプリを利用する仕事で、必要なアプリをタヒチではインストール「できない」こともありました。

携帯番号や住所が国内に無いため、サイトに登録できず「できない」仕事もあります。プロジェクトが始まってから「できない」ことが分かると、選んでくれたクライアントには本当に申し訳ないと思います。

面接が必要と書かれた案件は提案「できません」。週に2便、片道12時間の飛行距離ではおちおち日本で打ち合わせなど「できない」からです。

経験から辿り着いたうっかりミスを防ぐための対策

このように海外でのフリーランス生活の失敗は、うっかり時差計算をミスして「やばい、今日締め切りだ!」と焦ったり、「夜仕事しよう」と考えていたらネットが接続できずクライアントに連絡もできなかった。

また、クライアントから契約書の郵送を頼まれて送ったものの届かずご迷惑をおかけしたことなど、うっかりやインフラが原因の失敗がほとんどです。

最近はうっかりミスを防ぐため仕事で使うことの多いチャットワークに、締め切り日や時間を日本時間でそのつどメモし、優先順位をつけて働いています。

ネットが不通になったり、デング熱などの病気に突然かかったりするかもしれないので、締め切り日の少なくとも前日には仕事を完了するようにも心がけています。またタヒチは今真夏で、今季は90%の確率で大型台風が来ると言われているので心配です。

先日の豪雨でも家や車が流され、1週間ほど電気が停まった地域があったので台風ではどれだけの被害がでるのでしょう。面接や指定アプリダウンロード、郵送が必要な案件はクライアントに直接「海外に住んでいるので、できないかもしれませんが」と確認してから、お引き受けするようにしています。

普段からきちんと報告・連絡・相談をしていれば、顔も知らないインターネット上の繋がりとはいえ、クライアントと信頼関係が築けると思っています。

ただし、締め切りを過ぎても連絡しなかったり、重要なメールの返信が無かったり、書いた内容に満足してもらえない時など大きな失敗が続いたら、関係が希薄な分契約解除されることも簡単でしょう。

縁あってクライアントから仕事を引き受けた以上、仕事は誠心誠意きちんとしなければならないと襟を正しています。

▽フリーランスの情報発信メディア「THE LANCER」より転載

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