インタビュー

政府介入で長時間労働是正はどこまで浸透するのか

投稿日:2017年2月14日 / by 瓦版編集部

連合・村上総合局長に聞く

政府が「働き方改革」を掲げ、雇用・労働法制の見直しを進めている。着々と進行する一方で、働く側の意識とはまだ温度差がある印象はぬぐえない。主軸となる「働き方改革実現会議」は、2017年2月、いよいよそのテーマが長時間労働の是正へ移った。今後の働き方の行く末を左右する同会議。労働者側の立場では連合が、唯一の構成メンバーに名を連ねる。そこで、総合局長の村上陽子氏に、会議の現状と、展望を聞いた。

進行中の働き方改革実現会議の現状

--いよいよ検討テーマが長時間労働の是正へ移りました。ここまで6回の会合が重ねられていますが、どうみていますか。

村上 テーマは9つありますが、メインは長時間労働是正と同一賃金同一労働。我々がずっと主張しているテーマですが、ここまではそれなりに推移していると思います。連合としては、長時間労働是正に関しては残業の上限時間の規制とインターバル規制の導入を主張してきました。

--残業規制に関しては繁閑を考慮し、100時間/月という話も出ている。期間限定とはいえ、過労死ラインの80時間/月を超えているのは問題ではないのか。

村上 実は会議では具体的な数字は出ていません。残業時間の上限については、今後の議論で決まっていくと思います。

勤務間インターバル規制はなぜ必要なのか

--勤務間インターバル規制についてはいかがでしょうか。

村上 今回、一気に法規制まで到達するのは難しいのかもしれません。助成金による推進ということで、勤務間の休息時間のあり方についての事例が増えていく中で実績が積み上がっていく必要はあるのかもしれません。我々としてはインターバル規制導入を主張し続けてきた中で、ようやく言葉が浸透しはじめ、その意義が認められはじめているのではないかと考えています。

--残業については残業時間の上限規制を導入する方向のようですが、インターバル規制とセットでなければやはり意味がない、ということでしょうか。

村上 残業させる場合には、36協定の締結と届け出が必要ですが、その残業時間は現在は青天井です。そこにようやく蓋がされるということは、大きな意義があると思います。なにせ70年間実現できなかったことが実現するワケですから。ただ、1日ごとに生活時間を確保するためには、勤務と勤務の間に一定時間を確保する、インターバル制度を広げていくことも重要です。

関心が低く見える労働者が目を向けるべきポイント

--それにしても、労働者にとって、重要な動きですが、どうも働く側の関心度が低い印象です。

村上 労働時間は減っているというデータもありますが、それはパートや高齢者再雇用で短く働く方が増えたからに過ぎません。30代、40代の男性では相変わらず週60時間以上働く労働者が2割弱いて、正社員の労働時間は短くなっていません。若いうちは体力もあるので長時間労働をこなせると思ってしまうケースもありますが、具合が悪くなって気が付いた時には手遅れになりかねません。うつや心疾患などは、疲労の蓄積で引き起こされます。他人事と思わず、しっかり関心を持つ必要があります。

出典:平成28年版過労死等防止対策白書(厚労省)

--関心を持っても、自社の労働環境が変わるという実感がないのも要因にあるのかもしれません。

村上 法規制が入ることで残業時間に上限規制がされるわけですし、そうなれば経営者も規制の中でどう経営効率を上げるのかを考える必要が出てきます。大きなうねりとなれば、下請けや運送業等、慣習や商慣行などによる構造的な長時間労働の要因にメスが入る可能性も出てくるはずです。すでにファミレスなど24時間営業を見直す動きもありますし、運送でいえば即日配達は本当に必要なのか。そうしたことにも社会全体が向き合っていくことなどで、本当の意味での効果も期待できます。決して他人事と捉えず、しっかりと自分事として推移を注視していく必要があると思います。

--どの部分をチェックしていればいいのでしょうか。

村上 2016年度内に働き方改革実現会議を取りまとめ、実行計画が出されるとされていますが、それだけではなく、その後の、公労使の3者構成の労政審まで目をくばり、個別の制度設計がどうなるのかまでチェックすることが大切になると思います。


◇政府の働き方改革の見通し
働き方改革実現会議では今後、長時間労働の他、高齢者の就業促進などを議論。その他の関連の検討会等とあわせ、2017年3月までに検討を重ね、実行計画として取りまとめられる。

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