インタビュー

公認会計士を目指していた私が、ファイナンシャルプランナー兼フリーライターになったわけ

投稿日:2017年3月22日 / by

迷路に迷い込んだ私を救った知人からの一言

『人の役に立つ仕事がしたい』。その思いで公認会計士を目指していた菊地美亜さん。しかし、大事な人との永遠の別れなど紆余曲折があり、その進路は迷走する。そんな時、ふと知人に言われたひと言が、モヤモヤを払いのける。「みあちゃんの書いたものは面白い」。その時から、彼女はフリーライターとして歩み始める――。(powered by THE LANCER編集部)

「女性だからこそ、手に職を」という言葉から始まった

中学校から都内の中高一貫校に通ったのですが、高校生になったとき、文系と理系のクラス分けがありました。「あまり物理が得意ではない」。そんな理由で文系にしました。

高3になり、本格的に進路を決める際に「さて、どの学部に行こう?」と考えたのです。女子校だったので、周囲は文学部志望の子が多かったのですが、家族に「文学で食べていくのは難しいから、法学部や経済学部はどうか。女性だからこそ、手に職を付けたほうがいい」と言われました。政治経済の授業が好きだったので、経済学とか面白そうだな……と思い、経済・経営・商学系の大学を受験。立教大学経済学部に入学しました。

勉強は好きだったので、学内推薦で大学院に進み(原価計算論専攻)公認会計士試験の受験勉強もして……とハードな学生時代だったと思います。

学生時代に体験した、大切な人との別れ

ハードな学生時代でしたが、ちゃんと恋愛もしました。ある意味、私の人生に一番影響を及ぼした出会いかもしれません。もともとは勉強の情報交換ということで知り合った方と、大学卒業直前からお付き合いをしていたのです。

彼は、いつも私の可能性を信じてくれました。「みあちゃんは真面目で一生懸命だから、きっと人の役に立つ会計士になれる」とまで言ってくれて……。

でも、そんな幸せな日々を揺るがす大事件が起きたんです。彼が病に倒れ、約2年の闘病の末、29歳の若さで旅立ってしまいました。当たり前ですが、悲しくてたまりませんでした。

同時に、「自分は本当に人の役に立つ人間になれるのだろうか?」という迷いが生じたのも事実です。悲しみを振り切るように公認会計士の試験勉強を続けましたが、成果は残せず、最後には鬱で倒れてしまうという最悪の事態が起きました。

”資格”はあるものの、仕事も自分も愛せなかった日々

公認会計士の受験勉強をしていたときに、税理士の科目合格は持っていたので、税理士事務所や一般企業の経理職など、働く場所はありました。しかし、「自分は本当に人の役に立つ人間になれるのだろうか」という迷いが消えることはありませんでした。

いつも「私がしたいのはこういうことじゃない、そして、私は人の役に立てていない」と焦り、体を壊してやめるというパターンが続いていました。

まさに、仕事も自分も愛せない状態です。今から考えてみれば、こんな心構えで仕事をしていること自体が、人に対しても、自分に対しても、社会に対してもとても不誠実だった、と反省しています。

「みあちゃんの書いたものは面白い」という一言に救われた

仕事での挫折を繰り返していたとき、大学の先輩でビジネス書作家をしている方がこんな言葉をかけてくださいました。『みあちゃんの書いたものはわかりやすくて面白い』という一言です。

そこで、「いっそ、税理士とか経理というこだわりを捨ててみてもいいのでは?」と思うようになったのです。とはいえ、ライターなんてやったことがありません。最初はランサーズ等のクラウドソーシングで単価の安い仕事をこなしながら、徐々にステップアップを図っていきました。

2014年にファイナンシャルプランナー(AFP)の資格を取得してからは、保険や不動産など、専門知識が必要とされる領域のライティングの依頼をいただくようになり、仕事の幅がどんどん広がっています。

2015年にはお世話になった編集プロダクションの出版プロジェクトに加えていただき、本を出すことができました!

フリーランスでありながら、チームで働く喜びも味わえる贅沢さ

2015年10月からは、大手電力比較サイト『エネチェンジ』の運営にライターとして参加しています。このチームの素晴らしいところは、一人一人をちゃんと認めながら、最大限の成果を出すことに注力している点です。

フリーランスのライターとして仕事をしていると、チームで働いて成果を出す、という感覚を忘れてしまいがちになります。このチームに参加したことで、チームで働く喜びを味わえているのは、私にとって大きな財産です。

フリーランスの良さも、チームの良さも両方受け取れている今の環境に感謝したい気持ちでいっぱいです。

人の行動をよくする鍵を渡したい

最後に、「自分は、人の役に立つ人間になれるのだろうか」という不安が心を覆っていた話に戻ります。結論から言えば、100%不安が晴れたとは言えません。

自分の中で「もっといい方法があるんじゃないのか? 自分で大丈夫なのか?」という葛藤が全て消える日はないでしょう。でも、全く人の役に立っていない、ということもありません。

人に何かを提供すること、人の行動をいい方向に変えられる情報をお渡しすることは、ちゃんと人のため、そして、自分のためになっています。この事実は、私の心を確実に救ってくれているのです。

「結局、公認会計士にはなっていないけど、人の役には立つ人間にはなれている」。少なくとも、これは不幸ではありません。いや、幸せそのものだと思います。

私にできることは、ファイナンシャルプランナー兼ライターとして、人の行動をよくする鍵を文章を通じて渡していくことです。その想いを、そして、自分自身を信じて、これからも「真面目に一生懸命に」歩んでいきます。

▽フリーランスの情報発信メディア「THE LANCER」より転載


<プロフィール>
AFP(日本FP協会認定)。日本最大の電力比較サイト「エネチェンジ」(https://enechange.jp/)を中心に、ライティング、コンテンツディレクションの仕事に従事。モットーは「人生に必要なのは、愛と勇気とお金だ」。

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