インタビュー

社会人生活に窮屈を感じ、日本を飛び出した元トップ営業ウーマンが選択した働き方

投稿日:2017年8月17日 / by

マルタ島・ドイツ・サンパウロ! 世界を旅しながら仕事する生活が、人生を色濃くしていく

日本での生活に息苦しさを感じた澤田アキキーナさんは、33歳のとき、海外移住を決断する。向かった先は、欧州の秘境・マルタ島だ。場所に捉われない生活を実践すべく、たどり着いたクラウドソーシング。フリーランスとして世界を“仕事場”にする彼女の奮戦記をお届けします。(powered by THE LANCER編集部)

33歳独女が辿り着いたフリーランスとしての働き術

「旅 + 語学留学 × 長期滞在」。帰らないことを目標に日本を旅立ったのは、2015年の7月。33歳の時でした。九州の片田舎で育った私は18歳から社会人になり、15年の月日が流れていました。

必死に仕事を続けているうちに「上場企業OL」や「トップ営業ウーマン」など、周囲には一目置かれるような評価を受けていました。悪いことではないと思いますが、少し派手な外見と相まって、本当の人格以上に私を語り始め、そのギャップにストレス感じていました。その思いはやがて、日本にいることが病的なほどに窮屈に感じさせるようになっていきました。

そして思いは海外へ……。海外で暮らしながら旅をする。日本を離れ、旅をしながらお金を稼ぐ。そんな生活を夢見るようになりました。どうすれば実現できるのか。打開策を模索するなかで、クラウドソーシングという答えはすぐに見つかりました。

場所にとらわれないワークスタイルを叶えるフリーランスという働き方。会社勤めの経験しかない私には新鮮そのものです。フリーランスとして活躍する術を探っている中で、『Lancers』と出会いました。

スキルの乏しさは「できる事」でカバー

最初の滞在先、マルタ島の学校で出会った友人は、そのほとんどが社会人でした。1ヶ月から2ヶ月も取れる会社の休暇を利用した語学留学は、ヨーロピアンにとってはポピュラーなバカンスの過ごし方だといわれています。「地中海の宝石箱」といわれるほど美しいマルタ島での休暇と英語のレッスンを、彼らは心から楽しんでいました。

一方の私はというと、旅費が底をつくカウントダウンが着実に進み、かといって、現地ではアルバイトもできない状態。少しでも長く旅を続けたいという気持ちの反面、ただお金を消費する毎日にモヤっとした焦りを感じていました。

ネット環境があれば世界中どこでも……とはいっても当時の私にはITスキルや翻訳などの特殊なスキルは皆無。フリーランスとして活躍するには、まずそれなりのスキルが必要では、と少し及び腰であったものの今できることを武器に仕事を見つけなければいけない状況でした。

できることといえば、「文章を書くこと」、「旅をすること」。あぁ、なんと貧弱なスキルなんだと自分で自分を恨みました。ダメは承知の上で検索してみる……キーワードは「旅」、「ライティング」の2つ。意外にも多くの仕事がヒットする事に驚くと同時に、その中で1つの仕事が目にとまりました。

まさにコレ! 「できる!」と思ったら即「提案」

その仕事は、旅の提案型アプリの新規リリースに先駆けたロールモデルライター。いわゆる「お手本投稿」を書くライターの募集でした。

必要とされる情報は旅先での美しい写真、旅に行きたくなるような魅力的な場所やエピソード、日本語と英語両方でのライティングスキル。まさに理想的なお仕事! との思い勢いに任せ、すぐに提案を決めました。

ライターとしての経歴は、10年ほど前に少しかじったフリーペーパーの飲食店記事のみ。ただそれだけの軟弱なスキルでしたが、長期滞在型の旅だからこそ出会える物語をシェアしたい。素直な思いから提案書を書き連ねました。

担当者からの返事は提案直後にいただけました。送られてきたのは「イタリアについての記事は書けますか?」という質問。イタリアは語学留学も含め、4回ほど訪れている大好きな場所。イタリアについてなら紹介したい事はいくらでも! マルタ島滞在中もイタリアへの旅行は計画していたので、即座に「できます」と返事を送信。やった! 提案が採用されたのです。

掲載される達成感がライティングの最大の楽しみ

担当者とのやりとりはメッセージのみではあったものの、丁寧に描かれたアプリのコンセプトや目指す姿、デモンストレーションなどが含まれた依頼書の内容から、担当者の人柄、そして、アプリを1人でも多くの人に届けたいという思いを強く感じました。

記事は担当者が目を通してからアプリに掲載されるという流れ。原稿チェックは形式的なものではなく、英文の表現方法のアドバイスなど細かなサポートをしていただけました。そして納品後に届く感謝のメッセージは、次の記事へのモチベーションとなりました。

アプリ内では同時進行で他のライターの記事も続々と掲載されていました。それぞれの記事は、旅や生活を楽しんでいるひとコマを切り取ったような愛らしい内容が勢ぞろい。そんな旅好きな者同士で綴る「旅の提案」に私の旅も掲載されているということは率直に嬉しく思いました。「掲載される」という着地点で味わえる達成感は、今では記事を書くうえで最大の楽しみとなっています。

私が担当したアプリはリリースから3カ月がたった今、多くのユーザーの投稿により600以上もの記事が詰まった素晴らしいアプリへと成長しています。

「記事を書く」というミッションが旅をより濃厚にする

「この町の魅力は何か」、「この景色を一番美しく見せてくれる写真の撮り方は? 」、「ここで感じた雰囲気をどんな言葉で表そう」。ライティングという仕事は、私に旅の醍醐味を再確認させ、思い出を「記事」というかたちに残してくれます。

よい記事をつくるコツは、「いつもより一歩踏み込んだ場所で写真を撮り、地元の人と踏み込んだコミュニケーションをとること」。その勇気をライティングは与えてくれました。

ライターという仕事は、一度に多くの報酬を得られるものではありません。慣れない作業と言葉選びに、記事の1つ1つに、まだ時間がかかります。悩んで悶々とした思いをする日々を過ごす事もあります。それでも自分が大好きなことをシェアできる、旅を充実したものにしてくれる。何よりコツコツと積み上げた記事が形になり、ライターとしての経験になり、次の旅に出かける資金の一部となっている事には違いありません。

マルタ島からイタリア、ドイツ、クロアチアの旅を経て現在は、南米サンパウロを拠点に4ヶ月計画で滞在中。2月に行われるサンバのカーニバルへ出演も決定し、ネタ集めにワクワクした毎日を送っています。

▽フリーランスの情報発信メディア「THE LANCER」より転載

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