
フリーランスの失敗から学ぶ、円滑な仕事のためのリスクマネジメント
正社員感覚では見落とすリスクが点在するフリーランスの盲点
フリーランスとしての活動は、会社員時代とは違い、それまでは考えられなかった課題や失敗に出くわすことがあります。「失敗は成功のもと!」。失敗から正しく学ぶことで、更なる成長が期待できます。そこで、まずは他人の失敗から気づきを得てみてはいかがでしょうか? 『Lancers of the Year 2016』 を受賞したフリーライター・清水 希枝さんが、自身の失敗と気づきを語ります。(powered by THE LANCER編集部)
フリーランスには雇われていると気付かないリスクがたくさんある
働く場所や時間にとらわれずに、自分がしたいと思う仕事に全力を注ぐフリーランス。ライターデビューから5年、起業してからもうすぐ1年となり、様々な経験をしてきました。
良いことも、そうでないことも経験して思う事、それは「リスクマネジメント」がいかに重要であるか、ということです。
雇われていた頃には気付かなかったリスクがたくさんある。そのことに、フリーランスになってはじめて気付きました。今回は、わたしが経験した過去の失敗から、リスクマネジメントにまつわる2つのエピソードから3つのリスクについてお話しをしていきます。
無理しがちだからこそ大切な健康面への気遣い
フリーランスは自由でいいな、とよく言われます。家でも出先でも仕事が出来て、毎日通勤する必要が無い……それで食べていけるなんて凄い、と。でも正直、フリーランス生活って無理をしてしまいがちだと思います。
やればやるだけ稼げるという点でつい欲が出て、自分の自由な時間を削ったり睡眠時間を削ったりして仕事への時間を捻出している人もいるかと思います。わたし自身もそうでした。
でも、努力は続けることが出来ても無理は続けることは出来ません。みなさんは、自分はもちろん、家族の健康を意識しているでしょうか。
わたしは4歳の娘と1歳の息子がいるのですが、先日息子が気管支炎を患い入院することになってしまいました。わたし自身はもちろんのこと、家族が体調を崩してしまうと通院や入院に時間を充てることになります。
息子の入院時には、母親である私は付き添いで入院しなければならなかったために、娘の世話はわたしの母にお願いする形になりました。
病院には仕事をするのに十分なネット環境が整っておらず、病室が個室ではないこともあってパソコンを持ち込むのも不可能でした。時間的に、そして根本的に仕事に支障が出てしまったのです。
家族の健康状態によって、稼働スケジュールの変更を止む無くされることはもちろんですが、自分自身が体調を崩してしまうことによっても時間と金銭を失うことになります。
また、仕事に満足に望める状態にないことから、仕事にも支障をきたします。フリーランスこそ、自身をはじめ、家族全員の健康管理をしっかりしなければならないのです。
健康面でのリスクマネジメントの方法
では、健康面でのリスクをどう解消していけば良いのでしょうか。まずは、体調を崩すことによって予定通りの稼働が出来なくなるといった「時間的リスク」の解消について考えましょう。
わたしの場合、月に何本……といった形で記事の依頼を頂いています。納期がタイトなものから、月末〆のものまで様々です。不測の事態に備えて、早め早めの執筆を心がけています。
なにかが起こって執筆出来ない日が続いても、納品に耐えうる環境を整えておくことで時間的リスクを軽減できます。「時間的リスク」に対して「金銭的リスク」も挙げられます。
会社員や公務員と違って、仕事を休まなければならない時もお給料の出る「有給」なんてものは自営業者にはありません。仕事を休めば休む程、稼ぎが減ってしまいます。ですので、そういった面をカバーする保険等への加入を検討するべきです。
わたしは先日、入院や手術に備えた内容の保険に加入することに決めました。母子家庭で2人の子供がいて、わたしはフリーランス。わたしになにかあったら子供達が路頭に迷うことになります。
もし入院することになっても、「日でいくら保険が下りれば損害が補填出来るか」といった計算をし、それに合った保険を選択することによって体調を崩して仕事が出来なくなった際の金銭的リスクを回避することができるのです。
毎月の保険料こそかかるものの、リスク軽減のための投資だと思えばなんてことありません。裸一貫で仕事をしていることこそ、最大のリスクなのです。
やらないと損失大。徹底すべきデータ消失リスク対策
さて、健康面からガラリと変わって今度は「データ消失のリスク」についてです。今やデータ社会、わたしのようにパソコン1つで仕事をしている方もたくさんいらっしゃるかと思います。
皆さんは、データ消失のリスクに備えているでしょうか。パソコンのように高価なものが簡単に壊れてたまるか! と思いますが、わたしは開業し半年が過ぎた頃、実際にパソコンがダウンするという大ピンチを迎えました。
なにをしても電源が付かない。業者に修理を依頼したところで、データ復元に至るまではかなりの時間を要することがわかりました。
幸いパソコン本体への保存と外付けハードディスクへの保存の2本立てでデータを管理していたこともあり、被害は最小限に抑えることが出来ました。
それでも結局、本体へのみ保存していたデータも少しあり、そこへ保存していた記事が全部水の泡となったのです。泣いてももう、執筆に要した時間と苦労の結晶は戻りません。
データ管理のリスクマネジメント
「データ消失のリスク」は、ライティングを仕事としている人間に限らず、フリーランスで仕事をしている人にとっては重要な項目です。皆さんはどういったリスクマネジメントを行なっているでしょうか。
これからフリーランスになることを考えている方は、必ずデータはバックアップを取っておくということを守ってくださいね。パソコン本体に保存していたデータは復元に時間を要し、納期にも影響が出てしまいました。
でも、外付けハードディスク等にバックアップを取っておけば、パソコンを急いで新たに購入しても納品することが出来ます。
そもそも慌ててパソコンを調達することも難しいですよね。普段から複数のパソコンを所持管理しておけば、パソコンの不調によって招かれるリスクを軽減することが可能です。
まとめ
雇われて守られている間では気づかない……様々なリスクと戦っていかなければならないフリーランス。当たり前のようなことでも、ひとつひとつと向き合ってリスクマネジメントを行なう必要と意義があるのです。可能な限りリスクを回避しながら、自由に働く……これこそが、最高の働き方なのではないでしょうか。
▽フリーランスの情報発信メディア「THE LANCER」より転載