インタビュー

就活に占いが必要な本当の理由

投稿日:2015年6月17日 / by

別のルート開拓で就活を最適化

ベツルートの狙いを語る若新氏

ベツルート編集長

若新雄純氏

若者の3年離職率が久しく3割前後で推移している。もはや採用活動で発生する“バグ”のようだ。この状況に真っ向向き合う形で誕生した次世代の求人サイトがある。その名もリクルートならぬ、「ベツルート」。就活がうまくいかない原因が入り口にあると考え、色んな就職ができる“別のルート”を、というワケだ。同サイトの編集長を務める、NEET(株)会長で慶應義塾大学特任助教の若新雄純氏にその狙いや可能性を聞いた。

就活が合わない学生向けの別の入り口

「何でもない書類でも複数の部署の許可をとらなければならない」、「ささいな間違いを執拗に叱責される」、「意味不明のセールストークを叩き込まれる」…厳しい就職戦線を勝ち抜いた会社を短期間で辞める若者の理由は、ささいなことである場合が多い。問題は、「ささいなこと」が誰にとってそうなのかということだ。辞める若者にとっては、重大ではないにしても、少なくとも「ささい」ではない。“仮面”を被り、なんとか面接をすり抜けた若者を待ち受ける企業の実態は、「素顔」で長期間居続けるには耐え辛かったりする。

「就活ナビサイトは、一括採用システムの中では非常に合理的にできています。しかし、多くの学生が標準的に利用する就活の入り口としてはあまりに画一的で、それに合わせることに違和感を覚える学生だって当然少数はでてきます。仮にその人がものすごく優秀であっても、そのスタイルになじめないという理由だけで、社会が必要とする人材を企業は採り逃している可能性がある。これは企業にとっても学生にとっても悲劇でしかありません」と若新氏は、ベツルート立ち上げの狙いを明かす。

なぜ緩めのスタイルのがベターなのか

就活における面接は、確かに画一的であり、体育会的である。型にはまることへの拒絶反応が起こる人がいれば、体育会の雰囲気になじめない人も当然いる。ただ、その部分だけが苦手というだけで、本来ならベストマッチングかもしれない出会いの機会を失っているとしたら、これほどの機会損失はない。ましてや今は人口減少時代。できる限りマッチング精度を高めたいのは企業の本音でもある。そこで生まれたのが、前代未聞のユルユルの就活スタイルだ。

人気占い師を呼ぶほど、リアリティにはこだわっている

人気占い師を呼ぶほど、リアリティにはこだわっている

「いわゆる就活になじめない学生であっても、別に不真面目なわけではありません。それゆえか、ラフな就活イベントを開催してもスーツで来たりしかねない。それくらい真面目なんです。だから、ベツルートのリアルイベントでは、焼き肉を食べながら、さらに本物の占い師を呼んでコーナーをつくり、ガチャガチャで席順を決めるなどの仕掛けを用意するんです。そこまでしないと学生は本当にラフでもいいとは思ってくれませんから」と若新氏は“ゆるさ”にこだわる真意を明かす。

基本は、焼き肉を食べながらの合コンのようなスタイル。対面する企業との座席の決定はガチャガチャだ。占いコーナーでは将来の人生相談ーー。一見すると、とても就活とは思えない楽しい飲み会のようだが、実はその逆で、全てはメガ就活では萎縮してしまうようなタイプの学生を自然体にするための配慮なのだ。まるでドッキリのような仕掛けだが、結果的に学生は、企業との会話を自然体で楽しみ、企業側もそうした学生の姿を見ながら、しっかりと相性をチェック。模範解答の様な面接での応答ではみえない“本性”を見極めることで、正確に自社とのフィーリングの良さを確認する。

ゆる活の成果は?

占いとくじ引きでも相思相愛の内定は生まれる!

占いとくじ引きでも相思相愛の内定は生まれる!

「プレイベントでは、フィーリングがばっちりあって即内定が出たことがあります。その女の子は、それまで就活に馴染めず一つも内定をもらったことがなかったのですが、社長が求める人物像にピッタリだったそうです。いまは新入社員として活躍し、周りの評判も抜群に良いそうです」。

サイト自体は立ち上がったばかりだが、年初からスタートしているプレイベントを通じ、ベツルート経由で社員となった人材は軒並み評判がいいという。理由は明白だ。採用された学生が、履歴書や受け答えといった表面的な部分でなく、素の部分をしっかりと見極め、人間としての評価と関係性を重視して採用を決めてもらっているからだ。まさに相思相愛。最初から意思がしっかりと通い合っているのだから馴染みやすく、働きやすい。忠誠心も芽生える。頑張るのも当然というものだ。

“別のルート”が主流になる日

何を隠そうベツルートの社員も別ルート入社

何を隠そうベツルート運営部隊も一風変わった別ルート入社だ

ベツルート経由で就活を終え、現在、社会人として活躍する一人が言う。「僕は海外在住経験もありTOIEC950点以上ですが、面接官はそこばかりみて評価する。実際に実務でどれだけ使えるかなんて少しも見ていない。いくつか内定はいただきましたが、そういうところは全てお断りました。いまの会社は履歴書すら見ないで僕という人間を見てくれたので入社を決めました」。まるで、これまでの就活システムの問題点をえぐるような鋭いコメントだ。

メガ就活サイトによるいわゆる就活とは一線を画し、そうしたスタイルになじめない優秀な学生をターゲットにまずは中小企業をメインに、就活の最適化を推し進めるベツルート。当面は就活生全体の5%へのリーチを想定しているが、早くも登録者はうなぎのぼりで増えているという。これまでの就活に対する学生の不満や鬱憤の膨張ぶりが透けてみえるようで、ある意味痛快だ。いまは異色の“ベツルート”だが、将来的にはメガサイトによるいわゆる就活の方が「別ルート」になる日も、いずれやってくるのかもしれない…。


【プロフィール】
株式会社NewYouth 代表取締役、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 特任助教、国立福井大学産学官連携本部 客員准教授。専門は産業・組織心理学とコミュニケーション論。様々な企業・団体の人材・組織開発、コミュニケーション開発コンサルティングを行う一方で、人と組織の多様な成長モデルや新しい社会コミュニケーションのあり方を研究・模索し、実験的なプロジェクトを多数企画・実施中。NEET株式会社 代表取締役会長、鯖江市役所JK課 プロデューサー、就活アウトロー採用/ナルシスト採用 プロデューサー、週休4日で月収15万円「ゆるい就職」 プロデューサー、志望企業を占いとくじ引きで決める「ベツルート」 編集長。

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