インタビュー

「なんのために働くのか」を考えることが重要な理由

投稿日:2015年6月3日 / by 瓦版編集部

mokuteki01自律型社員に変わるために考えるたったひとつのこと

(株)もくてき

代表取締役 與良昌浩

二代目として後継社長になることを前提に役員に就任したもの、そこで人生初めての挫折を経験した與良昌浩氏。精神をも傷つけるダメージを負った氏は、そのどん底からどう這い上がったのか。インタビュー後編では、自律型社員を育成するスペシャリストとしての與良氏に、仕事に主体的に取り組み、充実した働き方を実現するポイントを聞いた。

なぜエリート路線から脱線したのか

華々しいキャリアがありながら、與良氏はなぜ、会社経営で挫折してしまったのか…。高いスキルはある。一流企業でも活躍した。ビジネスパーソンとしては、申し分のない経歴を身にまとっていた。それでも、経営を任された時、それが全く通用しない現実があった。

「親の会社を継ごうとしたが、なにもできなかった。そして、気付いたんです。自分はこれまで“いい箱”を探すのが得意なだけだったんだなと。いい箱って入ってしまえばとっても楽です。その中ではやることが向こうからやってきて、それをうまくこなしてさえいけばいいわけですから。でも、そこは仕切られていますからやはり、仕事にはやらされ感があるし、楽しくない。いま私は、自分がやりたくて「株式会社もくてき」を立ち上げましたから、大変なことの連続ではありますが、全く苦痛はないし、毎日が楽しいんです」と與良氏は、嬉々として語る。

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「なんのために働くのか」を考えることで新事業にたどり着いた與良氏

実は多くの人が、日本の教育システムの中で、こうしたいわゆるエリート路線を意識せずともベストと捉え、突き進んでいる。そして、知らぬ間に、受動的なぶら下がり体質に染まっていく。與良氏は、後継者になることを目指す経験のなかで、その“落とし穴”に気付いた。大きな挫折だったが、気付けたことは幸運だったといえる。だからこそ、同じような思いで悩む人になにかしたい、という思いが芽生えた。

問題意識から生まれた「ハタモク」とは

ハタモク」が生まれたのは、そうした問題意識からだ。ハタモクとは「働く目的」。学生と社会人が「なんのために働くのか」を気楽に、そして、真剣に語り合う場を創出する。自身が学生時代にそうした経験がなかったことが、安易にエリート路線へとなびいてしまったという反省もある。だから、できるだけ早い段階で、働くことの意味や目的を考える場が必要だと痛感した。

「働くことについては、もちろん若いころも考えてはいました。ただ、考え方を知らなかったんです。考えるベクトルが違っていた。職を失って、どん底から這い上がる過程で、私は、それを知ることが重要と考えました。そして、それを知るために、先人にできるだけたくさん会い、ノウハウを吸収。追体験しました。『何のために働くのか』。ちゃんとしたベクトルへ向け、それを徹底して考えたことで、新たな事業もみえてきました。私は随分と遅かったわけですが、早い段階で働く目的を考える機会を持つことは本当に重要だと思います」と與良氏は「ハタモク」の意義を力説する。

自律型社員へシフトするポイント

2013年6月には「株式会社もくてき」を立ち上げた。2代目後継者から、ベンチャー企業社長へのキャリア大転換だ。同社では、企業向けの人材育成事業をメインとし、自律型社員育成をサポートする。ハタモクでのノウハウを磨き上げ、社員教育へと落とし込んだ。自らの経験も存分にフィードバックしたプログラムは、小難しいノウハウというより、マインドにしっかりと働きかける内容で、ぶら下がり社員をあくまでナチュラルに自律型社員へとシフトさせる。そのポイントをいくつか教えてもらった。

「例えば、新入社員がなぜ3年で辞めてしまうのか。原因は難しくありません。目的意識、問題意識が欠落しているのです。もっとも、社員誰か一人だけが持っていればいいわけでなく、会社全体で共有する必要があります。目的意識を持つことはつまり、業務を『自分事』にするということです。そうすると、どうすべきかを自分で考える。そして、行動する。やがてそれが習慣になります。結果、社員は主体的に動くようになり、イキイキと働くことになるワケです」と與良氏は解説する。

これまでの日本の会社組織では、業務遂行にあたり、ともすれば目的意識や問題意識を持つことは、邪道とされた。「そんなことはいいからとにかく手を動かせ」といった文脈で、特に上長から嫌悪されがちだった。その結果、多くのビジネスパーソンの牙が抜かれ、日本企業から「革新性」が失われた。だが、市場環境が激変したいま、企業は一転して、主体性を持った自律型社員を求めるようになった。なんともご都合主義だが、ビジネスパーソンにとっては大きなチャンスが到来したともいえる。

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体験を交えながら、自律が社員になるためにポイントを明かす與良氏

「なんのために働くのか」を考えることから始まる自立への道

最終的に起業という道を選択し、自分らしく行動する人間に生まれ変わった與良氏。その波乱万丈のプロセスには、自律型人間になるためのエキスがギッシリ凝縮されている。特に重要となるのが、「何のために働くのか」を徹底して考えることだ。それによって、氏は、新たな事業にたどり着いた。いま、旧来型の安定軌道に乗っているビジネスパーソンは、あえて踏み出さず、無難にぶら下がり続けることも可能かもしれない。だが、そのレールの先には、與良氏が辿り着いた天職といえるようなゴールはおそらくないだろう。

もしも、日々なんとく受動的に過ごし、モヤモヤしているなら、少しだけでも考えてみればいい。「自分は一体自分は何のために働いているのか…」。本当に軽いノリでもいい。その答えがすぐに出てこないなら、少なくともいまは自律型人間ではないかもしれない。問題はその後だ。「だから何?」か「これはヤバい」なのか…。その感覚次第で、良くも悪くも、あなたのこれからの社会人生活の密度は、随分と差が付くことになるだろう。(了)

インタビュー前編:会社にぶら下がることがダメな理由


<YeLL(エール)>
新サービスYeLLについて   新入社員の新卒研修、人材育成など自立型の人財育成を目指す株式会社もくてき「全力の肯定と応援」を通し、企業の「目標達成」「チーム力強化」「個の成長」を同時に実現させる「未来型」週報システム。ユーザーはビジネスにおける目的・目標を持ってそれに挑戦。この活動を週報として投稿すると、クラウドサポーター(コーチング等の専門知識を有する応援の専門家)が全力で肯定し応援する。複数の多様なクラウドサポーターが絶対的な肯定と応援を提供しながら、「PDCAサイクル」を伴走し、行動につなげる。否定や罵声にまみれたビジネスの世界において、全力で肯定・応援するこのシステムは、時代が求めるメンタルへのカンフル剤として広がりが注目される。


【プロフィール 與良昌浩(よら・まさひろ)】
1974年生まれ。早稲田大学卒。伊藤忠商事、アクセンチュア戦略グループ、ユーエスエスを経て、企業風土改革を行うスコラ・コンサルトに入社。人と組織の目的の創造および実現を支援する会社「株式会社もくてき」を設立し、代表取締役に就任。日本橋学館大学非常勤講師。大学生と社会人で「何のために働くのか」を語り合う「ハタモク(働く目的)」も主宰。2015年、応援の力を活用した目的達成支援サービス・クラウドサポートティング『Yell(エール)』を立ち上げる。著書に「他人の思考は9割は変えられる」(マイナビ新書)、「もっと自分らしく行動したい人の決める技術」(秀和システム)がある。最新刊は「決める技術」(秀和システム)。

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