インタビュー

新卒対象の社長募集を実施する狙いとは

投稿日:2015年9月18日 / by

究極の採用戦略に込める深いメッセージ

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リンゲージ(株)
林順之亮社長

求む社長! 英会話のリンゲージ(株)(東京都新宿区)が、CEOの募集を開始した。といっても、中途採用ではない。対象は新卒(第二新卒含む)だ。これから社会人になる金の卵に社長のイスを用意するという、前代未聞の採用戦略。その狙いはどこにあるのか。同社林順之亮社長を直撃した。

究極の一手に込めた狙いとは

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最大級のオファーに早くも東大生など一流大の優秀な人材が続々名乗りを上げているという

人材不足が深刻化する中、企業は採用に苦慮している。人はいても欲しい人材が採れない…。そうしたジレンマに悩まされながら、福利厚生の充実を図るなど、起業はあの手この手の策を巡らせる。もはや企業にとって、選ばれる職場としての取り組みは、生き残りと飛躍とための必須事項となりつつある。そうした中で、同社が実施するのは、なんと究極といえる一手だ。

「高校野球では1年生の清宮君がU18の日本代表で4番に抜擢されましたが、仕事の現場では、新卒が1年目からレギュラーになることさえ簡単ではありません。優秀でアントレプレナーシップあふれる若者であっても大企業のピラミッドの中で、やがて角が丸くなっていく。我々としては、そうした優秀な頭脳とハートを持つ学生の能力を埋もれさせず、すぐにでも開花させてあげたい。だからあえて、CEOのポストを用意しました。有名企業で内定をたくさんもらうのもいいですが、安定したレールに乗って、果たして本当にその資質を存分に活かせるのか…。『社長採用』は、いま考えられるあらゆる起業の中で最もリスク低い起業といえます。ぜひ、このチャンスを活かし、一気に羽ばたいてもらいたい」と同社林社長は、その狙いを明かす。

社長職をあえて新卒対象にするのはなぜなのか…

社長採用関連のアクションでは、これまでに、ストレートにプロ経営者を募集する取り組みや将来の社長候補募集、新卒でも学生時代に企業などでの社長経験のあることを条件にした幹部募集などはあった。だが、純粋に新卒を対象にした社長職の募集は日本では例をみない。社会経験がないに等しい人材を対象にするのは、ある意味で無謀とも思えるが、なぜ新卒にこだわるのか…。

「残念ながら、我々のような中小企業には、優秀な人材が流れにくい構図になっています。しかし、一流企業に行った優秀な人材が、そこで能力を発揮し切れるかといえばそうでもない。また、中小企業は、後継者問題に関し、親族や生え抜きからの抜擢がほとんどで、いわゆるプロ経営者を抜擢する視点がありません。こうした様々なゆがみや不均衡を打破する意味でも、この『社長採用』で一石を投じられればという思いがあります。ですから、応募は女性も大歓迎です」と林社長は、日本の労働市場への問題提起をしながら、新卒にこだわる理由を説明した。

大胆なかじ取りができる理由

ここまで大胆になれるのは、社長自身のキャリアも無関係ではないだろう。中途で同社に入社した林社長は、本部長職を経て、常務、そして、複数のグループ企業も含めた社長職に抜擢された。その間、古い慣習にとらわれず、大胆な戦略で業績を大きく浮上させてきた。そうした経験があるからこそ、あくまで戦略と割り切り、人材確保にも大胆になれる。過去に捉われることなく、手を打てる。まさにプロフェッショナルとしての視点で、経営の舵を切れるのだ。

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ここ数年で急拡大する同社での社長職はやりがいも究極だ

現在、年商15億円で業績を快調に伸ばす同社は、大企業のような知名度こそないが、2020年の東京オリンピックを控え、さらなる飛躍の絶好機を迎えている。最高の伸びシロがあるタイミングだからこそ、優秀な頭脳と起業家精神をもつ若者の斬新な発想に未来を託す。お飾り社長にするつもりはみじんもない。あくまでも、現在の勢いを加速させるための、本気の、戦力としての社長募集だ。だからこそ、同社にとって、最高の環境が揃う、いまがベストなのだ。

「2020年へ向け、弊社はいま、全てが順調に動いています。この勢いで我々は上場を目指しています。40年間で蓄えた信用と企業体力、そして温めてきたグローバル人材育成のノウハウが美しく花開く時を迎えた。それが、いまの弊社のフェーズです。大企業で役員に上り詰めるのは、1000分の一以下ともいわれています。どんなに優秀で、起業家精神にあふれていてもなれるとは限らないのが実状です。ヒト、モノ、カネ、実績、信用が揃った弊社で、存分に才能を発揮し、上場へ導いてほしいと思っています」と林社長は、若き“次期社長”へ熱いメッセージを送る。

閉塞感漂う労働市場に風穴明ける起爆剤になるか

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現在新宿を拠点に、スクールも急拡大中

前代未聞の大胆オファー。学生はどう受け止めるのか。少なくとも、この募集に刺激を受けた学生は、その時点でかなりの資質があるといえるだろう。とはいえ、さすがにすぐに陣頭指揮を執り、バリバリと経営のかじ取りができるとは思っていない。どんなに優秀でも経験不足だけはどうしようもないからだ。その辺りは、同社の経験豊富なベテラン幹部による全面サポートや、グループの複数の社長を兼任し、全体を統括する林社長が常時バックアップすることなどで、キチンと“助走期間”を設定する。責任を背負うことはもちろんだが、最優先はあくまで、才能や資質を開花させること--。その点が、この「社長採用」の画期的な部分であり、大きな意義といえる。

東大を出て、一流企業に就職し、役員になる。一流大学を経て、一流企業へ就職後ベンチャーへ転職し、トップに上り詰める…。学歴も能力も兼ね備えた優秀なハイスペック就活生の前には、当人が望むも望まざるも黄金のレールが敷かれる。だが、安易にそれに乗る先に本当に満足があるのか。そもそも思惑通りに進むのか。満足したつもりで人生を終えてしまうケースも少なくないのかもしれない…。人材の流動化が加速し始めた中で投じられた、同社の大胆不敵な採用戦略。前例がないだけに、閉塞感の漂う日本の人材市場に、大きな風穴を空ける起爆剤としての期待も自ずと高まる、究極の“新卒採用”といえそうだ。

■ プロフェッショナルな社長になりたい人が知っておくべき5つの鉄則


bossrecruite2【会社概要】
社名:リンゲージ株式会社 (Linguage Corporation)
事業部名:コーポレート事業部
本社所在地:〒160-0023 東京都新宿区西新宿1-4-11
創業:1975年5月 (全研本社(株)設立)設立2007年5月 (全研本社(株)から分社化し独立)
資本金:250百万円
経営陣:代表取締役 林 順之亮 / 取締役(COO)横井 文一
事業内容:
1、法人向け語学研修一般
(1)法人向け語学クラス研修の企画・運営
(2)英語通信教育(オンライン英会話レッスンを含む)の販売・運営
(3)語学留学斡旋
(4)公開セミナー企画・開催
(5)大学・高校・中学への講師派遣
(6)研修用各種テキスト開発・出版
(7)その他、企業研修に関わる事業
2、個人向け留学
(1)海外大学正規留学手配(奨学金留学を含む)
(2)海外語学留学斡旋
(3)高校・中学留学手配
(4)その他、留学に関わる事業
事業資格
1、官公庁入札のための全省庁統一資格認定(業者コード:0000126244)
2、一般労働者派遣事業許可証(般13-304183)
3、保険代理店登録(東京海上日動火災、三井住友海上、あいおいニッセイ同和、損保ジャパン、AIU、他)

 

 

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