インタビュー

社会人に学び直し(リカレント教育)は必要か?

投稿日:2013年12月5日 / by

社会人の学び直し(リカレント教育)の意義とその可能性

yashima1~人生100年時代を生き抜く処方箋~

 

八洲学園大学 学長

和田公人氏

定年70歳時代ももうすぐそこまで迫っている。労働期間50年以上。それでもやはり、一つの仕事をやり続けるのだろうか。どこかに転換点はないものなのか…。多くの社会人学生が学ぶe-ラーニングのパイオニアである八洲学園大学・和田公人学長に、会社員の学び直し(リカレント教育)の意義とその可能性について聞いた。


人生100年時代の歩み方

大卒で企業に就職した場合、現在なら65歳を定年として43年間、働くことが普通となる。もっとも、定年は今後も伸びていくことは確実で、70歳となることはほぼ確実といわれる。そうなると、もしも同一企業で勤め上げるなら、半世紀近くを一企業に捧げることになる。

「大企業の場合は、頻繁に配置転換がありますから、労働期間が長くてもそれなりに幅広い技能を身に着け、それなりに刺激を受けながらやっていける可能性はあるでしょう。しかし、中小、ベンチャー企業ならかなり厳しい。そもそも、定年に到達する前に企業が倒産してしまうリスクが高い」と和田公人学長は指摘する。

企業数では大多数が中小企業で構成される日本においては、厳しい現状といえるが、和田氏さらに「実は大企業にいる方が危険度は高い。なぜなら、倒産する兆候をつかみづらいからです。中小ならちょっとした兆候が顕在化しますが、大企業は一切そうした予兆は出さない。そのことはしっかりと認識しておいた方がいいでしょう」と続ける。

社会人の“大学入学”という現実性

一企業で社会人人生を全うすることが極めて困難になりつつあるこれからの時代。防衛策は自分で自分を磨くことしかない。専門学校に通う、プライベートの特技を磨き上げる、通信教育を受ける…など、その選択肢はいくつかある。では、大学に通う、というのはどうなのだろうか。

八洲学園大学教室

e-ラーニングといっても発信元には椅子もあり生受講も可能

「時間が取れない」、「お金がかかる」。主にこの2つの理由から、社会人の選択肢からは除外されてしまうだろう。しかし、実際にはこうしたネックは、それほど重大なものではない。一般的な大学に通うなら別だが、e-ラーニング大学であれば、いつでもどこでも受講できるため、時間の問題はクリアされる。そもそも、4年でなくても自分のペースでよく、6年かける学生も珍しくないという。コストについても各種割引があるなど、決して捻出できない額ではない。

社会人が大学で学ぶメリットとは

なによりも、大学に通うことのメリットはそうしたこと以上のものがあると、和田学長は説明する。「専門学校やスクールに通うのもいいのですが、同じ大学に通うというアイデンティティの共有がもたらすメリットは計り知れない。ともに仕事をしながら勉学にも励むという一体感はe-ラーニングであってもありますし、社会人での経験から派生したつながりによって、思わぬビジネスへの展開の可能性も十分にあり得ます」

確かに社会人では、異業種交流会などが頻繁にあるが、名刺の枚数こそ増えど、実益につながるケースは決して多くはない。それは、目的がビジネスのみで深みがないからだろう。その点、同じ大学に通い、それも会社員との2足のわらじとなれば、自ずと絆も深まろうというものである。そもそも目的は学び直しであり、そうした中でのつながりとなれば、ビジネスでなくともホンモノの関係が構築され、大きな財産となる。

和田学長

e-ラーニング大学のパイオニアとして次なる展望を見据える和田学長

e-ラーニング大学のパイオニアが描く次なるビジョン

大学のe-ラーニングではパイオニアとなる八洲学園大学・和田学長は、開学から9年を迎え、さらなる野望も頭に描く。社会人の学びに直しに、新たな意義を与える、画期的な取り組みだ。

「社会人として学んだ知識を流通するプラットフォームの構築を考えています。ここで学んだ人が、それをまたここで教えるべく教鞭に立つ。専門性は、ニッチなものでいいと思っています。それを学びたい人は少なくても必ずいる。さすがにそれでは食っていけないにしても生活の足しにはなる。リアルの大学では、受講者数とのバランスを考える必要があるが、ネット大学では可能です。そうやって、これまでは知る機会もなかったような分野の知識をオープンにするプラットフォームとして本学を進化させていければという構想はあります」

学びが学びを呼び込むe学習サイクルの構築

社会人として学び、それを指導者として“ネット講義”で拡散する。こうした土壌が出来上がれば、社会人としての大学での学び直しの意義は、一気に高まる。成功事例をビジネス書に落とし込み、各地でセミナーを開催する、というのが、現在の一社会人の一般的なサクセスストリーだが、そうした流れをも激変させることにもなるだろう。

労働期間50年時代。どこを折り返し地点にするかは人それぞれだろうが、ターニングポイントは必ず訪れる。社会人を経験したからこそ、もう一度しっかりと学ぶ、という選択肢を持つことは意味を増す。なによりも、人生をより充実させるために、今後、“学び直し”は、ますます重要になっていきそうである。


【八洲学園大学】

大学スタッフ

学生を支援するキャリアコーディネート室の佐藤絢さん(左)、学生支援センター長の佐藤明由美さん

2004年に開学したインターネット通信大学。社会教育主事、図書館司書、博物館学芸員の国家資格が卒業要件の中で取得できる。また、税理士、社労士などのビジネス系の資格取得支援のほか、社会人に求められる能力やビジネスに役立つ知識・スキル・生涯学習についての知識・スキルを習得するための科目を中心に、200科目以上を開設する。インターネット通信大学では珍しく、就職支援も行う。また、50歳以上のシニアを対象に割引制度を導入するなど、時代のニーズに合わせた体制で、柔軟に学生を受け入れる体制を整えている。

http://www.yashima.ac.jp/univ/

 

 


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