インタビュー

少年時代から築かれていった仕事への気持ち

投稿日:2015年12月2日 / by

丸吉日新堂
第9回の今回は、名刺というツールを用いて、人と人との関係を創り出す男の物語です。


大変な少年時代

背景から聞かせてください。

阿部
札幌生まれ札幌育ちですね。私の父はある大手のサラリーマンで、北海道支店長をやっていた。母は、私が小学校一年位の時に病気になってしまって。そのタイミングで父が丸吉日新堂印刷を独立をしてスタートしたんです。その一番辛い時に、父は朝から晩まで仕事、母は入院しっぱなし。兄がいるんですが、兄と二人で小学校一年の時から炊事洗濯掃除から何から何まで自分でやっていました。
で、祖父が良い祖父で。いつも海につれていってくれたんです。海を眺めながらね、「この地平線の向こうには海外があるんだぞ」と。昔、おじいちゃんは戦争に行っていた。それでも海外は素晴らしく夢があるんだと教えてくれた。その影響もあってか、小さい頃から海が好きでさらに海外と言う憧れが生まれた。

でも、父と母がそういう状況だったので大変でした。それでぼくは全てのことを一人でやっていたので学校から病院に母の見舞いに行き、家に帰ってご飯を作っていた。そのこともあって同級生より「大人」だったんです。何でもある程度できちゃうようになってしまったので仲間はずれのような、ひとりでいることが多かったですね。

話が合わないことも無理はないですよね。

阿部
こういうこともあってかコミュニケーション能力がまったくなかったんですね。友達と遊ばないから人と接することが苦手になってしまった。でも、あるとき親友ができて、彼が「サーファーって知ってるか?」と。モテるらしいというのを聞いて(笑)そこで小学校六年のときからサーフショップに通って、お金なかったから道具を貸してくれ、海まで連れてってくれってせがんでね。半年ぐらい毎週通ってると、そこに出入りする人と仲良くなって、サーフィンにはまっていったんです。

少年時代に感じた今に繋がる信念

サーフィンが今の自分を作っている、と。

阿部
そうですね。中学行ったときに、ぼくはどんな授業でも世界地図を広げてたんです。世界地図を見るだけでワクワクするんですよ。おじいちゃんとサーフィンの影響でね。海外に興味があるし、ここなら良い波がくるだろうとか言ってね。やっぱり興味があるものは勝手に覚えますよね。そうすると、地理だけは当時日本で二位になったことがあって。他の教科はさんざんだったんだけど(笑)夢中には何も勝てない。

少年時代の頃のことをもっとお聞かせください

阿部
父が営業をしているのを夏休みについていってたことがあるんです。で、父の営業スタイルっていうのが、お客さんは少ないんだけど皆と仲が良いんです。行くさきざきでお茶のんでお菓子たべて。仕事の話もほとんどせずにね。そのときに仕事って面白いなぁって、ぼくは思ったんです。いままで思っていた仕事のイメージとは違うなぁと。で、その時から自分の好きなように働きたいなと思って起業しよう、と決めてたんです。ぼくは学校のルールがとにかく嫌いで。決められたくだらないルールのために自分がしたいことが出来ないと言うのが。やればやっただけ成果がでるという世界にいきたかったんです。これはサラリーマンじゃ無理だ、と少年ながらに思っていました。

他にはどんなことをやっていましたか

阿部
ぼくは小学校中学校高校とずっとアルバイトをしていたんです。裕福ではなかったので自分がほしいものはずっと自分で働いたお金で買っていました。サーフボードを買ったり、旅行にいったり。
たくさんのバイトをしたことで、お金を稼ぐというのは大変だけれども、いろんな仕事があるなということにも気づいてね。いろんな仕事をしているうちに自分の中に仕事観というのができていったね。

世界一誇りにしたい会社

様々なメディアに取り上げられている会社です。

自分の足で見に行く

大学生の頃はどんなことを考えていましたか

阿部
そうだね、大学進学という時になったときに、海外の大学に行きたいと思っていたんです。でもその時の周りの友達や担任の先生から、海外に行っても仕事の役に立たないとか、ろくな人生にならないとか、意味がないとか言われて。そういうことばかり周りに言われたから、当時は意思も弱くてあきらめちゃったんです。北海道の大学にそのまま進学しましたね。でも、それがあるから今の友達がいたりこの会社にいたりするのでそれはそれでオッケーなんです。過去を否定するのはいくらでもできるんだけど、決めたのは自分なので。選択の責任はいつでも自分ですから。それで、あとから思ったことなんですが、もし、もしね、もし海外に行ったことある人、つまりは留学を経験したことがある人に話を聞いていたら「海外はいいよ」「いくべきだよ」って絶対言うよね。だから人生は出会いで決まる。誰と出逢うか、だれに話すか。無理だ、無謀だ、という人はやったことない人ですから。やったことない人に聞いても意味がありません。だから実際にやったことある人に聞く。これに尽きます。自分の足で会いに行って自分の頭で選択する。

次回の第10回は、阿部社長の後編。自らの若いときの経験とこれからの時代から考えた若者たちへの言葉に乞うご期待!


阿部氏
<プロフィール> 丸吉日新堂印刷株式会社社長 阿部晋也

北海道札幌市出身。大学卒業後に就職した企業の「人を大切にしない社風」に疑問を抱き退社。
父親が創業した印刷会社の2代目経営者となる。
丸吉日新堂印刷は、主に出逢いの最初のツールとなる名刺を作っており、またバナナの茎を用いたエコ名刺は、地球環境保護と途上国の雇用創出の両面から注目を集めている。
人と人との出逢いを作る、大切にする丸吉日新堂印刷株式会社の社長。

URL:http://www.nissindou.co.jp/


山口氏
[著者情報]

氏名: 山口佳祐

所属: 中央大学法学部

「仕事とは何か?」という素朴な疑問のもと「地方で活躍する方々に会う」日本一周の旅を今年の夏に行う。人に影響を与えることを人生の目的とし、将来何をするか模索中の大学生。来年2月から3ヶ月間は世界一周の旅へ。
長崎日大高校~中央大学法学部2年
Twitter: @Naganichi54

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