インタビュー

プログラミングを楽しめるバー「Hackers Bar」が与える新しい価値観

投稿日:2014年12月2日 / by

株式会社ヒメナ・アンド・カンパニー 中尾氏

hackersbar-nakao場所は六本木、ミッドタウンの向かいにあるパワーハウス六本木ビルの4階にHackers Barは店舗を構えている。見た目は一般的なBarとは変わらないが、店舗内の天井からは三つのモニターがぶら下がっており、その中にはプログラミング言語が走り続けている。Hackers Barでプログラムをライブで走らせているのは、Hackerと呼ばれるプログラミングを得意とする人物である。お客さんは、そのプログラムを眺めながら、それぞれパソコンを開き、酒を飲み、言葉を交わすのだ。

この記事を読み進めてもらうにあたって、まずはHackerという言葉について詳しく知っていただかなければならない。Hackerという言葉に対し、悪い意味でとらえている人もいるかもしれないが、Hackerという言葉の真意は「一般の人よりも深い技術知識と能力を持ち、技術的課題をクリアできる人」のことである。つまりは、「問題解決ができる人」これが本物のHackerなのである。Hackers BarにいるHackerはまさにその名の通り、プログラミング技術に精通し問題解決ができる人である。

Hackers Barを運営しているのは、株式会社ヒメナ・アンド・カンパニーである。今回はヒメナ・アンド・カンパニーの代表である中尾氏にHackers Barにかけた想いについて伺った。

問題解決のための場所として

Hackers Barでは、基本的にプログラミングで作れるものであれば何でもできる。アイディアを持っていれば、それが実現可能かどうかを教えてくれる場所でもある。

Hackers Barはプログラミングを行うことによって製品を作る場所ではない。いわばプロトタイプを生み出す場所であり、計画や企画の実現性を探る場所でもある。ここで生まれたプログラミングを基に、さらなるアイディアを組み合わせて行き、それが事業になることもあるという。

お店にいるHackerの腕前は相当なもので、お客さんが来ている間に簡易的なアプリを作成したり、一つのプログラムを書き上げたりすることに成功しているほど。Hackerの名に恥じぬ能力の持ち主であることがうかがえる。Hackers Barでは毎日のようにHackers Liveが行われ、訪れた人を楽しませるためのプログラミングショーが行われている。
しかし、いったいなぜこのようなスペースを作ったのであろうか?中尾氏は語ってくれた。

「Hackers Barを始めようとしたきっかけですが、『ストリートミュージシャン』のように、ハッカーがその場でパッとプログラミングできるような場所があればいいなと思っておりました。しかし、実際にストリートでそういったことをやろうとすると、道路を使う許可を取らなければいけなかったり、時間の制約があったりといろいろと締め付けも多く難しそうだったので、バーという空間を作ってそこでプログラミングを見せることができる場所にしました。カフェでもよかったんですが、カフェですと場を仕切る人がなかなか立てづらいので、バーテンという場を仕切る人間がいるバーという形態を選びました。バーは調和が得られやすい場所なんですよ。お客さん同士のコミュニケーションも生まれます」

Hackers Barで作られるプログラミングは、エンターテイメントの一種であり、その場で書いて動くプログラムを見せることで、見世物としての価値も生まれていくという。自分のプロジェクトが実現する可能性を、ここで見出すことができれば、社会的にも役に立つ場所となっていくだろう。

実際にHackers Barではお客さん同士がつながることも多く、ここで得た体験をもとに、新しい仲間との出会いや、新しいビジネスが生まれる場所でもある。お酒というコミュニケーションツールとここで得られる体験が人と人とを結び付けるのだ。

海外からも訪れるお客さん

hackersbar-counterHacker Barにくるお客さんは、そのほとんどがこの場所の存在を知ってやってくる人だという。「ちょっとバーに立ち寄りたいな」という理由でふらっとくる人はほぼおらず、この場所が提供してくれる価値をわかった上で訪れる人がほとんどだ。特筆すべきは、お客さんのうち2割が海外の方で、観光客が多いというところである。

観光のため日本にやってくる人が、Hackers Barについて予め調べ、目的の一つとして訪れてくれること。そして、この場所でプログラムが実現されるのを目の当たりにすること。この二つのことが、いかに世界的に大きな影響を与えることかわかるだろうか。Hackerが、Barと呼ばれる空間の中で、プログラミングを書きその場で実行する。このような光景は世界的に見ても例がない。そして、ここで得た体験と感動を胸に自国へ帰っていくのだ。

海外の人も多く訪れるため、Hackerに求められるスキルセットは非常にレベルの高いものとなっている。まずはHackerの大前提としてプログラミングスキルが重要になる。そして、コミュニケーションスキルである。そこに英語も含まれるので、そのレベルの高さは言わなくともわかるであろう。

逆に、これほどまでのスキルを携えていなければ、この場所に期待をして訪れたお客さんに対して、十分な満足を与えられないという事態にも陥ってしまう。Hackers BarのHackerになるためのハードルは決して低くないが、Hackerを希望してくる人は多いという。

今後は、京都やサンフランシスコにもHackers Barを作っていきたいという中尾氏。いろいろな土地にHackers Barを作りながら、地域が抱える問題を市民が解決していくためのサービスを提供する場としても、役立てていきたいとのことだ。

Hackers Barから生まれるシナジー

Hackers Barができたことによって、飲食業界に新しい業態が生まれた。一つはお客さんがパソコンをカウンターに並べてお酒を飲むバーという新しいジャンルを生み出すことに成功したということ。もう一つは、バーという場所に一度も訪れたことがない人が、プログラミングという価値をフックにバーに来るようになったということだ。新しい価値を与えることで、今まで踏み込んだことのない領域に入り込もうと思う人は自ずと増える。お酒×コミュニケーション×プログラムといった形でコンセプトを掛け合わせたことで、バーという業種にイノベーションを与えたのだ。

昨今では、スタートアップなどの事業も増えている。アイディアだけは持っているが、プログラミングができずに、そのアイディアを腐らせようとしている人もいるだろう。そんな時には是非Hackers Barに訪れ、プログラムによってアイディアが実現可能かを確かめてみて欲しい。

Hackers Barで行われるプログラミングはエンターテイメントである。種も仕掛けもあるプログラミングによってできあがるものを、訪れたお客さんが楽しみ、語り合い、繋がっていく場所としてHackers Barは存在している。


<Hackers Bar>
hackersbar-singboard店名:Hackers Bar
住所:東京都港区六本木7-12-3 POWER HOUSE六本木ビル4F
営業時間:20:00~27:00
定休日:日曜日、祝日
電話番号:03-6434-9232

<運営会社>
会社名:株式会社ヒメナ・アンド・カンパニー
代表取締役:中尾彰宏

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