インタビュー

リモートワークにシフトする本当のメリットとは

投稿日:2015年5月13日 / by

caster1

知っておくべきリモートワークの本質

(株)キャスター 代表
中川祥太氏

新しい働き方のひとつとして、「リモートワーク」が注目されている。オフィスにとらわれることなく、業務を遂行することで場所の制約をなくし、よりフレキシブルな働き方が実践できるからだ。このリモートワークの“本質”に着目し、サービス展開。急成長している企業がある。オンラインアシスタントサービスを提供する(株)キャスターだ。

まるでリアル並みの仕事ぶり

「承知いたしました」。クライアントから依頼が発生し、担当の者が応答。その間わずか20秒。女性の場合、しっかりとメイク。服装もきちんとしている――オフィスでの日常風景のお話でしょ?…。実はこれ、リモートワークのワンシーンなのだ。オンラインでオフィスのバックグラウンド業務を請け負うキャスター。設立7か月ながら急成長中の同社。その秘密の一端が、このシーンに凝縮されている。

姿の見えないリモートワーク。もう少しルーズでもよさそうだが、なぜここまで徹底するのか? 理由はいくつかある。最も大きな要素は、高い時給を担保するためだ。「この事業を始めたのは、優秀なのに力を発揮しきれない人材の発掘です。クラウドソーシングなどの広がりで、リモートワークもかなり身近になってきましたが、いかんせん単価が低い。仕事はあっても食べていけない。だから、パートや非正規並みの時給にこだわり、それに見合うサービスクオリティをキープしているのです」と中川祥太代表は説明する。

そこに居ないだけで、質は居るのと同じにする理由

caster2

登録のオンライアシスタントを管理する中川氏

アシスタントファースト――。スタッフをアシスタント呼ぶ同社では、従業員の生活を最優先する。雇用関係を結ぶ以上、従業員が安心して食べていけるようにするのが経営側の責務と考えるからだ。リモートワークは、まだなんとなく下に見られがちなワークスタイル。そうしたこともあり、賃金も派遣型より低めの傾向がある。それでも、同社では、リアル勤務並みの働きぶりを提供することで、高水準の報酬を得る。だからこそ、迅速なリアクション、出社勤務に準ずる身なりや行動を要求する。遠隔であることを、業務クオリティ低下の一切の言い訳にしない。

→リモートワーク導入の注意点はコチラ

「リモートワークというと、会社から離れて仕事をするため、軽く思われがちですが、そうではないんです。場所は離れていても、会社にいるスタッフと同じ。逆にいえば、場所が会社ではないというだけ。だから、弊社では、アシスタントがいつでも依頼に対応できるよう、就業時間中は常にPCの前に張り付いています。始業からあいさつもきちんと行いますし、できるだけクライアント企業の状況も事前に調べるよう教育しています」(中川氏)。

実際の就労状況をみてみよう。同社では、アシスタントは3~4人のチームを組み、複数社のバックグラウンド業務を担当する。チームとクライアント企業は、常時モニター付きのチャットでつながっており、逐一状況を共有する。メンバーに食事や離席があれば、別のメンバーが対処。滞りなく、依頼をこなす。ある意味では、リアルよりもスピーディーで的確な働きぶりといえる。それほど知名度はない同社が、すぐに信頼を獲得し、次々と案件が舞い込むようになるのも当然といえば当然なのだ。

高い品質の最大の源泉は“人材力”

もちろん、このクオリティの最大の源泉は、人材力にある。同社には、その理念やワークスタイルにひかれ、月200件以上の応募がある。その中から厳正に審査。その上で、試用期間を設け、人材を見極める。「リモートワークという点では、まじめに勤務できない人はダメですね。それから自分の都合を優先する人。ともすれば、リモートワークでは、監視の目がないのいいことに逆の理由でやりたがる人がいるかもしれませんが、離れているからこそ、よりきちんとしている必要があります」と中川氏は、合格率わずか1%前後の厳格な“採用基準”を明かす。

→試行錯誤の末、オフィスワークを選択した企業はコチラ

こうやってみると、場所が会社じゃない点以外は、社員と変わらないのでは、と思う人もいるだろう。その通りである一方、実はそれこそがリモートワークの本質なのだ。つまり、会社にいなくてもできる業務を、別の都合のいい場所で遂行する。あるいは、どうしても事情があって会社では業務ができない人が、別の場所で仕事をする。とりわけ、ホワイトカラーのバックグラウンド業務においては、それが、経営効率も見据えたリモートワークを行うべき理由なのだ。

2つの大きなビジョンでリモートワークに変革を起こす

中川代表は、そうしたことを踏まえ、企業ビジョンを大きく2つ設定する。一つは、東京の仕事の地方への分配。そして、もうひつとはリモートワークのルールメイクだ。

caster3

中川氏はリモートワークの浸透とルールメイクを使命とする

「地方には本当に仕事がない。しかし優秀な人材はいる。そういう人に東京の仕事をリモートワークで行ってもらうことで雇用が創出される。実際、いま、うちではほとんどのアシスタントが地方在住です。日本全体の人材の最適化という観点からもそれは推進したい。それから、単なる遠隔業務と思われがちなリモートワークですが、実は経営戦略的にも有効に活用することでコスト削減はもちろん、コア業務への集中など様々なメリットがある。その辺りをしっかり認識してもらえるよう、単なる遠隔業務でなく、“機能するリモートワーク”の明確なルール創りの先頭を走りたい」と中川氏は先を見据える。

最終ゴールはリモートワークの“一般化”

世の全ての業務がリモートワークで出来るわけではない。だが、テクノロジーの進化もあり、かなり多くの業務が遠隔で行うことが可能な環境は整っている。そうしたことを踏まえ、中川氏は、最終的なゴールも明確に描く。

「正社員、パート、アルバイト、非正規、そして『リモートワーク』。そういう位置づけに持っていきたいですね。そのためには、出来るだけ早い段階での大手競合の参入も期待します。リモートワークがもっと一般的になることで、働き方も変わるし、会社の在り方も変わる」。

単に場所にとらわれないワークスタイルという観点でなく、社会的問題の解決まで視野に入れながら、オフィスシーンへのリモートワーク定着を目指す中川代表。専門の求人サイトがあるなど、リモートワーク先進国・アメリカの事例も熟知する同氏の動きは、新しい働き方へのシフトとシンクロしながら、今後、さらに勢いを増しながら進展していきそうだ。


【会社概要】
会社名: 株式会社Caster
設立: 2014年9月
代表取締役: 中川祥太
資本金: 51,000,000円(資本準備金含む)
所在地: 神奈川県横浜市西区高島一丁目1番2号 横浜三井ビルディング1502号室
営業所:東京都渋谷区渋谷3-27-15 坂上ビル7F
事業内容:オンラインアシスタントサービス「CasterBiz(キャスタービズ)」のサービス運営

 

読み物コンテンツ

働き方白書について
仕事相談室について
極楽仕事術について
三者三様について
戦略的転職について
用語集について