インタビュー

松村淳平が明かしたあのメディア閉鎖の真相とこれから

投稿日:2016年2月17日 / by

無難に生きるなんて、停滞どころか、衰退だ
WEAVEST代表 松村淳平

2014年、新卒でグループ会社社長に就任し、主軸のバズメディアをわずか1か月でPV1000万越えを達成するなど躍進させた松村淳平(25)。ところが、10ヶ月後には突然、閉鎖を決断する。まさかの急失速にみえたが、内情は違っていた…。決意も新たに新事業構築に全力で突き進む松村に1年半ぶりにインタビューを敢行し、「あの時」と今とこれからを直撃した。

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バスハウス閉鎖の真相

「バスハウスは閉鎖する」。2015年3月末、一室に社員を集めた松村が発した言葉に全員が絶句した。無理もない。後発ながら、バズメディアの命綱となるPVを怒涛の進撃であっという間に増大。わずか3か月で3500万PVを達成し、快調に突き進んでいるさ中の発表だったからだ。

「目指すのは日本一の会社になること。その実現のために本当にバズハウスでいいのかと模索していた。数字は順調だったが、競合も強く、2番手、3番手で続けていても日本一は目指せない。そうした思いが最終的には撤退の決め手になった。僕が事業責任者なら、バズメディアというものをトコトン追求してもよかったかもしれない。でも、日本一を目指す経営者としては、これは違うと判断した。もう一つは、僕からの社員への本気度のメッセージ的な意味合いもあった」と松村は当時を振り返る。

社員には刺激的過ぎる驚きの撤退劇。とはいえ、代わる優れたアイディアがあったワケでもない。バズメディアに変わる新しい事業の柱は、撤退を決めてから具体的に考え始めたのが実際のところだ。それほどの電撃的な撤退決断だったともいえる。松村が、新たに目を付けたのはSNSマーケティング。インスタグラムやツイッター、YouTubeを複合的に自在に使いこなし、販促やPR等に活用するビジネスモデルだ。

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「20代の僕にとってSNSは、普通に使っているごく身近なもの。ゼロベースから事業を立案する中で、肌感覚として『いける』と思ったのが理由ですかね。バズハウス撤退を決めた後は、他の事業も閉じ、この事業にフルコミットしています」と松村は、バズハウス立ち上げ時と同様にいま、多くの時間を新事業に注ぎ込み、爆速ペースで数字を伸ばしている。

準備段階ながら、現在、松村が目標に設定する数字は、松村らしいビッグな数値目標だ。それでもYouTubeでは、開始1か月で早くも登録者3000人を突破するなど、快調に数字を伸ばし、バズハウス立ち上げ時と同様の進撃をみせる。すでにスポンサーを獲得するなど、ビジネスとしても着々と地盤を固めている。

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経営者として見据える次なる一手とは

もっとも、この新事業で松村が描く全体像からすれば、個人での数値目標達成は、ごく一部分でしかない。目指すゴールは、とてつもなく壮大だ。現在、自身が先駆者として突き進むその先に見据えるのは、SNSによる、“スター発掘プラットフォーム”の構築。松村曰く、「EXILEのLDHのネット版のイメージ」。その実態は、SNSを駆使して、ネット発の国民的スターを作り出し、LDHのようにピラミッドを構築、タレントの序列をつくるイメージだ。

「まずは、自分が設定した数字を達成し、SNSからでもスターになれる道のりを築きあげる。誰にだって、歌手になりたいとかダンサーになりたいとか夢があったと思うけど、大人になっていつの間にか諦めている。それを、より手軽に実現できるひとつの道として、いま突き進んでいるSNSでのビジネスを大きな形に集約したい」と松村は、とてつもなく巨大な目標を大胆に公開し、その実現を力強く公約した。

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「若者は腑抜けたことを言っている」、「会社は学校じゃねぇんだよ」と同世代の若者をぶった切り、自らを極限まで追い込んでいた松村。バズハウス撤退を「失敗」と指摘するなど、大口ゆえか外野から厳しい声も聞こえてくるが、松村はまるで意に介さない。

「無難って衰退でしょ」、で前進あるのみ

「20代は転んでなんぼ。何度転んでも起き上がれる。僕にとっては、大きな目標を立てることもそれを実行することもつまずくことだって何とも思わない。強がりでもなんでなくて、事実として、経営の大先輩もたくさん失敗している。でも、それでダメになるどころか、むしろそれを糧にそれ以上の成功を収めている。だから、致命傷さえ負わなければ、何の問題もないし、前へ進むためのプロセスでしかないんです」と松村は、涼しい顔で言い放つ。

若者の勢いというより、図太くたくましい経営者。そんな堂に入った発言だが、まだ25歳。同世代は、失敗を恐れる以前に失敗しそうなことは最初からしないという、無難の塊のようなスタンスの者も少なくない。有言実行ゆえに、そうした無難に生きる20代へは、松村は舌鋒を緩めようとしない。

「無難って、いい感じのように思われているかもしれませんが実際には停滞にもなってない。衰退ですよ。なぜなら、何もしなければ、どんどん下から追い抜かれるし、新しいものだってどんどん出てくる。気が付いた時には手遅れになります。だから、早く転べ。失敗を恐れている20代に強く言いたいですね。年をとればとるほど転ぶと傷が大きくなりますから」。

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2014年4月に新卒でサイバーエージェントグループ会社の社長に就任。事業の軸だったバズメディアで数字をたたき出しながら、電撃撤退を決断。現在は、自らが背中を見せつけるように、SNSを駆使した新事業構築に邁進する松村。「撤退が英断だったかは、まだ分かりませんが、今はこの新しい事業に全力で邁進します」。自ら突き進む者だけが前へ進める。そして成功をつかむ。松村の背中ごしに、何かは判らないが、ハッキリと道筋がみえるのは気のせいではないだろう。

→前回のインタビュー 若者の「ユルさ」をぶった斬る23歳社長の狙い

<プロフィール>松村淳平
早稲田大学卒業後、2014年新卒入社。内定者の時からアルバイトを開始し、経営陣に事業アイデアを送り続けた結果、入社後すぐに子会社WAVESTの社長に就任。バイラルメディア「BUZZ HOUSE(バズハウス)」などのサイトを運営する。

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