
無謀と成功は紙一重なのか
経営者・星野誠の野望
宇宙以外に目指すもの
株式会社 誠
代表取締役社長 星野誠
行動先行主義で宇宙へあと一歩までこぎつけた星野誠。夢破れた星野は改心し、はじめて自分の力で会社を設立し、軌道に乗せる。だが、心は改めても、ブレーキは壊れたままだった。アイアンマンマラソン、ゴビ砂漠250キロマラソン、宅建20日合格…など、行動先行で突き進む習性は変わるどころか、加速した感すらある。後編では、経営者・星野誠誕生とこれからに迫るーー。
宇宙目前から一転、どん底の現実へ
宇宙への夢がとん挫した星野は、偶然電車の中吊り広告でみた「フィールソーグッド」の文字にビビッときて、そのまま社名にし、新会社を設立する。だが、なにをするかも決めない行動先行主義。あと付けで海外への中古自動車販売を事業としたが、あっさり頓挫。WEB制作も行ったが、うまくいくはずがない…。
それでもブレーキが壊れているから行動は止まらない。事実上無職にもかかわらず、なぜか朝活に顔を出すようになり、ドップリはまってしまう。集まるメンバーは、意識の高いビジネスマンなどで、会の場所も立派なビル。都合よく勘違いした星野は、そこの住人のように勝手に施設を使うなど、置かれた状況など忘れ、自分の世界に浸っていた。
ダレた生活から“自力歩行”へ
だが、星野にも常識はある。じわじわと違和感が体を覆い始め、あることに気付く。「俺は自分で何もやってないじゃないか…」。適当に歩んできたこれまでを振り返り、猛省。家を出ることを決意する。当時、収入は大黒屋からバイト扱いとしてもらっていた月8万円のみ。必然的に家賃3万円のボロアパートへ移り、極貧生活を送る。
はじめて自分の力で歩み始めた星野は、ネットで物販するなどでわずかの収入を得ながら、日々を過ごす。その延長で周囲には「お店やります」と触れまわっていた。行動先行主義の男は、周囲に宣言してしまうことで自分を追い込む習性がある。結局、そのアンテナに空き店舗の情報が引っかかり、店舗オープンを実現してしまう。その店こそ、現在、星野が代表を務める中古メガネ販売の「誠」だ。
社名に込めた決意

コネゼロつてゼロで看板持参で乗り込んだ香港
「誠」とネーミングしたのには理由がある。ここまで、他力によって奔放な活動をしてきた星野。学生時代に覚醒したことにより、人並み外れた行動力があったからこそである一方、出会いに恵まれ、それにうまく乗せてもらっていた感も否定できない。30歳を過ぎた星野もさすがに人生について考え、今度こそと腹を決めた。「恥ずかしいことはできない」。それを徹底するためにあえて自分の名前を社名にしたのだ。
会社設立にあたっては、銀行から融資を受けるなど、資金繰りも自分の力で行った。晴れて一国一城の主となった星野だが、世間はそう甘くはない。売上げこそ、WEB販売でなんとか立っていたものの、店舗にはほとんど客が来ない。それでも、設備を増強するなど、環境整備を進め、徐々に事業も軌道に乗り始める。
経営者になっても行動優先はキープ
30にして、すっかり改心したように見える星野。だが、行動先行主義が失せたわけではない。ホテル事業と宇宙への夢は抱き続け、そのための行動は続けている。ホテル事業に絡み、不動産の勉強をするため宅建取得を決意。これも「宅建とります」と触れ回ったが、言葉とは裏腹に勉強時間が確保できず、残すは20日となった。絶体絶命となったが、20日間で200時間の猛勉強でなんとギリギリで合格。1割前後といわれる合格率を驚異的な詰め込み勉強で突破してみせる。
それだけじゃない。フルマラソンも完走できない体力でアイアンマンレースに参加し、完走。さらにゴビ砂漠250キロマラソンにも「自然が力をくれるだろう」と無謀エントリー。ほとんど歩くことになったが執念で“完歩”する。
アイアンマンレースなどの「道楽」ならまだ許せるが、星野は、社長としても行動先行主義を全開。香港支店設立を思い立ったまではいいが、何のツテも土地勘もない。そこで星野は、なんと看板片手に香港上陸。現地入り後にあちこちをたずね回り、会社設立と店舗契約を結んでしまう。ここまで来ると、「無謀」や「有言実行」というレベルを超えて、ある種の才能という他ないだろう。
無謀な行動の裏にある驚きに事実

ゴビ砂漠を走る星野
現在、店舗は一号店の新宿と銀座、そして香港に構える。国内では鎌倉にも進出予定だ。まず行動し、それから考える。星野の足跡は、誰がどうみても無茶苦茶であり無謀だが、実は恐るべき事実がある。なんと、宇宙旅行も会社設立も不動産事業も全てが、学生時代にリストに書き記していたのだ。行動が先行することでぼやけがちだが、星野の中では、リストに「済」のチェックを付けるための“予定”の行動なのだ。
星野はいま、リストに記した「エベレスト登頂」の2019年のチャレンジを当面の目標とし、準備を進めている。現実的な目標としては、僻地専門の不動産事業展開も視野に入れる。そして最終目標には、一度破れた宇宙旅行を設定。さらにその先には究極の目標として、宇宙にホテル(360度ガラス張り)をつくることを目指す。
星野が好きな言葉にこんな言葉がある。
「実行する力も実行しない力もその源は同じである」(アリストテレス)
そして最後に行動先行派の星野の言葉で締めくくる。
「人生は言葉だ、考えだと思っています。そう思って中学生、高校生ぐらいから言葉をスクラップしてきました。スクラップは簡単です。ただ、その言葉が実際に自分に入ってくるようにするには、何より自分が実際行動しなくてはなりません。おそらく、今までの人類の歴史の中で、様々な方が良いと言っていることがあるので、自分の人生の一生分ぐらいであれば、すばらしく人生を生きられるための先輩方の教えや、タメになるお言葉などは本屋にでもいけば、すぐに見つけられることでしょう。しかしダメなんです。それじゃあ、ダメなんです。まったく入ってこない。あぁいいことだな、確かにな、程度で終わってしまう。やっぱり、『あ!!こういうことだったのか!!』と自分に降りてくるまでは、何より自らの行動が必要だと思います」。
インタビュー前編:行動を優先するとどんな人生になるのか
【会社概要】
社名:株式会社誠
資本金:10,000,000円
本店所在地:東京都中央区銀座1-9-8
代表者:星野 誠
古物商免許:東京都公安委員会 第304360808553
事業内容: メガネの買取・販売
メガネの製作、リフォーム、修理、加工
URL: http://www.makotoweb.com