インタビュー

会社に縛られない働き方

投稿日:2013年2月21日 / by

銅像は何を見る?

働き方最前線リポート

ワークスタイル研究室

「技能」と「業務」の最適なマッチング。企業にとって、各部署・各チームでそれが実行されていれば、プロジェクトは最高の結果をもたらす。しかし、実態はどうだろう…。いま、技能と業務が、ネットによってベストマッチする仕組みが整備され、新しい働き方のひとつとして注目されつつある。「クラウドソーシング」と呼ばれる、その分野で日本最大級の規模で展開するランサーズ(株)にその実態を聞いた。


クラウドソーシングとは

デザイン担当なのにセンスがいまいち、ライティングを任せたのに結局自分で書き直し…。社内でプロジェクトを実行する際、こうしたミスマッチによる非効率は、意外に少なくない。それでも社員だから仕方なく進めてしまう…。プロジェクトの現場ではそんなことはよくあるのではなかろうか。

なぜそんな事態が頻発するのか。それは、目的に対し、遂行ツール・体制が十分に整っていないからに他ならない。従来なら、自社の弱い部分は外部に任せるいわゆるアウトソーシングで賄われていたが、いま、さらに手軽で確実なサービスとして注目されているのが、クラウドソーシングだ。

クラウドソーシングの仕組み

その仕組みは、いたってシンプル。何らかの技能を持った人(エンジニアやデザイナー中心)に仕事を依頼したい企業や個人が登録し、「業務」と「作業」をサイト上に公開。できることとやってほしいことをベストマッチングする。

お仕事の依頼画面

こうしたいわゆるクラウドソーシングサービスを提供する事業者は昨今急増している。そうした中、同社は日本最大級の実績とコンペ式やプロジェクト式など業務内容によって最適な受注方式を設定するなどで、働く側、そして業務を依頼する企業側からも高い信頼を得ている。

新しい働き方として大きな可能性

フリーランスという働き方は、自由である一方、仕事が不安定というマイナスがあり、どうしてもその地位が確立されているとは言いがたい状況にある。そもそも大した技量がない場合ならともかく、優れた技能を持ちながら、機会に恵まれないというだけで、埋もれてしまっているフリーランサーも少なくない。そうした不均衡改善を実現するクラウドソーシングという仕組みは、これからの新しい働き方の選択肢のひとつとして、大きな可能性を秘める。

同サイトへの登録者は現在までに10万人を超える。現状では1,000人がバイトレベルの収入で、その内の100人が、それだけで食べていけるレベルにあるという。100人のほとんどは、完全なフリーランスで、バイトレベルからの移行組もいるという。

この数をどう評価するかはともかく、フリーランスにとっては、企業から厚い信頼を獲得している「ランサーズ」というプラットフォームとかかわることは、フリーランスであっても、会社に属しているかのような安心感が得られるのかもしれない。

目標は年収500万円1万人

ランサーズ山口氏

ランサーズ山口氏

「運営する上でとにかく大事なのが企業から信頼を得ること。それには特効薬はなく、とにかく積み重ねなんです。依頼に対し、いい作業を提供する。その一つ一つの積み重ねでしか信頼は築けない。サービス提供してもうすぐ4年目を迎えさせて頂きますが、ようやくそこへは近づきつつあるとは思っています。私どものいまの目標は、クラウドソーシングで1万人が年収500万円を獲得できる世界の実現です」と山口氏はその野望を語る。

いい仕事をしても、次はどうなるかは分からないフリーランスという働き方。そこから機会不均衡による不安定、という障害を取り去れば、フリーランスという働き方が、正社員と並ぶ新しい働き方になる可能性はある。同社は、フリーランスの地位確立はもちろん、その先にさらに会社に所属しない、それでいて安定感もあるというSOHOの上を行く新しい働き方を描く。数年後には、“ランサーズ的な働き方”という言葉が、就活生レベルでも一般的になっていても何ら不思議はない…。


〈ピンポイントインタビュー〉
ランサーズ ビジネス開発部部長山口豪志氏

誕生のきっかけは「残念」な経験
――ランサーズが誕生したきっかけは?
山口氏 代表の秋好の実体験によるところが大きいですね。秋好自身が受託者としてのフリーランサー経験と、発注者として大手企業の依頼主の経験をしております。大手企業に就職後、仕事を外部へ発注する際に、以前から付き合いのあった個人の方へ仕事を依頼しようとしたところ、非常に大きなハードルを感じたと言います。
――具体的には?
山口氏 稟議書がたらい回しとなり結局、その時は仕事に繋がらなかったのです。個人のすごく腕のいいフリーランスの方に頼んだらもっとよいものがスピーディかつ、外注企業へ依頼するよりも低予算で仕事を依頼できるのに、と非常に残念だったそうです。
――そこにヒントがあった。
山口氏 そうですね。その時、今のランサーズの元となる発想が浮かびました。今の課題感を払拭して、そうした個人の方の埋もれている技術や才能をインターネットの力で掘り起し、必要とする企業につなぐ仕組みを作れればと思い、ランサーズが設立されました。


ランサーズHP<会社概要>

社名:ランサーズ株式会社

所在地:鎌倉オフィス=神奈川県鎌倉市小町2-7-32 小町協同ビル3F

東京オフィス=東京都品川区大井1-47-1 NTビル

代表者:代表取締役社長 秋好陽介

設立:平成20年4月

事業内容:クラウドソーシング事業

URL:http://www.lancers.jp/

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