インタビュー

正社員神話崩壊時代に落ちぶれない働き方

投稿日:2015年6月9日 / by

◇著者に聞く◇

arai

人事コンサルタント

新井健一氏

成長時代が終焉し、正社員が失業危機にあえいでいる。もはや、会社のために粉骨砕身しても報われない時代だ。いまだ成長時代のシステムを引きずる企業に居ては、ともに沈みゆくのも時間の問題。一体どうすれば、この窮地を乗り切れるのか。そもそも策はあるのか…。人事の観点からビジネスパーソンのハッピーライフを指南する著書『日系・外資系一流企業の元人事マンです。じつは入社時点であなたのキャリアパスはほぼ会社によって決められていますが、それでも幸せなビジネスライフの送り方を提案しましょう』を発刊した人事コンサルタントの新井健一氏に聞いた。

新卒で入った会社に40歳までいられる保証のない時代

「終身雇用や定年制度は周知の事実といえますが、とっくに崩壊しています。もはや新卒で入った社員も40歳まで会社にいられる保証はないでしょう。そこまで会社が持つか分からないからです」と新井氏。もはや、こうした指摘には驚かないが、それにしても厳しい指摘だ。現在、正社員として、会社のために働くビジネスパーソンは、この窮状にどう対処すればいいのか…。

富への道は本当に閉ざされているのか…

入った会社に40歳までいられるかさえ分からない時代

「ハッキリといえることは、会社に身をゆだねるのではなく、自分を軸に業務に取り組む姿勢を持つことが重要になるということです。つまり、自分がどんなキャリアプランを描きたいのか、というところから逆算して何をすべきなのか、どう業務に取り組むべきなのか、を考えながら働くことです」と新井氏はアドバイスする。

例えば、営業から在庫管理業務に回されたとする。そこで腐るのではなく、在庫管理を分かる営業マンになることを想定し、業務に取り組む。そうすることで、再び営業に戻れればスキルアップにつながるし、万一、解雇されても、“武器”として再就職に役に立つ。逆に制作部門から営業に回されても、売れるための製品づくりのヒントをつかむことを意識しながら働くことで、自身のキャリアップとなる。大事なことは、会社からやらされた仕事であっても、自分を軸に取り組み方を“変換”し、ステップアップの要素にしてしまうということだ。

自分軸を起点して肥やしに替える

逆境をバネに変えるというよりも、変化を自分軸を起点に肥やしに代えてしまう考え方だ。この辺りは、正社員神話崩壊時代に飲み込まれないための最低限の働き方といえる。こうやって、自分軸を明確にしながら、自分の武器ややりたいことをあぶり出していくことで、「もしも」、の時の職場移籍の土台を築いておく。その上で、新井氏が奨めるのが、外の空気を吸うことだ。といっても、いきなり他社を見学するというワケではない。自分に関心のあるテーマや講師のセミナーを受講するのだ。

「社内で目的意識をもって働くことでやりたいことがみえて来たら、次は動くことが大切です。どんなに意識が変わっても、中にいるだけでは現実は十分に把握できません。気になる講師のセミナーや講演に出向き、自分がやりたいことと自分に足りない部分を確認するのです。それが分からなければ、そこを目指すにも、基準が分かりませんからね」と新井氏は、自分軸を強固にする意味でも“社外遠征”が重要と説く。

リスクヘッジのために“複業”も視野に

さらに新井氏は、次なるステップとして、複業を視野に入れることをアドバイスする。「先に言ったように今後は企業の寿命がうんと短くなります。潰れてから次、では大変ですから、在籍中に別の会社でも働く。現状は社内規定等で難しいかもしれませんが、企業も今後容認せざる得なくなるでしょうし、いまから掛け合ってみる価値はあると思います」と新井氏は、キャリアアップと究極のリスクヘッジとしてのダブルワークを提案する。

自分軸の確立、外の空気を吸う、複業にする。この3つはまさに、ぶら下がり型正社員から脱皮するためのホップ・ステップ。ジャンプといえる。会社自体が、ぶら下がれるだけの“強度”がなくなっている時代だけに、このプロセスはもはや、正社員神話崩壊時代のスタンダードな処方箋といっていいだろう。

迫りくる危機には予知が大事

厳しい会社員人生を乗り切るノウハウが詰まった著著

厳しい会社員人生を乗り切るノウハウが詰まった著著

「私は決して会社を辞めて起業しなさいと言いたいわけではありません。ただ、いまの時代、会社に依存することはあまりにリスキーです。会社自身が、環境の変化に対応もすべきですが、その前に各自が危険をしっかりと予知し、被害を最小限にする努力をしておく必要があるということです。身近なことでいえば、決算書を自分事としてみることでも、危険予知にはなります」。

終身雇用時代が終わり、日本社会はいま、大きな過渡期を迎えている。単にリストラの恐怖におびえるだけだとすれば、あまりにも心許ない。誰もが、入った会社で会社員人生を全うしたいだろう。だが、それが困難になっているのは、紛れもない事実。ならば、少なくとも個人レベルでこうした状況をしっかりと認識し、その対策を万全にしておく必要がある。それが、どんな時も路頭に迷わない、新時代の正社員としての働き方であり、あり方といえるだろう。

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新井健一<著者プロフィール> 新井健一
1997年4月、大手重機械メーカ入社。人事業務全般に従事。1999年10月、アーサーアンダーセン/朝日監査法人(現 KPMG /あずさ監査法人)入社。 組織・人事及び業務改善に関わるコンサルティング及び教育に従事KPMGあずさビジネススクールにてシニアマネージャー、スクール長に就任。ビジネススクール責任者として事業経営の傍ら、コンサルタント、講師業務に従事。2010年11月、経営コンサルタントとして独立。東北六県を対象としたプロジェクトに従事し、仙台を拠点に活躍中。最近は旺盛な執筆活動も行っており、人事のノウハウをまとめた『日系・外資系一流企業の元人事マンです。じつは入社時点であなたのキャリアパスはほぼ会社によって決められていますが、それでも幸せなビジネスライフの送り方を提案しましょう』を発売している。

☆著書プレゼント

読者5名にプレゼントします

5名にプレゼント

今回、上記の新井氏の著書を5名の方にプレゼントいたします。会社員が厳しい時代をスマートに乗り切るヒントが詰まっています。ご希望の方は、メールにて「新井本プレゼント」のタイトルで氏名・年齢・職業・瓦版で読みたい記事の4項目を記載の上 info@w-kawara.jp までご応募ください。〆切は6月26日金曜日。当選は、厳正な抽選の上、メールにて通知させて頂きます。

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