インタビュー

社員の健康を気遣い社長が始めたイベントとは

投稿日:2014年12月16日 / by

株式会社アドウェイズ 「岡村屋」

岡村屋の準備風景

岡村社長(右)と愛社員課の社員が準備をしている様子

「岡村屋」その名の通り、株式会社アドウェイズの社長である岡村氏の名前を冠した社内イベントである。その内容とは岡村氏自ら腕を振るい社員に晩御飯をご馳走するというものなのだが、その開催日や何が出るかなどは一切社員に通知されない。当日17時頃、皆が「今日の晩御飯は何にしよう」と考えるぐらいの時間に、メールで突然知らせが来るのだ。

仕事を頑張ってくれている社員の健康を想って作られた企画

岡村社長のコメント気になる「岡村屋」のメニューを紹介しよう。第1回目はカレー、第2回目は豚汁とおにぎり、そして今回第3回目では牛丼といった形で、誰もが好むような品目がチョイスされている。それに配りやすさ、食べやすさなどにも配慮されており、開催のたびあっという間に品切れになるほどの盛況ぶりである。 午後9時。この時間までに仕事をしている人はどのぐらいいるだろうか。

この時間まで残って仕事をしているとなれば、一般的にいえば残業をしている人ということになる。遅くまで仕事をしている人の中には、いろいろな種類の人がおり、抱えている仕事が終わらず残っている人や、明日に仕事を残したくないがために残っている人など理由は様々であるようだ。そこで、夜遅くまで仕事を頑張っている社員のために、社長である岡村氏が何かしてあげられないかと考え「岡村屋」を発足させた。

「アドウェイズの社員は遅くまで仕事をしている人が少なからずいるんですよ。そうなると家に帰る時間も遅くなりますし、それからコンビニでお弁当を買って食べているとか、何も食べずに寝てしまうとかいう話を耳にします。これは健康上とてもよくない状態ですよね。そういった社員に向けて何かしてあげられないかということで、まずは無料で食事を提供しようと岡村屋を始めました。現在は月2回のペースでほぼゲリラ的に行っています。一回の開催で大体100~150食ぐらいが限界ですが、将来的には開催する回数も、作れる食数も増やしていきたいです。特に若い社員の中には、仕事を覚える過程で自分自身の健康に気を遣えない状態になっている人もちらほらいるので、そういう社員に向けてあったかいものを、美味いものを食べさせてあげたいという気持ちが強いです」と岡村氏は語ってくれた。

仕事と時間は切っても切れない関係にあり、業務時間内に仕事を終わらせることができれば残業せずに済むのだが、仕事内容や人によってはそう上手くいかないことも多々ある。責任を持って仕事を行っている以上は、遅くまで残って仕事することは誰にだってありえることだろう。その現状を理解しているからこそ、岡村氏は頑張っている社員のために食事の提供を始めたのだ。

社員にも愛されるイベントとして定着しつつある「岡村屋」

「岡村屋」の屋号は、岡村氏が直接つけたものではなく、一緒に食事を作っている愛社員課の社員が命名したものだそうだ。名前を冠として取り上げられたおかげで岡村氏自身も参画しやすくなっており、運用の面でも告知の面でも動きやすくなっているとのことである。

岡村屋は大盛況

時間になると社員が一同に集まり行列を作る

「岡村屋」の評判は社員の中でも好評で、食事が提供されるや否や配給所の前には行列ができ、あっという間に準備していた食事分はなくなってしまった。社員の方にインタビューをしたところ、会社で食事が出ることに対し「非常に助かっている」「他で食べる牛丼よりおいしいので嬉しい」という意見や、「通知の連絡がきた時点で、『今日は残って仕事しよう』という気持ちになる」といった前向きな話も聞くことができた。

中には「今日のおいしさは上中下でいうと、上の中ぐらい。社長の料理の腕が上がっていくのが楽しみ」という上から目線な意見もあり、社員一人一人がこのイベントを楽しんでいるのがわかる。「岡村屋」が開催されると、皆一時的に仕事を休止し、食事を摂りながらニコニコ談笑している姿も見受けられ、社内コミュニケーションの円滑化にも一役買っていることがうかがえた。それに、手渡しで食事を配給することによって岡村氏と社員との間のコミュニケーション向上にも効果があるという。

手渡しで牛丼を渡す岡村社長

岡村社長自ら手渡しで

「社員数が増えるにつれてどうしてもコミュニケーションを取る機会が少なくなっています。僕自身、週に3、4回ぐらいは社員と食事する機会を作ってはいるのですが、それだけではまだまだ足りません。だからこそ、こういった場は重要になってくるんです。創業当時は昼ご飯と晩御飯を当番で作っていたんですよ。お金がそんなに無かったのでせめて食事だけでも提供したいという想いでやってたんですけど、そうやって周りと絆を深めていったんですよね。今この人数でコミュニケーションを全員と取るのが難しい中で、こうやって面と向かって食事を渡すだけでも、少しは距離が近くなります」 社員と近い距離を保っていたいという岡村氏にとっても「岡村屋」はいい効果を生み出しているのだ。

働くことに一生懸命だから何かしてあげたくなる気持ち

そもそも、世の中的には夜遅くまで働くことについて懐疑的な意見もちらほら囁かれている。以前はアドウェイズでも世の風習に倣い、残業をせずに早く帰らせるといった施策を試したらしいが、社員側から「その体制では仕事が回らないから残業を認めてほしい」という意見が上がり、元の体制に戻したという経緯がある。自分の中で仕事というものについて、しっかりと責任を持って準拠できている社員の志の高さがわかるエピソードである。

頑張る社員に対して会社が、そして社長ができることは一体何であろうと考えられた結果が今回の「岡村屋」というイベントである。この取組は、砂漠を突き進む旅人にとってのオアシスのように、仕事を抱えながら空腹で頑張る社員にとって、ありがたいと心から思えるものになっている。そして、それが今後の活力になり、モチベーション向上にもつながっていくのだ。

世の中には会社のために、仕事を頑張っている社員がたくさんいる。そういった社員のために、ちょっとした気配りをするだけで、社員のモチベーションが上がることもある。しかし、それを体現できている会社はそんなに多くはないし、社員が幸せに働くためにどうすればよいかという課題を抱える企業も多いことであろう。

そんな中、アドウェイズでは会社の一部署として愛社員課を立ち上げ、社員を大事にすることについて根本から考え行動に移し、社員と会社の絆というものを築き上げているのがわかる。 喜ぶ人がいるからやる。人儲けを運営指針として愛社員精神を掲げるアドウェイズが打ち出す社員向けの施策について、今後の動向が非常に気になるところだ。

美味しそうな牛丼

著者も岡村屋の牛丼をご馳走になりました!美味しかったです!

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