インタビュー

会社員が個人でフリー素材サイトを運営するために

投稿日:2014年10月14日 / by

無料で使える写真素材サイト「PAKUTASO」

susipaku-imageWEB業界に興味がある人やWEB業界で仕事をしている人であれば、ぱくたそを見たことがない人はいないだろう。フリー素材でありながら、ハイクオリティなだけではなく一風変わったシチュエーションの写真を用意し、見る人の目を楽しませてくれるWebサービスである。その素材数はなんと4,500枚を超えるという。

今回の取材では、ぱくたその主催者であるすしぱく氏とぱくたその広報担当である大川氏の二名に、ぱくたそのサービスやあり方について話を伺った。

なんとなく始めた高品質フリー素材サイト

ぱくたそが発足したのは2011年5月。もともとWebデザイナーとして仕事をしていたすしぱく氏が制作したサイトである。もともと写真の撮影は趣味程度に好きだったが、写真素材業界を変えたいであるとか、自分の写真スキルを見せつけたいという気は全くなく、ただなんとなく始めたことがきっかけだと、創設者のすしぱく氏は語ってくれた。
「もともと、写真はやっていましたし、物撮りの方法とかはわかっていたっていうのはあるんですけど。まさかここまで有名なサイトになるとは思わなかったですね。創設時は、世の中にたくさんあるフリー素材サイトの一つっていう感じで特出するものは何もなかったです。無料で高品質ってだけですね」

ぱくたそではフリーで素材を提供しているが、無料だからといって適当な写真を掲載しているわけではない。解像度は紙に印刷しても問題ないぐらい高く、画像自体のレタッチもしっかり行われている。そのあたりからも、高品質な素材を提供したいというすしぱく氏のこだわりや誇りを強く感じる。

「サービスとしてやっている以上は、まずいいものを作るというのが第一条件ですよね。こうやってフリーで素材を作っていると、『いいものを提供してくれてありがとうございます』って言われることがあるんですけど、人からありがとうございますって言われるサービスを続けているんだと思えることが、サイトを運営するためのいいモチベーションになってくれるんですよ。それが仕事として楽しいことなんです」とすしぱく氏。

「ぱくたそを運営していることが直接お金になっていないから、きっと今までぱくたそを続けてこられたんだと思います」と大川氏。

「フリー素材」の中での差別化

PAK88_koukashitakabedondanjyo20140301500ぱくたそが有名になった一因としては、広報である大川氏の力も大きい。聞くところによると大川氏はぱくたその創設期から一緒にやってきたわけではないそうだ。それでも、比較的初期の段階からすしぱく氏と合流し、フリー素材モデルとして被写体となり、2014年1月には正式に広報として働き始めた。大川氏が合流しなかったら、ぱくたそは今とは違う方向に向かっていたのではないかとすしぱく氏は言う。Webサービスに限った話ではないが、人との出会いがサービスや経営の方向性を大きく変えていくのは確かだ。

ぱくたそは大川氏の合流により、フリー素材サイトとして新たな境地を生み出した。今まで、シチュエーションという枠組みの中でしか価値を生み出せていなかった画像素材に、キャラクターという新しいエッセンスを取り入れたのだ。そのことで、他のフリー素材サイトとの差別化に成功した。

今までのフリー素材サイトでは「こういう場面、こういうシチュエーションの素材が欲しい」というニーズだけで選ばれていた写真が、ぱくたそでは「こういう人が演じる、こういう場面、こういうシチュエーションが欲しい」というニーズを取り入れることができている。モデルを選べるフリー素材サイトは他に例を見ない。大川氏に至っては「フリー素材専門モデル」という新しい肩書(職業)を生み出すきっかけの人となった。

ぱくたその素材が優れているところは他にもたくさんある。たとえば、写真のシチュエーションについても「誰もが欲しがるものを」という意識の中で作られているので、真面目なものからくだらないものまで多種多様に揃えられている。写真のタイトルに関しても、強いこだわりを持ってネーミングしているのがうかがえる。誰もが二度見するようなタイトルを付けることで、その状況をより具体的に、より面白く伝えているのだ。
「今後も『こういう素材が欲しい!』という要望には、できるだけ応えていきたい」とすしぱく氏は語ってくれた。

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増え続ける企業とのコラボ企画

ぱくたそでは、現在企業コラボなどの素材も次々配信されている。コラボ企画として素材を出すと若干PVは下がるというが、企画素材を提供することに対して、ディレクションからリリースまでしっかりと請け負っているのもぱくたそのすごいところである。仕事との両立をしながら、ぱくたその運営にも余念がない。このプロ意識こそ、ぱくたそがここまで成長していった要因なのだろう。

「ぱくたそでは、最近コラボの話がすごく多いのですが、そのときに『ぱくたそさんの場合企画をお願いした後、ディレクションからリリースまでしっかりやってくれてるんで、すごく信頼して企画をお願いできます』って言われたんですよ。ぱくたそをやっててよかったと本気で思えた瞬間ですね」
とすしぱく氏は教えてくれた。正当な評価を得られているからこそ、ぱくたそを運営しているモチベーションに繋がっているようだ。

会社員でも好きなことを仕事に

pakutasobb336ぱくたそは今やもう様々な人に認知されるサービスとして成り立っている。しかし、すしぱく氏は会社員としての一面も持っており、通常の仕事をしながらでもここまでのサイトを作り上げることができている。なぜ、こういった運用ができているのだろうか。すしぱく氏はこう語る。
「サービスを思い付いて、それを形にしようと思ったら、上手くなる前に始めてしまうのが一番いいんですよ。リリースのタイミングって本当に重要で、ある程度うまくなったらやろうと考えていると、いざ、自分が納得できるぐらいになった時に、良し!始めよう!ってなるかというとそうではないんですよね。なので、思い立った時にまず初めの一歩に踏み出すことが大事なんだと思います。あとは継続ですよね。サービスの運営自体は誰でもできることなんですけど、続けることが本当に難しいんです。僕がぱくたそを続けられているのは、自分の本業が脅かされないようにと考えながら、ぱくたその運営に対する時間配分をしてるからなんですよ」

ぱくたその運営は今後も続けていくというすしぱく氏。会社に勤めながらもぱくたそを運営できる極意は、好きなことをする時間を、仕事に影響しない範囲で確保しているからである。本当にやりたいことを突き詰めて行ったら、それが本業となることも確かにあるが、その域に達するのは非常に難しい。しかし、自分の仕事をやりつつ、好きなことを仕事にしつつという生き方を実践している人がいる。こういった人が新しい働き方のロールモデルになっていくのではないだろうか。


pakutaso-top「PAKUTASO」
http://www.pakutaso.com/

運営者 すしぱく氏

後日談・・・

PAKUTASO(ぱくたそ)というサイトの名前の由来について、取材中に聞きそびれてしまったので、後日問い合わせをした。
「もともと、僕のハンドルネームが由来になっているんです。すしぱくって名前で活動してまして、それが人から、「ぱくさん」とか「ぱくたん」とか呼ばれるようになって、そこから「ぱくたそ」の名前が生まれました」とのこと。

フリー素材モデル大川さんの対談記事はこちら
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