インタビュー

エクストリーム出社で働き方はどう変わるのか…

投稿日:2013年11月1日 / by
しーな氏と天谷氏

リゾート地にスーツ。このギャップがEX出社を象徴している(左からしーな氏、天谷氏)

瓦版インタビューVol.7 ~出勤前の究極娯楽かそれとも無謀なのか~

日本エクストリーム出社協会

共同代表 しーなねこ氏

朝トレ、朝活、早出…出勤前の時間を有効活用し、自分を磨く会社員は珍しくない。では、出勤前に遠出して温泉につかる、登山をする…なんて行動は、どうだろうか。仕事を台無しにする「無謀」なのか、はたまた仕事前に最高にリフレッシュする「究極の出勤前娯楽」なのか…。その名も「エクストリーム出社」を考案し、自らも実践する会社員であり、日本エクストリーム出社協会のプロデューサーでもある、しーなねこ氏を直撃した。


エクストリーム出社が「無謀」でない理由

登山後に出社

夜明け前に登山をしてのEX出社。やっぱり無謀?

高尾山で登山、群馬・高崎で達磨に目を入れる…。休日にちょっと気合を入れて楽しむレジャーならごく普通だが、これを平日の出社前に実行する。それがエクストリーム出社だ。ちなみに2つともしーな氏が実際に行っているが、氏の職場は神奈川県川崎市。まさに「エクストリーム」である。一般的な会社員からみれば、「無謀」でしかない。

「正直、私も無謀かなとも思っていました。ところが、やってみると非常にリフレッシュでき、その後の仕事にも集中できました。早朝から活動することで、始業時から一気にフルスロットルで加速できる感じですね。もちろん疲れてはいるのですが、エネルギーが切れはじめるのは、終業直前なんです」としーな氏は、なんとエクストリーム出社が生産性の向上につながるとまでいう。

エクストリーム出社の正しい使い方

にわかには信じがたいが、もちろん、“正しいエクストリーム出社の仕方”を守る必要はある。それを守って行えば、仕事にとって「無謀」どころか作業効率の向上に繋がるだけでなく、行きたくない会社にも行きたくなるというから、興味深い。

「大事なことは、エクストリーム出社をする前日は早く寝ること。当たり前ですが、かなりの早起きになるので、寝ていないと疲れますから。もちろん仕事は出来る限りノー残業で終える。ペースは週1くらいで水曜あたりに行うとリフレッシュ効果でいえば絶大です。当然ですが、綿密に計画を練ることも非常に重要です。準備不足でバタバタすることはエネルギーの浪費にもなりますし、遅刻は絶対に許されませんので精神的にも良くありません」としーな氏。

エクストリーム出社がもたらす効果

しーなねこ

日本EX出社協会代表・しーな氏

正しく活用することで、ダレ切った生体リズムがリセットされ、早寝早起きの健全な生活と肉体を取り戻せる。どんな場所へいくかを考えることで企画力が養成される。綿密にプランニングすることでタイムマネジメント力が鍛えられる。リフレッシュした状態で仕事に取り組めるので集中力がアップする。仕事前に大きな達成感を得て、何事もちっぽけにみえ、仕事への苦痛や憂鬱さを感じなくなる…。あくまでしーな氏の主観だが、エクストリーム出社は、仕事をより効率的に進めるだけでなく仕事への姿勢も前向きにするなど、いい事尽くめといえる。

仕事面とは別に、平日早朝に休日並みのレクリエーションを楽しむこと自体に、多くのメリットがあることもポイントだ。当然ながら交通機関はガラガラ、飛行機や特急利用の場合なら、格安でいける。これらは、エクストリーム出社を行う者の名称である「出社ニスト」ならではの特権といえるだろう。

エクストリーム出社の注意点

気になることといえば、出社前であり、業務に無関係であることから、労災の適用はないという点。それについては、出社ニストの最低限のマナーであり、十分に注意して取り組む必要がある。エクストリーム出社は、競技としての側面もあり、随時、SNSで行動を発信する。従って、厳格な会社なら、バレたらお咎めもありうる。そもそも、いわゆるブラック企業的な会社なら、実行自体困難かもしれない。その点については「そういう会社に所属していて毎日がつまらない人にこそトライして欲しい」としーな氏はエールを送る。

 

江ノ島にて

出勤前の非現実は心を大きくしてくれる

こんな人は是非トライを

会社に行くのが憂鬱でつまらない。決まったことをする毎日なのに、将来の不安がどこかにある。エクストリーム出社をすることで、そうしたことがちっぽけにみえてくるというしーな氏。早起きで遊び切って出社する瞬間に、行きたくなかった会社の入り口にゴールのテープがみえ、それを切る達成感が全身に充満するともいう。こうなってくるともはや、やってみなければ分からない領域といえる。

現実逃避は、レベルによっては、業務に重大な支障をきたす。だが、エクストリーム出社という現実逃避は、時間にしてわずか3時間弱であり、現実をポジティブにみせる即効性まであるようだ。必ずしも万人にオススメの出社スタイルとはいえないかもしれないが、仕事や将来に行き詰っているワーカーなら一度はチャレンジしてみる価値は十分にありそうである。


【エクストリーム出社あれこれ】

エクストリーム出社とは、出社前に海水浴や登山などのアクティビティをこなすエクストリームスポーツのこと。出社時間から逆算し、活動時間を捻出する。遅刻すると“失格”となる。エクストリーム出社を行う人は出社ニストと呼ばれ、今やエクストリーム出社大会なるものまで開催されている。考案者は天谷窓大氏(あまや そうた)と椎名隆彦氏(しーなねこ)の2名。

Q:なぜそんな出社の仕方をするんですか?

A:日常の中に非日常を入れることでリフレッシュ効果を高めるため

いつものように出社する。その前に湘南の海で海水浴をしたり高尾山に登ったり…。勤務地にもよるが、いつもより5時間近くは早起きする必要があり、おまけにアクティビティで体力を消耗する。ところが、日本エクストリーム出社協会共同代表のしーな氏は「無謀かと思ったが、非常にリフレッシュでき、その後に仕事にも集中できた」と証言している。その理由についてしーな氏は「会社に行くのが憂鬱でも、エクストリーム出社することで、そうしたことがちっぽけに思えるんです」と話している。

Q:実施に際し、決まりごとはあるのですか?

A:あります。エクストリーム出社は娯楽であり競技です

服装は平時の出社時のもの、が基本。活動を常時、SNSなどで配信するので、スーツなどを着用している方が“おいしい”。場所については定時まで出社できる場所ならどこでもよし。前泊スタートもOK。競技中は、アピールのため、カメラやスマホは不可欠。採点の基準は、「移動」、「アクティビティ」、「演出」の3基準に基づき総合評価する。どんなに高得点でも会社に遅刻するともちろん失格。社会人としてのマナーには厳格なのです。

Q:朝の活動が中心なら、朝活との違いはなんですか?

A:朝活はビジネス寄り、エクストリーム出社は完全に娯楽

あえて説明するまでもないかもしれないが、朝活は例えばヨガをやるにしてもビジネス交流的要素がゼロではない。スキルアップ勉強会的なもろにビジネス直結型も多い。一方のエクストリーム出社は、山登りや海水浴、東京湾一周など、ひたすら楽しみを追求する完全なる娯楽。その後に出社がある、ということだけが、娯楽とは違う要素になっている。

Q:疲れ切って休みの日はただただ休んでいるのですか?

A:その通りです

理由は様々あるようだが、“出社ニスト”は休日、家にいることが多いそうだ。なぜなら、平日の早朝に勤務ルートを逆走するスーパーガラガラ状態で娯楽を満喫する味を覚えると、週末の混雑の中を移動するのがばかばかしく思えるからだ。もちろん、平日出社前の娯楽によって疲労している面もあるだろう。疲労回復とともに、次のエクストリーム出社ルートをじっくりと練り上げるために時間を使うというのも大きな理由なのかもしれない。

まとめ

早起きして娯楽を楽しむのは休日。そんな常識を取り払い、平日の出社前に、ひと遊びするエクストリーム出社。「週末の休みのために仕事を頑張っている」という輩もいるが、たまにはエクストリーム出社してみるのもいいかもしれない。なぜなら、多くの人が見たことのない風景が見られるからだ。しーな氏は「周一くらいがリフレッシュ効果が高い」と話している。習慣化することで早寝早起きが身に付き、健康にもいいそうだ。何かに行き詰っていたり、モヤモヤしているなら思い切ってやってみてはいかがだろう。もちろん、遅刻は厳禁ですよ。


しーなねこ氏しーなねこ プロフィール

日本エクストリーム出社協会・共同代表。共同代表・天谷のエピソードをもとに、早朝から出社までのプロセスをエクストリームスポーツと定義。通勤をゲームとしてパッケージングする。1979年生まれ。位置情報系WEBサイトで観光特集などの企画業務にたずさわる会社員。新卒から技術職だったが、1年前から現職に。ゲームのプログラムも組むが、「リアル桃鉄」など日常をゲーム化するのがライフワーク。独特の虚脱感を共有して面白がる「へもいっ子クラブ」代表でもある。

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