インタビュー

知らなきゃヤバい。10年後に様変わりするビジネスモデルの知っておくべきアウトライン

投稿日:2015年12月24日 / by

2025年のビジネスモデルはこう変わる

ソーシャル・デザイン代表理事 長沼博之氏

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「10年後、あなたの仕事は消滅している」。

そういわれたどう思うだろうか。目の前が真っ暗になり、一気に脱力してしまう人もいるかもしれない…。閉塞感漂う経済情勢の中、現実に水面下では着々とうねりが起こっている。それが得体のしれない不安の正体だとしたら…。働き方の未来を予測した長沼氏が「ワーク・デザイン」に続く第二弾として放った著書「ビジネスモデル2025」は、ビジネスモデルの転換を、すでに起こっている事実としてひも解き、ビジネスパーソンの処方箋としてまとめている。本書をもとに、長沼氏に3回に渡り、ビジネスパーソンが次世代を生き抜くために磨くべきワークスキルを指南してもらう。

価値感が一変し、時代がリセットされる

<売り上げだけを追い求め、労働マシンとして突き進む>、<多額のコストをかけ、新事業を開始する>、<研究室にこもって没頭し、新技術を開発する>…これまでのビジネスシーンで当然だったこうした行為は、新時代ではリセットされる。つまり、欲望をあおり、力付くでも利益を上げるビジネスモデルは淘汰され、新事業を開始するコストは限りなく小さくなり、研究はよりオープンに行われるということだ。

長沼図表

ガラリと変わる価値感。いままさに、旧来のビジネスモデルの中枢で活躍するビジネスパーソンにとっては衝撃の展開が、すでに現実として動き始めている。だが、うろたえることはない。なぜなら、こうした状況を把握していることが重要であり、その上で来るべき時に備えていれば、まともなビジネスパーソンなら順応できるからだ。一体いま、なにが起こっているのか。やるべきことを知る前に、変化についてもう少し掘り下げてみよう。

100年に一度の文明の転換期

「現代は数百年に一度の文明転換期といわれています。その序章はすでに始まっており、その全貌がこれから10年の間に姿を現そうとしています。大事なことは、社会の構造変化と大きなビジネスモデルのトレンドを見極めながらコンセプトを磨き上げ、ビジネスモデルへの高みへと昇華させていくことです」と長沼氏は、次世代のビジネスモデルへの転換がすでに始まっていると明かす。

「すでに始まっている」。この言葉にピンとくる人はまだ少ないかもしれない。だが、実際にビジネスの構成要素は着実にシフトし始めている。例えば利益の最大化は、影響力の最大化(貢献価値の最大化)へと移っている。提供するモノは、標準規格化から個別化へとスイッチしている。利用モデルは、所有から共有へ、そして、顧客アプローチは買わせる・消費させるから好きになる・生産するへ、といった具合だ。いずれもまだ大きな動きではないが、言われてみれば思い当たることが何かあるのではないだろうか。

生産性向上や上がらない賃金ともリンク

これらのことは、高まる生産性と上がらない賃金、格差の拡大などという、いま起こっている危機とも実はリンクしている。つまり、こうしたビジネスの構成要素の変化は、拡がる格差や上がらない賃金を補完するものでもあり、これまで同様に暮らしていける社会実現への胎動だからだ。もちろん、現実に賃金が上がらないことで、感覚的にはプアなイメージを受けるが、実際の生活は、新しい構成要素の中では、問題なく営まれるのだ。
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「いま多くのビジネスパーソンが漠然とした不安に覆われていると思います。しかし、次の社会の輪郭が見え、次世代のビジネスモデル等が明快になってくれば、そうした不安も取り除かれるハズです。なによりも次の社会は、いまよりもはるかに素晴らしいものになると私は断言できますから」と長沼氏は力を込める。

10年後の変化のアウトラインを知ることは最低限の“鎮痛剤”

不安はなぜ起こるのか。それは、何が起こるか分からない、あるいはよくないことが起こるのでは、と心配になるからだ。長沼氏は、これから起こることを、すでに起こっている未来として明快にするだけでなく、よくなると見通す。それが事実だとすれば、問題は、こうしたことに目を向けず、知ったとしても拒絶するスタンスだ。パラダイムシフトの只中で、変化を受け入れられなければ生き残れないことは、進化論でも証明されている。変化にしっかりと向き合い、受け入れることが文明の転換点では重要になる。

これから10年で着実に変貌を遂げるビジネスモデル。そのアウトラインを知っておくことは、激動の中でもブレずに前進し、新しい社会へ順応するためのファーストステップとなることは間違いない。その上で、長沼氏が提示する10のワークスキルを磨くことが、ビジネスパーソンが次世代でも生き残り、さらにはステップアップするために重要となる。次回以降では、磨くべき10のワークスキルを一つ一つみながら、次世代のビジネスパーソンのあるべき心構えを示していく。


【プロフィール】長沼博之
一般社団法人ソーシャル・デザイン代表理事。イノベーションリサーチャー/経営コンサルタント。Social Design Newsファウンダー。近未来の社会やビジネスモデル、働き方、メイカーズ革命やクラウドソーシング等についてテレビや雑誌からの取材多数(http://social-design-net.com/works)著書に「ワーク・デザイン これからの〈働き方の設計図〉」「ビジネスモデル2025」がある。


<ビジネスモデル2025>
仕事とワークスタイルの未来を体系的に提唱した「ワーク・デザインこれからの<働き方の設計図>」。同書が示した働き方は、どんな社会の中でより機能していくのか。未来のビジネスモデルに焦点をあてた本作は、未来のビジネスシーンを鮮明にすることで、新しい働き方をどう活かし、どんな心構えでいればよいかを明快にする。価値観の転換は、いつの時代も受け入れがたいものだが、同書ではごく自然に受け入れられるよう豊富な事例と哲学的視点で未来のビジネスシーンを解き明かしている。

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