働き方

行政書士の資格ってどんなの?

投稿日:2014年5月13日 / by

行政書士の仕事とは

行政書士とは、国家資格である行政書士試験に合格、あるいは一定の資格を得たうえで、日本行政書士会連合会の登録を受けた人のことを指す。一定の資格とは、弁護士・弁理士・公認会計士・税理士のこと。これらの資格を有する人は、行政書士の試験を受けなくても、日本行政書士連合会の登録を受けることができる。

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行政書士の仕事は、書類作成が主となる。

書類作成業務といっても、現在では、依頼された通りの書類を代わりに書くという単なる代書屋ではなく、法的知識を活かして、どのようにすれば許認可等を受けられるのか、またトラブルを未然に防ぐことができるのか、様々なコンサルティングも含めて書類を作成するようになっている。

これらの書類は3種類に分けられる。
1:官公署(国や地方公共団体が運営する諸機関のこと)に提出する書類の作成
2:権利義務に関する書類の作成
3:事実証明に関する書類の作成

この3つの仕事について、具体的に紹介していく。

官公署に提出する書類の作成について

行政書士は官公署(各省庁、都道府県庁、市・区役所、町・村役場、警察署等)に提出する書類の作成、同内容の相談やこれらを官公署に提出する手続について代理することを業としている。その書類のほとんどは許可認可(許認可)等に関するもので、その数は1万種類を超えるとも言われる。

内容としては、

建設関係・産業廃棄物

建設業許可申請
建築物清掃業の登録
地質調査業者、測量業者の登録申請
産業廃棄物処理業の許可申請及び変更届
建設業変更届出
経営状況分析申請
経営事項審査申請
宅地建物取引業免許申請

など

法人設立関係

会社設立
NPO法人設立
宗教法人設立
農業協同組合設立
自治会・町内会等の法人化

など

国際関係

在留資格認定証明書交付申請
在留資格変更許可申請
外国人永住許可申請
外国人帰化許可申請
再入国許可申請

など

保険

飲食店営業許可申請
食品販売店許可申請
食品製造許可申請
薬局許可申請
旅行業登録申請

など

上記以外にも多くの作成可能書類が存在し、しかもこれらの業務の中には行政書士にしか許されていない独占業務が数多くある。

権利義務に関する書類の作成について

権利義務というのは、仕事や生活において発生する取り決めのうち、法律的な要素を含むもの。

これには、遺産分割協議書、各種契約書(贈与、交換、売買、消費貸借、賃貸借、雇傭、請負、委任、終身定期金、寄託、組合、和解)、示談書、告訴状、告発状、嘆願書、始末書、念書、内容証明などが含まれる。

事実証明に関する書類の作成について

事実証明に関する書類とは、社会生活に関わる交渉を有する事項を証明するための文書のことを言う。

事実証明に関する書類とは例えば、実地調査に基づく図面類、公図、地積測量図の写し、その他建物、土地の調査、簡易な実測、登記簿の閲覧行為、申述書等の証明書類などが挙げられる。

行政書士の合格率は低い

行政書士の合格率は、ここ3年で見ると8~10%台で変化をしている。25年度の結果は、行政書士試験研究センターによると、受験者数が55,436人、合格者数が5,597人、合格率が10.10%となっている。

25年度の合格率は、全体で見ると高い方であったと言えるが、例えば平成17年度の結果は、受験者数が74,762人、合格者数が1,961人、合格率が2.62%とひときわ低い数字を記録した。

行政書士試験は、初めから合格点が決まっている絶対評価であるため、その年の試験問題が難関であれば一気に合格率も低いものとなる。行政書士の合格率にバラつきがあるのは、この絶対評価が採用されているからなのだ。

行政書士の年収は想像以上に低め?

日本行政書士会連合会は、平成20年に行政書士の年間売上に関する調査を行った。結果は以下のようになった。

500万円未満:75.9%
1,000万円未満:11.0%
2,000万円未満:5.9%
未回答:2.9%
3,000万円未満:1.8%
4,00万円未満:0.8%
5,00万円未満:0.8%
1億円未満:0.7%
1億円以上:0.1%

これはあくまでも売上に関する調査であるため、年収についての詳細が判明しているわけではない。しかし、行政書士の75.9%が売上500万円未満という結果からは、当然年収はそれを下回るという事実が見えてくる。

行政書士の年収は、独立開業しているか、事務所に勤務しているか、企業で働いているかによって違い、また行政書士の仕事は幅広いため、それぞれの得意分野や扱う案件によっても、大きな差が出る。

75.9%の行政書士が生み出す500万円という売上を、高額とみるか低額とみるかは人それぞれだが、中には、副業や無給で働く人もおり、行政書士としてほとんど働いていない人も混ざっているために、このような数字が出たと考えられる。

行政書士の資格取得を迷っている場合、このような平均年収を基準にして判断することはおすすめしない。行政書士として本腰を入れて働くか、否かによって年収は全く違ってくるのだ。

行政書士を受験する人は30代がトップ

一般財団法人行政書士試験研究センターによれば、平成25年度の55,436人の受験者のうち30代が最も多く30.6%であった。次いで40代で24.7%、20代で23.3%、50代で14.0%、60代で6.4%、10代で1.0%と続く。

この結果から、受験をする年代は30代~40代が多く、ここからは社会人が転職や副業のために資格取得を目指すという傾向がうかがえる。あるいは行政書士は、社会生活において役に立つ資格でもあり、例えば試験には、憲法、民法、商法などの法律知識に加え、政治、経済などの一般問題なども出題されるため、知識取得を兼ねて受験する人も多いのだ。

また、受験者の男女比は平成25年度の55,436人の受験者のうち、男性が41,186人、女性が14,250人と圧倒的に男性が多い。ただし、合格者の割合を見れば男女に大きな差はなく男性に有利な試験というわけではない。

むしろ、行政書士の仕事は書類作成が多いため、女性ならではのきめ細やかさが生かされる職業とも言える。また相談する際にも、女性だからこそ相談しやすい内容もあり、女性行政書士の活躍の幅は広い。

行政書士はコンサルティング能力が求められるようになる

行政書士の仕事は、10年前、5年前とくらべ、業務の幅が広くなっている。これは、法律での規制緩和が進み、これまで行政書士の範疇外であった業務も行えるようになったからだ。

例えば、行政書士の業務に代理人制度がある。以前は、行政書士には代理権は与えられておらず代行という形を取るしかなかった。この代行は、すべての動作において依頼者の了承をとることが必要となるが、代理であれば依頼者から委任状を預かったうえで、許認可申請をする場合に、依頼者の了承を取ることなく作業を行うことが可能となった。

行政書士の業務は今後も拡大すると考えられる。実際、行政書士の基本業務である書類作成だが、取り扱い可能な書類数は、10年前の7,000種類から現在は10,000種類にまで増加している。

ただし近年、行政書士手続きは簡素化・オンライン化が進み、本人申請が可能となっている。これによって、これまでは行政書士に依頼していた作業を、個人で行う人が増加しており、行政書士の仕事は年々減少傾向にあると言える。

そのため今後の行政書士は、書類作成のみでなく、法律のスペシャリストとしてのコンサルティング能力が求められる。同時に、個々が専門領域を持ち、行政書士同士での棲み分けをすることも必要である。

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