働き方

社会保険労務士の資格ってどんなの?

投稿日:2014年5月13日 / by

社会保険労務士は企業と人をサポートする仕事

社会保険労務士とは、国家試験である社会保険労務士試験に合格し、かつ社会保険労務士名簿に登録している人のことを指す。省略して社労士と呼ばれることが多い。

以下のような方には最適な資格だ

・業種を問わず広く社会で通用するスキルを身につけたい
・企業の発展や労働者の福祉向上に貢献したい
・独立開業したい
・人事・コンサルティング業務に関心がある

社労士の魅力は、何といっても仕事の幅が広く、安定した需要がある点。企業にとって必須の基本業務から、時代のニーズに合わせたコンサルティングまで、企業の経営資源である「ヒト・モノ・カネ」のヒトの部分に携わり、労働者がより良く働けるように、また企業がより良く社員を雇用できるようにサポートする。また、資格を仕事と結びつけなくても、個人の生活において役立つ資格であるため、社労士は人気需要共に常に安定していると言える。

社会保険労務士の仕事とは

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社労士の仕事は、大きく分けて3つある。

1:労働社会保険諸法令に基づく書類の作成および提出代行
2:労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類等の作成
3:労働社会保険・労務問題に関するコンサルティング

労働社会保険諸法令に基づく書類の作成および提出代行について

労働社会保険諸法令によって定められている、労働基準法・労働者災害補償保険法・雇用保険法・健康保険法・厚生年金保険法・国民健康保険法・国民年金法などの、申請書類の作成や提出を企業外の人間が行うことは禁止されており、社労士にしか許されていない。いわばこれらは、社労士の独占業務というわけだ。

例えば、労働者が健康保険や厚生年金に加入する際、「健康保険・厚生年金被保険者資格取得届」を作成し、所定の場所に提出しなければならない。

社内の人間であれば、社労士でなくても作業を行うことは可能だが、手続きが複雑である上に、従業員数が多くなってしまうと自社で行うのには労力が必要だ。そのため、この作業を社労士に依頼する会社も多い。

労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類等の作成について

各企業には法令によって、賃金台帳や労働者名簿などの帳簿書類の作成・保存が義務付けられている。これらを作成するのも、1に続いて社労士の独占業務となっている。

労働社会保険・労務問題に関するコンサルティングについて

コンサルティング内容は多岐に渡り、中には企業の行方を左右しかねない重大なものまである。例えば人事管理(人事評価制度・モチベーションアップ制度)、福利厚生、人材教育(教育マニュアルの作成・研修制度の構築)などが一例だ。

賃金管理であれば社労士は、賃金・賞与・退職金等すべてにおいて相談に乗る場合も。賃金は労働者側からすればより高い方が望ましいが、企業側からすれば支払い可能なラインが存在する。社労士はこれを見極め、双方にとって最適な金額を決めるための助言をするのだ。これを行うには、人事評価や労働時間管理などに関して幅広い知識を持っていることが前提となるため、社労士の知識を十分に活かすことができる。

また時には、年金相談にも乗ることもある。

年金は、個人が加入している年金の種類や期間などにより支給額が異なる上に、法改正や制度自体の変更などにより、見込み支給額が増減することもありえる。社会保険労務士は、こうした年金のしくみや受給資格などについて熟知している。

年金の支払いは、65歳を過ぎたら自動的に行われるようになるわけではない。受給者が個々で手続きをし、年金を請求する必要があるのだ。60歳になる3ヵ月前に、年金請求書やリーフレットが送られてくるため、それに必要事項を記入し、戸籍謄本や本人名義の通帳などの必要書類等を持って、年金事務所か年金相談センターへ行かなければならない。この場合も、社労士は相談に乗るという形で、受給者に対してアドバイスをするのだ。

これらのコンサルティング業務は、社労士の独占業務ではないが、社労士が持つ経験や知識が必要とされる重要な業務と言える。

社労士には勤務社労士と、開業社労士がいる

すべての社労士のうち、約3分の1は勤務社労士だと言われている。企業の総務や人事として社労士の資格を活かすのだ。企業によっては、社労士の資格を保有することで資格手当がでたり、昇給したりする場合もあるため、社労士は会社員の受験が多い資格だと言われる。

一方、企業に勤めず独立して事務所を構えるのが開業社労士だ。開業社労士は、社内に専門家を雇わず、社労士事務所に依頼する企業と顧問契約を結ぶ。そして、社労士の独占業務としての書類作成や提出代行を請け負うほか、社会保険や労務に関してのコンサルティング業務を行う。各社労士事務所によって得意分野が異なるため、いかに他との差別化を図れるかがポイントとなってくる。

合格率から見る社労士の難易度とは?

厚生労働省が平成25年に発表したデータによると、第45回社会保険労務士試験の受験者は、49,292人(前年51,960人、前年比5.1%減)だった。これに対し、合格者数は2,666人(前年3,650人)で、合格率は5.4%(前年7.0%)で、国家試験の中でも難易度の高い資格であると言える。

社労士試験に合格するには、一般的に800時間から1000時間の勉強が必要と言われている。これでは想像が付きにくいため、日数に置き換えてみると、例えば働きながら資格の勉強をする場合、1日3時間だとすると、約11ヶ月かかる計算になる。

これは休日や長期休暇を加味していないので、実際はもう少し短縮できるかとは思うが、いずれにしても独学で取ろうとすると数年かかる場合もある難関の資格である。

社労士の平均年収は意外に低い?

社労士平均の年収は、厚生労働省によれば平成23年は466万円、平成24年は452万円である。社労士は、「士業」のひとつであり、弁護士・税理士・会計士などと並び「資格さえ取れれば食うに困らない」憧れの職業と言われてきた。しかも合格率が低く、簡単には取れない資格であることを考えると、452万円が高額であるとは言い切れない。

この理由として、ひとつは勤務社労士の数が多いという現状が挙げられる。企業によっては、社労士の資格を保有していれば年収アップが望める場合もあるが、いわばサラリーマンであるため、一般的な平均年収と足並みが揃う社労士も多い。

開業社労士として高額を所得している社労士ももちろんいるため、平均年収が452万円というデータから、勤務社労士が儲かるか否かの答えを出すことはなかなか困難なのだ。

社労士の将来性

社労士の活躍の場は様々で、それだけ時代のニーズに合わせて仕事の幅を広げていくことができる。社労士にとって大切なスキルのひとつに「営業力」が挙げられることが多いが、市場と仕事を開拓していかなければいけないため、確かに営業力は欠かすことができないスキルだろう。

社労士の将来性は、個々のスキルによると言っても過言ではないが、企業が抱える「ヒト」の部分の課題は決してなくなることはないため、同様に社労士の仕事がなくなることもない。以下では、現代の企業が抱える多くの「ヒト」の問題の中からひとつ、社労士が活躍できる場を紹介する。

企業イメージの向上をサポート

近年ブラック企業という単語が生まれ、少しでもブラック企業と疑われる企業は、インターネットに社名を晒されるようになった。SNSが発達したため、現代の情報伝達速度は尋常ではなく、就職活動の際には、受験する企業名をインターネットで検索するだけですぐに、その企業を取り巻く噂を仕入れることができる。

もはや、オフィスの見栄えを良くしたり、コーポレートCMを放映したりしても、インターネットで社員を大切にしない企業と囁かれるだけで企業イメージは失墜する時代。当然、ブラックと噂される企業は、優秀な人材の獲得が困難となってしまう。

逆に、他社より1歩先を行く教育制度を用意したり、ワークライフバランスを実現したりすることで、例えばスタートアップ企業のような小規模な組織でも企業イメージは上がり、優秀な人材が集まる。そのため、ここに注力する企業が増えている。

つまり、今後ますます社労士の活躍の場は増えていくと考えられる。福利厚生、働きがい、教育制度など、社員に何を提供するかは企業ごとに異なり、マニュアルが存在しないからこそ、社労士の労務に関する経験と知識が必要とされるのだ。

差別化を図るならコンサルティング

社労士の業務として書類作成や提出代行などがあるが、これはマニュアル化されているため社労士同士の差別化が図りにくく、企業が定期的に契約を見直し別の社労士に変更するということが起こりにくい。

したがって、社労士として差別化を図るには、コンサルティング業務に力を入れることが求められる。上記以外にも、年金や社会保険の相談に応じるなど、求められる業務の幅は広い。

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