
子供から高齢者まで!幅広い福祉の相談役「社会福祉士」
福祉に関するプロフェッショナル「社会福祉士」
社会福祉士とは、国民の福祉を向上させることを目的として1987年に作られた国家資格である。身体や精神にハンデを持つ人からの相談に応じて、日常生活がスムーズに営めるように援助を行うのが主な役目だ。
主に介護が必要な高齢者を援助の対象とするケアマネージャーとは異なり、社会福祉士は幅広い人への援助を行える資格だ。高齢者の援助はもちろんのこと、子供を持つ親や障がいを持つ人からの相談援助を行うのが社会福祉士の仕事である。相談援助や支援の専門家ではあるものの、そのほかの仕事として相談者に代わって介護保険関連の手続きを行うことも少なくない。
社会福祉施設、児童相談所病院、医療機関などに加え、福祉サービスを行う民間企業を志望する場合も是非とも持っておきたい資格だ。
社会福祉士は男性よりも女性に人気の資格であることが伺える。年齢区分は幅広く分かれており、学生や社会人など様々な人が取得を目指している。
社会福祉士試験の科目と合格基準
社会福祉士の試験は下記19科目から、五肢択一を基本とする多肢選択形式出題される。
1.人体の構造と機能及び疾病
2.心理学理論と心理的支援
3.社会理論と社会システム
4.現代社会と福祉
5.地域福祉の理論と方法
6.福祉行財政と福祉計画
7.社会保障
8.障害者に対する支援と障害者自立支援制度
9.低所得者に対する支援と生活保護制度
10.保健医療サービス
11.権利擁護と成年後見制度
12.社会調査の基礎
13.相談援助の基盤と専門職
14.相談援助の理論と方法
15.福祉サービスの組織と経営
16.高齢者に対する支援と介護保険制度
17.児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度
18.就労支援サービス
19.更生保護制度
出題数は全150問の150点満点で、問題の難易度によって点数は補正されるため合格基準は前後するが、合格するためには約60%程度の得点を獲得しなければならない。加えて基準の点数を満たしていたとしても、すべての科目において得点を取得していなければ不合格となってしまうため注意が必要である。(1科目でも0点があった場合は不合格となるが、就労支援サービスと更生保護制度の科目は2つで1科目と数える。)
また精神保健福祉士の資格を所持している場合は、社会保障や保健医療サービスなど共通している試験科目が免除される。試験の合格率をアップさせたい人は、受験の際に申請を忘れないようにしよう。
社会福祉士の主な勤務先
勤務先区分 | 勤務先の一例 |
---|---|
高齢者施設 | 養護老人ホーム、デイサービスセンター |
医療機関 | 大学病院、クリニック |
児童施設 | 児童養護施設、自立支援施設 |
公的機関 | 福祉事務所、児童相談所 |
一般企業 | 福祉サービス、保険会社 |
幅広い人の相談援助や支援を担うため、公的機関から民間企業まで多彩な場所で活躍が期待できる。支援を受ける人や相談者との信頼関係を円滑にし、相手に安心感を与える効果もある資格だ。
このほかにも自身の社会福祉事務所を持つための足掛かりとなる資格である。また社会福祉士には更新制度がないため、一度取得をすれば生涯有効の資格である点もメリットのひとつだろう。
少子高齢化や虐待問題などが目立つようになってきた現代においては、心の拠り所としても社会福祉士のような存在は必要不可欠といえるだろう。人をサポートしたり助けたりすることが好きな人は、数多くの福祉的な課題を抱える社会において、期待が高まるこの社会福祉士の資格取得を狙ってみてはいかがだろうか。