ムダをどんどん省いた先にある勤怠管理システムとは

管理部門にムダを生まないことが大切

最新の勤怠管理システムは、社員の勤怠状況の改ざんを防ぐほか、何よりも管理部門の人件費を削減できることがメリットと言える。そもそも、管理部門は利益を生む部署ではない。つまり、ここを拡大するほど不利益を生んでしまうということだ(もちろん管理部門が不要というわけではなく、会社で働く社員を支える重要な仕事で、どの会社にも必要な部署である)。

利益を生まない部門ではそのうち、「部署を存続させる」という命題が生まれ、そのための仕事を作り出していくようになる恐れもある。もちろん、社員は部署ありきで働いているため、ある種必然の流れだとも言えるのだが。しかし、このようなムダが見過ごされどんどん膨らんでいけば、そのムダに会社の利益が食われていくだけとなってしまう。そうなってしまう前に、いち早く食い止めなければいけない。ムダはどこ…?

ムダを取り除いた好例

例えば、営業が交通費の精算のために伝票を作成した場合、それを改めて管理部門の社員がパソコンに打ち込むという作業が発生することがある。この2重の工程は、まさしく無駄ではないだろうか。

ある会社ではこれに対応するために、Suica(JR東日本のプリペイド型電子マネーのこと)を導入した。どのように利用するかと言うと、営業が営業先に持って行くだけ。電車に乗る前、改札を通るときにSuicaをかざすことで、利用した駅や金額などがデータとして記録されるというわけだ。

実際にこの会社では、交通費精算にかけていた時間がグッと縮まった。それまで経費精算にあてていた時間が削減できたために、掛かっていた人件費も同じようにコストカットすることができたのだ。

システム導入と社員の給料を天秤にかけてみる

管理部門の扱いについて効果的なのは、必要な業務を回しつつ、可能な限り人件費を減らすこと。前述で紹介した最新の勤怠管理システムを導入することで、それを実現することができるのだ。ここで注意が必要なのは、しっかりとコスト管理を行うこと。システムの導入と運用にどれくらいのコストがかかるのか、導入していない現在、人件費にかかるコストはいくらなのかについて比較しなければいけない。

では、ヒューマンテクノロジーズのKING OF TIMEの具体例を挙げてみてみよう。ある会社が、「指静脈認証とICカード認証(専用端末・液晶なし)」を利用した場合の価格事例だ。

この会社の拠点数は10店舗あり、社員とアルバイト合わせて200名が働いている。10店舗のうち、9店舗で指静脈認証を利用する予定である(1店舗は指静脈認証を利用するのに設置が必須であるPCを置くスペースがないため、併用とした)。

このような会社での導入コストは、以下のようになる。

【初期導入費用】

指静脈リーダー代金:37,500円×9店舗=337,500円
ICカード認証(専用端末・液晶なし)代金:59,500円×1店舗 = 59,500円
ICカードリーダー(登録用)代金:3,700円

【月額ランニング費用】

300円×200人=60,000円

つまり、初期導入費用は、合計で40万700円となり、以降月額で勤怠管理システムを利用する人数分の費用が掛かることになる。現在管理部門に掛かっている人件費は、いくらだろうか。もしもこのシステムを導入すると、現在のコストといくらくらいの差が生まれるのだろうか。

管理部門のムダを取り除くには、このようなコスト管理が必須となる。もしも「うちの会社にはムダが多い」と思ったら、一度大きなテコ入れをしてみてはいかがだろうか。システムを導入したら高そうだという印象だけで、最新機器の導入を避けるのではなにも進歩しないだろう。

ここでは、管理部門を取り上げたが、もちろんムダが隠れているのはここだけではない。あらゆる部門や社員それぞれがムダを抱えており、それを集めれば会社の利益を食い荒らすほどの大きなムダとなる。働く人は誰でも、常にムダを意識してコスト削減に取り組むべきなのだ。

参考文献:メタボ会社の経営改革(山田隆靖/2009年/エル書房)


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