タイムレコーダー進化の過程とは

進化を続けるタイムレコーダーの歴史

前章では、世界初のタイムレコーダー登場に触れた。世界各国において工業が急速に発展していく中で、タイムレコーダーの登場は必然であったと言える。そして、そのあとを追うようにタイムレコーダーは改良が重ねられることとなる。次に登場したと言われるのは、1871年にアメリカのウィラード・L・ブンディ氏が開発した機械式のもの。機械の中に紙テープが設置され、そこに時刻を印刷できる仕組みとなった。

タイムレコーダーとIBMの関係とは

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ブンディ氏とは、もともとニューヨークで宝石商をしていた人物だった。タイムレコーダーを発明した翌年にはそれを商品として世の中に広めるために、ブンディ氏の兄弟がブンディ・マニュファクチャリング・カンパニーという会社を設立した。実は、この「ブンディ・マニュファクチャリング・カンパニー」とその他2社「タビュレーティング・マシーン・カンパニー」、「コンピューティング・スケール・カンパニー」の合計3社が合併したのが現在の「IBM」の始まりだ。

もともとIBMは1911年、「Computing- Tabulating-Recording Company(C-T-R)」という名称で誕生した。3社が集まり、設立当初はタイムレコーダーをはじめ、秤や食品用スライサーなどを数ヵ国で製造・販売していたのだ。現在IBMは、ハードウェア、ソフトウェア、サービスなどを世界各国に提供する巨大IT企業に成長した。

天野修一が開発した日本初のタイムレコーダーについて

世界では産業革命が進み、雇用形態が多様化したことでタイムレコーダーの需要が高まっていった。その需要がタイムレコーダーを次第に進化させていくこととなったが、それは日本も例外ではなかった。

初めて国産のタイムレコーダーが誕生したのは、1931年のこと。「発明家」と称される天野修一氏によって開発された。この発明家という呼称はタイムレコーダーの開発に限ったことではなく、それ以前の20代前半でホッチキスの原型になったと言われる「A式綴紙器」を生み出したことからもきている。ちなみにこれが天野氏にとって初めて特許を取得した発明となった。

その後1931年に、天野氏はタイムレコーダーの開発に成功することとなるのだが、同年「天野製作所」を設立し日本初のタイムレコーダーの製造に本格的に取り掛かっている。天野氏は、完成したばかりの試作品を「東京瓦斯電気工業(とうこようがすでんきこうぎょう)」に持ち込んだ。東京瓦斯電気工業とは、現在のいすず自動車や日野自動車の前身であり、鉄道車両、航空機、自動車などを手掛けた会社である。そこで見事受注に成功し、16台を納品することとなった。

それまでどの企業でも日本製のタイムレコーダーが使われていた前例はなく、この16台がまさしく国産タイムレコーダー初の実用化であった。

国産タイムレコーダーが誕生した時代背景

国産のタイムレコーダーが誕生し、納品が実現するまでに時間はかからなかったが、それには時代背景が大きく関係していた。時代としては、1927年から発生した昭和恐慌の真っただ中であり、1918年に終戦した第一次世界大戦からの反動不況にもあえいでいた。他にも1922年に締結されたワシントン海軍軍縮条約によって軍縮が決定したことによって重工業は低迷、1923年には関東大震災が発生し震災恐慌に陥ることとなった。

日本のみでなく世界が不況に飲みこまれていたこのとき、日本は浜口内閣のもとどうにか不況を脱しようと様々な施策を実施していた。そのひとつが「国産品推奨」というスローガンを掲げ「輸入防止」を行うことだったのだ。つまり、国産タイムレコーダーの開発・実用化には天野氏本人だけでなく政府が積極的であった。そしてそれまで海外製のタイムレコーダーを使っていた企業に、国産のものを使うよう推奨したのもまた政府だったということ。

しかし、1939年に開戦した第2次世界大戦によって天野製作所および日本の産業は自由を失ってしまった。天野氏が再びタイムレコーダーの製造を再開したのは、終戦年の1945年。ここからまたタイムレコーダーは進化を続け、例えば集計を自動で行うタイムレコーダーや時計がデジタル化されたタイムレコーダーなどが登場する。

2000年代には一般家庭にまでパソコンが普及する時代となったことで、勤怠管理にもIT化の波がやってきた。以下で紹介したようなパソコンと連動するタイプや、更には指紋あるいは静脈などで個人を認証するタイプも登場した。

時代の流れによって変化していく勤怠管理の方法

現在では、クラウドで管理を行うタイムレコーダーも出てきたことで、勤怠管理はグッと効率化されることとなった。多店舗を取りまとめて管理することも、集計した数字を自動で計算することも、タイムレコーダーの役割となりつつあり、これまでの歴史をさかのぼると、タイムレコーダーは驚異の進化を遂げたと言えるだろう。

勤怠管理の歴史

江戸時代から存在した勤怠管理の方法とは
江戸時代に三井越後屋が築いた勤怠管理の方法
江戸時代における勤怠管理に使われていた「改勤帳」とは
タイムレコーダー登場の背景とは
現在も進化し続けるタイムレコーダー
・タイムレコーダー進化の過程とは

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時代の流れによって変化していく勤怠管理の方法
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