インタビュー

人材不足時代にフリーランスが注目される理由とは

投稿日:2017年2月22日 / by

フリーランスは雇用スタイルの主流になれるのか

複業時代到来の足音が着実に強まっている。一方で、本業以外に仕事をすることに二の足を踏む会社員がまだまだ多数派という実状もある。2017年1月、複業ワーカーを含む「プロフェッショナル&パラレルキャリア フリーランス協会」を立ち上げた共同代表の田中美和氏に、協会の役割やこれから、複業時代の展望などについて聞いた。

フリーランス協会が担う役割とは

--協会はフリーランスやパラレルワーカーの就労環境の安定などを目的に立ち上げられた。フリーランスの活動をサポートする企業も加盟する組織構成となっているが、具体的にどういった支援のカタチになっていくのか。

田中 ご存知のようにいま、大企業が副業・兼業を解禁するなど、パラレルな働き方がトレンドとなりつつあります。フリーランスやパラレルに働くプロフェッショナルも増加しています。そうした人材が、働きやすくする環境作りをしていきたいと考えていますが、まずはそこに踏み出せない人たちに、ロールモデルを示し、しっかりと認知してもらい、その裾野を広げて行くことが重要と思っています。

ーーフリーランスとして働きたい、という声はよく耳にします。一方で、不安から二の足を踏む人はたくさんいると感じます。この不安を解消することが、ひとつのきっかけになるようにも思えます。

田中 私どもが対象とするプロフェッショナルの定義は、専門性のあるスキルをしっかりと身に付けた方。例えば、ネットの中古品売買で収入を得るようなケースとは区別しています。その上で申し上げるとすれば、フリーランスやパラレルワークで安定して働くためにはやはり、複数の案件を常に抱えながらというのがリスクヘッジとなります。協会は、多くの会員が集うことによって、こうしたネットワークを広げる機能も持つことになると考えています。さらに、新たな知識・スキルを学習することで、一歩を踏み出せる場合もある。そういう人に対しては学習の場を提供することなどを検討しています。

フリーの活動支援企業が加盟することで厚くなる支援体制

ーーフリーの個人のネットワークだけでなく、フリーランスの活動を支援する企業が加盟していることが、そうしたことを後押しするのか。

田中 協会には私どものWarisを含め、フリーランスの活動をサポートする企業が20社以上加盟しています。それぞれが一社で出来ることは限られますが、まとまることで、サポートできる範囲が拡大します。フリーランスならではの確定申告をサポートしたり、フリーランスならではのリスクに備える保険などの支援体制が充実しています。

2017年1月に発足したフリーランス協会

ーー学習機会の提供や活動支援ツールの紹介は、確かにフリーランスにとって頼りになります。その他の部分で、協会に加盟するメリットは何があるでしょうか。

田中 フリーランスの情報発信は、どうしてもIT系やクリエイティブ系に偏りがちです。そうではなく、昨今は職人系のフリーランスも増加している。ネイリストや家事手伝い、コンサル系、人事や広報などのビジネス系にもすそ野は拡大しています。そうした分野までカバーし、フリーランスの実態をしっかりと理解してもらえる情報発信をしていきながらノウハウを蓄積し、働く環境の整備をしていきたい。加盟いただくことで、タイムリーにそうした情報の入手が可能になります。

ーーしっかりと実態を理解することで、「無知」の不安は解消されるかもしれません。それでも正社員の「安定」にすがる人の気持ちはそう簡単に動かないような気もします。

田中 これまでの働き方は確かに、一社に新卒から入り、長く勤めあげ、成長していくというのが主流でした。しかし、いまは本当に働く個人の価値観が多様化しています。フリーランスになりたいという人の中にも、起業までのつなぎとしてとか、NPOやNGOで活動しながら週3はフリーランスで生活費を稼ぐとか、大学院に通うとか…。本当にいろいろな方がおられます。もちろん、これまで通り、一社で勤め上げる人もいるでしょうが、選択肢は随分と増えています。

人材もシェアリングする時代に

ーーパラレルに働く人の多くは、稼ぎ以上に、自分のスキルを他社でも活用することに価値観を感じている人が多いと聞きます。

田中 これまで人材は、一社が囲い込むストック型でした。しかし、これからはシェアする時代になっていくのではないでしょうか。住まいや車のように人材もシェアする。そうなった時、私どもとしては、いかにキチンと案件をチェックし、適切な契約を結ぶか、という部分をしっかりサポートしていかなければと思っています。何らかの基準を設け、悪質な案件は受けないような評価の仕組みも必要になってくるかもしれません。フリーランスについては社会保険の問題も避けて通れないでしょう。

人材もシェアする時代に、と展望を語る田中氏

ーー最後に今後の展望をお願いいたします。

田中 おかげさまで、発足発表からほどなく、メルマガ会員が1500人を突破し、滑り出しは順調です。課題は少なくないですが、全国にある大小さまざまなフリーランスの協会のひとつの大きな船として目印になり、官とも連携しながら、フリーランスおよびパラレルワーカーのすそ野拡大に貢献していきたいと思っています。

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