働き方

変化する採用スタイルに透ける、買われる人材の特長とは

投稿日:2017年3月1日 / by

就職戦線異状あり。採る側、入る側の意識が深化

きょう3月1日から2018年卒学生の就活が解禁。企業にとっては、量より質。労を惜しまず、いかに個性的な人材を確保するか。学生にとっては、引き続き売り手市場の中で、いかにフィットした職場を見極めるかが問われることになる。質重視は、転職市場も同様で、今年に入り、とりわけ個性的な採用が目立つ。中途・新卒関係なく、多様性をキーワードにますますバラエティに富む、個性派シュウカツの最新動向をリポートする。

ミスマッチ予防あの手この手

新卒採用では、なによりもインターンシップの存在感が年々高まっている。リクルートキャリアの「就職白書2016」では、学生のインターンシップ参加状況は、約4割。前年を13%上回っている。学生にとっては、一足早い社会勉強の意味合いが強そうだが、それでも「結果的に」を含め、66.5%がそのまま内定を獲得している。入社後のミスマッチを防ぐには、「潜入」が一番なだけに、今後もインターンシップは、企業にとっても学生にとっても有用な“採用ルート”のひとつとして拡大を続けるだろう。

じっくり見極めて、運命の職場を決めるインターンシップとは対照的な採用手法で、学生の可能性を引き出そうとするのは、アドヴァンテージが運営する就職・採用サイト、ベツルートの「クジ引き採用」。焼く肉やお寿司をほおばりながら、人事担当とカジュアルに面談するスタイルだが、その席順を決めるのはなんとくじ引き。「よく調べても入ってみたら違ったというケースもあるのだから、運で決めて結果は同じ」という一件無茶苦茶の様で思わず納得しそうな理由から、続けられている。

農業特化コーナーを初めて設置する合同企業説明会も

採用スタイルだけでなく、社会構造・産業構造変化のうねりを受け、就職先にも変化が表れている。リクルートジョブズが3月中旬に開催する合同企業説明会では、新卒学生を対象に農業に特化したコーナーを設置。実家が農家の学生など、これまで就職先としての農業はマイノリティだったが、「農業法人の社員採用に対するニーズが高まりをみせている」(リクルートジョブズ)ことから、初めて企画された。IT化を進めるなど、農業も変革の時代を迎えており、学生も無視できない存在になりつつあるということかもしれない。

親にも波及する進化する就活戦線余波

就活の身近なアドバイザーとしての保護者周辺でも変化が出始めている。ビズリーチは、激変する働き方の潮流を受け、親を対象に子ども世代の働き方と就活を知る勉強会を開催。政府の取り組みや複業実践者の声などを紹介し、アドバイザーとしての頭の整理を支援。学生にとって、親の意見は「影響ある」が45%(2015年卒マイナビ学生就職モニター調査)と決して小さくなく、正しい助言をするためにも必要として実施された。約50人の親世代が集結し、熱心に聞き入っていた。

親向けの“就活イベント”で公開トークする学生と副業ワーカー

新卒に留まらないうねりは中途戦線へも

新卒採用については、廃止を打ち出す企業も出るなど、もはや就活戦線は異状だらけ。その余波はそのまま、中途採用にも及んでいる。サイボウズの複業採用は、初めから複業先としての募集という、正社員の概念を超越した斬新過ぎるもの。森下仁丹は、40代、50代の<おっさん、おばさん>を「第四新卒」として大募集。新卒採用の対極の様な採用スタイルで、変革をもたらす人材発掘に動き出している。エン・ジャパンは中途では珍しい、お試し入社で成果を上げている。

良より質。採用はもはや、かつての一括採用による画一的なスタイルは過去のものとなり、昨今はいかに個性を見極め、埋もれた才能を発掘するかに深化している。個性的で有能なタレントを集め、その力を結集し、チーム力を最大化する。それこそがいま、企業が競争力を生み出す源泉になる。企業にとってのハードルは高いが、HRテックも拡がっており、採用変革の土壌は整備されつつある。求職者にとっては、個性を磨くことがそのまま適職につながる、健全な時代に近づいたともいえるだろう。働き方が激動する中で、シュウカツにも大きな地殻変動が起こっている。

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